安倍首相今夏の参議員選に「消費税10%の凍結・延期」を掲げて同日選にうって出るだろう!

平成時代最後の年明けから、永田町に解散風が吹いている。7月に予定される参院選に合わせて、安倍晋三首相が衆参同日選に打って出るのではないか、との憶測が飛び交うからだ。
首相自身は仕事始めの記者会見などで「(解散は)頭の片隅にもない」と否定を繰り返すが、政界では「首相は常識的判断をしない人だから」(立憲民主党枝野幸男代表)などと疑心暗鬼が拡大している。
年末年始の休暇をゴルフと映画鑑賞、美食で英気を養った首相は「再登板後で最も元気」(側近)とされるが、はたして元旦の夜の初夢は「衆参同日選」だったのかだろうか。
 
改憲スケジュールは言及せず
首相は昨年1229日から今年13日まで都内のホテルに泊まり、例年以上に休暇を満喫した。ゴルフを3回、映画鑑賞2回、ホテル内のフィットネスに3回通い、家族や親しい友人達相手の夕食では、中華やフレンチの高級店で舌鼓を打ってご機嫌だったという。大みそかと元日の午後には昭恵夫人同伴で映画「こんな夜更けにバナナかよ愛しき実話」と「ボヘミアン・ラプソディ」を鑑賞し、3日には富ヶ谷の私邸で盟友の麻生太郎副総理兼財務相と夕食をとりながら懇談して休暇を締めくくった。
伊勢神宮参拝後、今年の決意を示した4日の年頭会見で、首相はまず「平成」に代わる新元号について「国民生活への影響を最小限に抑える」ことを理由に、新天皇即位の1カ月前の41日に公表する方針を正式表明した。新元号の事前公表には自民党内保守派などから不満が出ていたが、関連機関のシステム改修作業など含めた混乱の回避を最優先し、「首相裁定」の形で事前公表を決断した。
一方、悲願の憲法改正については「まずは具体的な改正案を示し、国民的な議論や理解を深める努力を重ねるのが国会議員の責務だ」と衆参両院憲法審査会での論議促進への期待を強調したが、改憲実現への具体的スケジュールについては言及しなかった。その上で、今夏の衆参同日選の可能性を問われると、「そういう声が一部にあることは承知しているが、私自身の頭の片隅にもない」と昨年末から続けている言い回しで否定してみせた。
ただ首相は、6日に公開されたNHKの党首インタビューでも同日選を否定する一方、「これまでも、国論を二分するような改革は、5回の国政選挙で勝利することによって実施することができた」とも語った。これについて周辺は「国民の信を問うようなテーマがあれば解散する、と受け取れる」と解説してみせる。
こうした首相の発言について、同じ番組で立憲民主の枝野代表は「常識のない方が解散権を持っているので、あり得るという想定で準備したい」と述べ、国民民主党玉木雄一郎代表も「野党がバラバラの状況なら、半々の確率で(解散は)ある」とそろって同日選を前提とした野党選挙共闘態勢構築の必要性を力説した。小沢一郎自由党代表も「同日選なら政権交代のチャンス」と堂々と受けて立つ姿勢を示した。
これに対し、二階俊博自民党幹事長は7日の記者会見で「今のところ、いろんな方々が憶測で(同日選を)叫んでいるにすぎない。あるとすれば幹事長の私にどなたかから相談くらいあるはず」と微妙な言い回しで煙幕を張った。
 
