こんな酷いのが自民党の若き“センセイ”方の実態である

 不倫に路チュー、買春に暴言……。自民党議員に続出する醜聞のほとんどが、安倍自民が政権復帰を果たした2012年総選挙の初当選組によるものだ。それには理由がある。彼らは国会で仕事もなく、暇を持て余しているからである。
 
■ずっとスマホいじつてる!
 「金峰火来」とは、国会議員の生活スタイルを表わした永田町用語だ。
 議員たちは毎週、金曜口の本会議が終わると一斉に選挙区にトンボ返り。土、日、月と地元の祭りや運動会、支持者の冠婚葬祭などをフルにこなし、火曜日の朝、東京に戻る。そうした地元活動のために、国会では、議員に新幹線グリーン車乗り放題のパス券や月4往復分(最大)の航空券を無料支給し、月曜日はできるだけ委員会の審議日程を組まない慣例まである。
 だが、最近の自民党若手議貝の行動パターンは様変わりしている。
 「うちのセンセイは週末戻ってきても。用事があるから’とすぐに東京に戻ってしまう」
 そうポヤくのは北関東の地方議員だ。
 西日本の代議士の地元を支える後援者からはこんな声も聞かれる。
 「地元に戻っても大きな祭りにも顔を出さない。フェイスブックやブログに写真を上げるのは熱心だけど」
 では、地元に帰って何をしているのか?
 地元活動を不倫密会のカムフラージュに利用していたのが「ゲス不倫」を「週刊文春」に報じられ、議員辞職に迫い込まれた宮崎謙介・前代議士(京都3区)だ。
 育休宣言で脚光を浴びた宮崎氏は妻の金子恵美・代議士が出産する6日前(1月30日)、選挙区の京都に戻った際に東京から呼び寄せた元タレントのA子さんを自宅に泊め、翌日何食わぬ顔で京都市長選の応援に回った写真をブログにアップしていた。
 驚かされるのは女性に対するマメ男ぶりだ。
 国会会期中にもかかわらず宮崎氏は毎日、A子さんにLINEで〈私のど真ん中はソナタ〉などとメッセージを送り、A子さんはテレビ番組で「1日にLINEが400通以上の時もあった」と明かした。
 仕事そっちのけなのは宮崎氏だけではない。
 昨年3月に同僚議員・門博文氏(比例近畿)との不倫路チューを「週刊新潮」に報じられた中川郁子・農水政務官(当時。北海道11区)は、予算委員会への出席をドタキャンして緊急入院したかと思うと、禁煙の病室でタバコをプカリとしていたことがバレて国会でさらに謝罪。
 未公開株をめぐる金銭トラブルで昨年8月に自民党を離党した武藤貴也・代議士(滋賀4区)は、未成年男性を議員宿舎に連れ込んで1回2万円で売春していた疑惑まで報じられた。
 失言も枚挙に暇がない。
 大西英男・代議士(東京16区)は昨年の安保国会さなかに自民党内の勉強会で「マスコミを懲らしめるには、広告収入がなくなるのが一番」と発言し、同調した井上貴博・代議士(福岡1区)らとともに執行部から厳重注意処分を受けた。
この勉強会の出席者には昨年2月には代表質問をしていた共産党志位和夫・委員長に「さすがテロ政党!」と野次を飛ばした山田賢司・代議士(兵庫7区)、勉強会に講師として呼ばれた作家・百田尚樹氏の「沖縄の2紙は潰したほうがいい」という発言を「彼一流 のジョーク」と評して物議を醸した白須賀貴樹・代議士(千葉13区)もいる。
 ここに挙げた議員はいれも、自民党が政権復帰た「2012年総選挙の初当選組」である。
 自民党ベテラン議員は「この期は風で受かって選挙の苦労も野党暮らしの厳しさも知らない。だから軽はずみな行動や発言ばかりになる」と頭を抱え、自民党の「2012年問題」と呼ばれている。
 
