関西電力の元副社長が歴代首相に毎年2千万円の献金を暴露、その関係者の言葉「記憶がございません」は明確に否定しない言葉の代表である。

 関西電力で政界工作を長年担った内藤千百里(ちもり)・元副社長(91)が朝日新聞の取材に応じ、少なくとも1972年から18年間、在任中の歴代首相7人に「盆暮れに1千万円ずつ献金してきた」と証言した。政界全体に配った資金は年間数億円に上ったという。原発政策の推進や電力会社の発展が目的で、「原資はすべて電気料金だった」と語った。多額の電力マネーを政権中枢に流し込んできた歴史を当事者が実名で明らかにした。
  内藤氏が献金したと証言した7人は、田中角栄三木武夫福田赳夫大平正芳鈴木善幸中曽根康弘竹下登の各元首相(中曽根氏以外は故人)。
  内藤氏は47年に京大経済学部を卒業し、関電前身の関西配電に入社。62年に芦原(あしはら)義重社長(故人)の秘書になり、政財界とのパイプ役を約30年務めた。関電の原発依存度は震災前は5割を超え業界でも高く、原発導入を円滑に進めるには政界工作が重要だったという。
  内藤氏は2013年12月から今年7月にかけて69時間取材に応じ、11年3月の東京電力福島第一原発の事故について「政府の対応はけしからん」「長年築いてきた政・官・電力の関係に問題があった」と指摘した上、多額の政治献金を電気料金で賄ってきた関電の歴史を詳細に語った。
  さらに「関電には芦原さんが直接、総理大臣や党の実力者に配る資金があった。トップシークレットだった」と証言。首相や自民党有力者らに毎年2回、盆暮れのあいさつと称して各200万~1千万円の現金を運ぶ慣行があったと明かし、授受の様子や政治家の反応を細かく語った。
  当時は政治家個人への企業献金は法律で禁止されていないが、電力各社は74年、「政治献金分まで電気料金を支払いたくない」という世論を受けて企業献金の廃止を宣言。内藤氏は当時の業界は「そんなことを出来るわけがない。政治家を敵に回したら何も動かない」という雰囲気だったとし、その後も政治献金を水面下で続けたと証言した。
  献金の理由は「一に電力の安泰。二に国家の繁栄」とし、「天下国家のために渡すカネで、具体的な目的があったわけではない。許認可権を握られている電力会社にとって権力に対する一つの立ち居振る舞いだった。漢方薬のように時間をかけて効果が出ることを期待していた」と強調した。
  関電広報室は「承知していない」と取材に答えた。(藤森かもめ、村山治)
  ■元首相側は否定
  内藤氏が献金したと証言した7人の元首相側は取材に対し、「そのような事実はないと思う」「わからない」などと答えた。
  政治資金規正法は金権スキャンダルのたびに改正を重ねた。ロッキード事件後の1980年に政治家個人が受けた献金の収支報告が義務化され、リクルート事件東京佐川急便事件を受けて99年に政治家個人への企業・団体献金が禁止された。99年までは政治資金収支報告書に記載していれば問題ないが、記載の有無は取材で確認できなかった。
  ■痛烈な自己批判
 歴史の関係者から話を聞き取る「オーラルヒストリー」第一人者の御厨貴東大客員教授の話 電力を独占供給する巨大公益企業の政界工作を中枢の元役員が明かした衝撃の告白だ。これほど痛烈な自己批判は過去にない。歴史をこの国に記録として残そうとする勇気ある行為だ。
  関電は電気料金を使って政治家を値踏みし、政界のタニマチ的存在になっていた。巨額献金が独占支配を強め、自由化を嫌がる自己改革のできない組織にさせたに違いない。内藤氏は電力業界に誤りはないと信じてきたが、原発事故で過信だったと気づいた。関電にとって目指すべきモデルで超えるべき対象だった東電の事故は、裏方仕事が国家のために役立つと信じてきた彼の価値観を画期的に変えたのだろう。
  電力を各地域の独占企業が担い続けていいのか。この告白は業界への戒めであり、世論への問いかけだ。

これ「関電、歴代首相に年2000万円 計7人、72年から18年献金 内藤元副社長が証言」と題した朝日新聞デジタル 7月28日(月)5時50分配信 (有料記事) 記事である。

 関電の内藤元副社長の証言に対し、中曽根康弘元首相の事務所は取材に「秘書官は故人で当時をわかる者が事務所にいない。そういうことはなかったと思う。元首相本人は高齢のため確認していない」。本人への確認を再度求めたが、27日までに回答はなかった。
関電、歴代首相7人に年2千万円献金 元副社長が証言 金を渡すと角さんは「頂いたよ」
 田中角栄元首相の長女真紀子氏の事務所は「関係者に確認したが初耳との答えだった」。三木武夫元首相の長男啓史氏は「そのような事実はなかったと思う。当時の秘書官は故人となり確認は難しい」。福田赳夫元首相の長男康夫元首相は「わかりかねる」とした。
 大平正芳元首相の秘書官だった森田一氏は「盆暮れに私邸に来たことはある。1千万円の授受は初めて聞いた」。会計担当だった小国宏氏は「私邸で受け渡しはなかったと思う。関電東京支社で内藤さんから金を受けた記憶はある。関電宛ての数団体の領収書を送った。政治資金ルールを守っていた」。鈴木善幸元首相の秘書官だった材津昭吾氏は「面談を依頼された記憶もない」。竹下登元首相の弟亘氏は「そういう話は聞いたことがない」とした。

こっちは『関電、田中角栄ら歴代首相7人に献金 元副社長「原資はすべて電気料金だった」』と題した 朝日新聞デジタル07月28日 08時49分の報道記事である。

 この記事通りだろう事は間違いない。とにかく政治屋と役人は絶対と言って良いほどもらったものはもらったと言わないのが当たり前である。例えそれが本当でも絶対認めはしない。何故ならこう言う類の件は言った言わないになるからである。それがその当事者が亡くなっていれば尚更の事、死人に口無しだからこれほど好都合な事は無い。だから何で今頃こんな事がと言う感じだが、今の安倍政権のやり方と無縁ではないと感じた。私ら建設屋はそのような裏事情に詳しいから、今の自民や安倍首相やその取り巻き連中の、実際やって来た事を考えれば、こんなの序の口である。本当にバラせば政権等吹っ飛んでしまう。そんな波風等、今何のメリットもないから、それを知る者は口を開かないだけである。だが何でもそうである。度が過ぎればこんな事ウヨウヨ出て来る。この副社長さんもその1人では無いのかと私は思ってる。しかしおかしいのは、もらった方の当事者の反応である。これもその人間性が良く出てるではないか。田中角栄さんはああ言う人である。あっけらかんとして悪びれずに言った事だろうが、どちらかと言えば人間的にあんまり悪い事に染まらなかったと言うより、嫌いだったと言った方が良かった、大平正芳元首相やその関係者は全くの否定はしてない、それが面白い事である。大体こう言う裏事は金を渡した方は嘘は言ってない。もらった方は都合が悪いから、必死に否定するのが常である。田中角栄さんがロッキード事件で捕まった時の盟友の故小佐野賢治容疑者がいみじくも言った「記憶がございません」と言うのは、否定はしてない言葉の代表である。本当に知らない、違うのだったら自信を持って否定したらよいのにと私は思う。(おかしくて笑っちゃう)
 だから私は政治屋と役人が大っ嫌いなのである。