■首相ペースで飛び交う解散話
首相にとって「伝家の宝刀の解散は秘中の秘」(自民幹部)だ。政界では「首相は解散と公定歩合については嘘をついてもよい」というのが定説で、ポスト安倍の有力候補の石破茂元幹事長も「頭の片隅にないとしてもまん中にあるかもしれない」と疑心暗鬼を隠さない。首相経験者も「首相自身が否定すればするほど、『怪しい』となるのが政界の常だ」と苦笑する。ただ、政治決戦の年とはいえ、新年早々から半年後の解散話が政界のど真ん中で飛び交うこと自体が「首相ペースの政局展開」(自民長老)ともみえる。
もちろん、解散断行には様々な前提がある。前回衆院選から2年足らずで、というのは枝野氏の言うように「常識的ではない」ことは確か。ただ、首相自身が示唆したように「国益や国民生活に関わる重大な決断」は国民に信を問う理由にはなる。いわゆる「解散の大義名分」というわけだ。具体的には「日ロ合意」と「消費税10%の凍結・延期」が取りざたされている。
首相は5日の下関市の後援会会合でのあいさつで、北方領土問題を含むロシアとの平和条約交渉について「ここからが正念場だ。私とプーチン大統領の手で必ず終止符を打つとの決意で交渉に臨む」と改めて決意表明した。「終止符」とは、日ロ首脳会談での「合意」を意味する。首相は1月下旬の訪ロと6月末の大阪での20ヶ国・地域(G20)首脳会合に合わせたプーチン大統領訪日の際の日ロ首脳会談で、北方領土返還とそれを前提とした日ロ平和条約締結の道筋を明確にすることに意欲を示している。6月末までに日ロ首脳が何らかの合意にこぎ着ければ、首相が目指す「戦後外交の総決算」への重大な一歩となることは間違いない。そうなれば「当然、国民に信を問うテーマ」(自民党幹部)となり得る。
一方、消費税率10%への引き上げは、会見などで「リーマンショックのようなことがない限り」との条件付きで今年10月に実施する方針を繰り返ししている。ただ、菅義偉官房長官は、2019年度予算の成立が見込まれる3月末をめどに消費増税を最終判断する可能性があるとの認識を示している。
年初の大発会2万円の大台を割り込んだ日経平均株価は、米中貿易交渉などの国際的要因でさらに下落する事態も想定される。そうなれば、国内でも消費増税の凍結や延期を求める声が噴出することは避けられない。ただでさえ、増税に伴う軽減税率導入やポイント還元などをめぐる混乱が予想されるだけに、選挙をにらんで首相がまたも延期や凍結を決断する可能性も否定できない。そうなれば、「解散で信を問うのが自然」(自民幹部)ということにもなる。
もちろん、首相の専権事項といっても与党幹部の理解が得られなければ解散権の行使が難しいのも事実。自民党にとって国政選挙での連携が必要な公明党は、山口那津男代表が6日のNHK番組で「解散は首相が決める専権事項だが、できるだけ避けた方がいい。同日選挙は複雑になり、エネルギーも分散する。決して得ではない」と改めて反対する姿勢を明確にした。首相経験者も「首相が、日ロや消費税という奥の手を使って解散しても、公明党の離反があれば衆参ダブル敗北になりかねない」と指摘する。
 
■日ロ、ダボス会議次第で豹変も
首相は一連の新年行事の締めくくりとなった7日夕の帝国ホテルでの互礼会で、年末年始のあいさつで必ず言及している今年の干支のイノシシについて、「猪突猛進の言葉から、脇目も振らずに突進するイメージが強いが、実はその動きは自由自在、障害物があれば左右によけたり、ひらりとターンしたりできる、身のこなしが極めてしなやかな動物だ」といたずらっぽい笑顔で解説した。
その上で解散について「頭の片隅にもないといっている。いろいろな声があるが、今はまったくどこにもない」と述べ、目の前の公明党・山口氏に「なんとか安心していただけたのでは」と呼び掛けて満場の笑いを誘った。ただ、この発言とは裏腹に、首相実弟岸信夫・元外務副大臣は大手紙の新年インタビューの中で、「(同日選は)あり得る選択肢というか、可能性が大きいかな、とは思う」「(兄の)首相と話したことはないが、たぶん、選挙は嫌いじゃないんだと思う」などとあえて“身内の本音”も吐露している。通常国会28日召集予定と例年より遅いこともあり、各党衆院議員も地元での新年会まわりに精を出すなど、選挙ムードは沈静化する兆しが見えない。
首相は911日の日程でオランダと英国を歴訪し、21日には訪ロしてプーチン大統領との首脳会談。続く22日からスイスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に出席し、講演して25日に帰国する予定だ。まさに年明けから「安倍外交全開」となる。ただ、「この日ロ首脳会談で平和条約締結への大きな進展があれば、同日選は一段と現実味を帯びる」(自民若手)ことになるし、ダボス会議で各国代表らから世界経済失速への懸念が噴き出せば、国内での消費増税延期論も勢いづく。それを踏まえ、帰国後の首相が衆参同日選に向けて「ひらりとターン」する可能性を指摘する向きは少なくない。
 
 

これ「衆参同日選?永田町に吹く解散への疑心暗鬼 日ロ会談、消費増税の決断次第で解散断行も」と題した東洋経済オンラインの政治ジャーナリスト泉宏さんの2019/01/09 6:10の記事である。

 
 
この解散問題、拙ブログで何度となく取り上げたので、今回は、私の見通しのみの予想で締めくくりたい。安倍さんは勝敗抜きで権力者の特権として衆参同日選を選択するだろうと思う。「国民の信を問うようなテーマがあれば解散する」としたなら、間違いなく「消費税10%の凍結・延期」でうって出るだろう。これが私の判断である。