安倍晋三首相が今月に入り、首相公邸に自民党の衆院当選1~3回の若手議員を招いて会食を重ねている。女性問題や秘書への暴言など問題が多発し「魔の2回生」と呼ばれ、現在は衆院当選3回の議員は4回に分かれて会食した。秋に総裁選を控える首相にとって、党内の不祥事が相次げば、自らの求心力低下にもつながりかねず、引き締めを図っている。
「秘書は大切にした方がいい。トラブルになれば大変なことになる」。首相は13日夜、当選3回生との会食で忠告した。昨年、豊田真由子元衆院議員が秘書に暴言を吐き離党に追い込まれたことを念頭においた発言だ。
首相は今月1日に当選1回、8日に当選2回の議員を集めた会食をそれぞれ開催。88人にも上る3回生との会合は選挙区別に4ブロックに分け、13、19、20、22日と会食した。菅義偉官房長官は22日の記者会見で「首相は若手の率直な意見をお聞きしたいとの思いで設けた」と説明したが、政府筋は「引き締めるためだ。首相と食事すれば緊張感も出る」と打ち明ける。
3回生は、当選2回だった際に、豊田氏や女性問題が発覚した宮崎謙介氏、中川俊直元経済産業政務官、被災地を巡る言動で批判を浴びた務台俊介元内閣府政務官らの不祥事が続発した。
首相は会合で「緊張感を持ってやってほしい」「地元をしっかり回ってほしい」と呼びかけており、クギを刺した形だ。
当選3回の議員の大半は、自民党が政権復帰した2012年衆院選が初当選で、「大勝の勢いで大量当選したため、資質に疑問がある」と指摘されてきた。豊田氏らも12年初当選だ。
首相は3回生を「政権奪還時のメンバー」とも強調した。身近さをアピールすることで、総裁選に向けた基盤固めを進める狙いも透けている。【遠藤修平】
これ「安倍首相 若手引き締め図る 公邸で会食 不祥事の再発防ぐ」と題した