■朝の部会は眠いからパス
2012年に初当選した議員は116人。
実は彼らには国会で仕事がなく、暇を持て余している。
落選経験のある自民党中堅議員はこう語る。「数が多いと競争が激しくなるかというとそうでもない。与党が巨大化して議員数が多すぎると国会質問の機会はなかなか回ってこないし、政務官などのポストも枠が限られる。だから委員会や本会議の採決要員としか見てもらえないし、人数が多いから仕事しなくても目立たない。
自民党本部では毎朝8時から政調のどこかの部会が開かれていて、新人議員にとっては自分の力を試す場です。
間違いを恐れずに発言して、ベテラン議員にやり込められて勉強し直したり、それをきっかけに役人を呼んで政策を勉強するチャンス。なのに、若手にはそういうことをしている議員は半分もいない。」
若手の中には朝の部会に秘書を代理出席させて配られる資料だけを受け取ってさせ、委員会がない日は昼頃に重役出勤する。“ツワモノ“が少なくない。
 国会の質問回数をみると、宮崎氏はこの1年でわずか2回だけ。         
 自民党が大敗した09年初当選組と比べると違いが際立つ。この時に自民党から初当選したのは小泉進次郎氏などわずか4人で、質問の機会も多かった。小泉氏は自民党が野党時代の3年間に約30回の国会質問に立つている。国会で質問に立つには、事前に役所のヒアリングを受けて政策の問題点を整理し、質問書を作成するという手続きが必要だ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が語る。
自民党が野党時代、進次郎氏ら09年組の1年生議員は予算委員会のテレビ中継が入らない日に交互に質問させられた。「議員数が少ない分、チャンスが多く回ってきた」と意気込んで国対委員長室の雑談スペースに資料を積み上げて一所懸命読んでいた」12年組とは政治キャリア、政策能力に大きな差がつくのは当然だろう。
 
■夜の、性事々は得意です!
 そうした下積みの努力がない分、宮崎氏は「育休宣言」のパフォーマンスで手っ取り早い知名度アップを図ろうとした。政治家として拙劣すぎる。
 村上正邦・元自民党参議院議員会長はこう憤る。
 「今の2回生はどうしようもない奴らばかりだし、それを厳しく指導する先輩もいない。かつても自民党議席が多い時代はあったが、新人なりに質問させてくれと頼んで先輩から「10年早い!」と怒嗚られ、それでも食い下がってチャンスを掴んで、その1回の国会質問に思いを込めていた。本当に情けない」
 そんな危機感も当人たちには届いていない。
 2012年組の大半は14年の前回総選挙も楽々当選で2回生になった。そうなると、冒頭で紹介したような地元活動のための「金帰火来」を次第に怠り、「上帰日来」で地元後援者の目が届かない東京に長く滞在し、「ハナ月~ハナ金」を楽しみたくなる。
 その舞台の一つが「議員宿舎」だ。
 臨時国会召集が見送られ、若手議員にはますます仕事のない。“バカンス”となっ
ていた昨年秋から年末にかけて、東京・青山の衆議院議員宿舎の一室では夜な夜な嬌声が上がっていた。青山宿舎は繁華街の六本木から目と鼻の先。部屋の主は六本木で飲み歩くことから「ポンギ組」と呼ばれる12年組の議員だった。
 「部屋に呼ばれた人によると、中には数人の水商売風の女性と同期の議員たちがいて『相席居酒屋かよ』という状態。一緒に飲まないかと誘われた議員もいた。同じ部屋で何日も続いたのでたまりかねた近隣の議員から苦情が出ていた」
 そうした苦情もあって騒音は止んだというが、「外で同じようなことをやっているのでは」(同前)といわれている。
 19一年組は独身議員が多く、議員秘書衆院事務局の若い女性、政治部の女性記者などに声をかけた合コンが頻繁にあるとの情報も多い。
 議員合コンに出席したことのある女性秘書は、「中には感じのいい方もいましたが、官僚出身のあるセンセイは「僕はこれまで女性にフラれたことがないんだよね」とかいいながら、自分では連絡をせず一緒にいた男性を通じて『後で会いたい』と誘ってくるんです。何か男らしくないなとヒキましたね」と打ち明ける。
 ただ、政治とは違って、こちらの12年組の成果は上々のようだ。
 「ある30代の2回生は美人で評判の先輩議員の秘書と噂になり“手が早い”と周りの同僚にやっかまれていた」(大手紙政治郎記者)
 女子アナを射止めた議員必少なくない。辻清人・代議士はNHKの出田奈々アナウンサー、日銀出身の小倉将信・代議士は13年にテレビ朝日島本真衣アナウンサーとゴールインした(15年に離婚)。
 「スポーツ選手や芸能人ならともかく、国会議員が女子アナと結婚なんて私らの世代には考えられなかった。全員がダメだとは言わないが、今の若手は自分がタレントか何かと勘違いしている」とは自民党ベテラン議員の述懐だ。
 小人閑居して不善を為す---------安倍自民党の若手の不祥事が止まらないのは、「国会で仕事はなく、選挙は楽、そしてカネと暇はふんだんにある」という恵まれすぎた環境にある。それが安倍一強政権の力の源泉なのだから空恐ろしくなる。
 
 
これ週刊ポスト201634日号の『自民若手議員「あーヒマすぎる」』と題した記事から転記したものである。
 
 
 これが今の国会のこれからの若き自民党の“センセイ”方の実態である。こんなやつらに我々の金が歳費と称し渡たっているのである。これは正に“ムダ金”そのものである。