2020年は尚進む政治の低下

『 クイズ☆正解は一年後 』(TBS)という番組がある。1年を振り返るクイズを“年始に収録”し“年末に答え合わせ”するというもの。

【写真】安倍首相、麻生副総理、二階幹事長の3ショット

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現代政治の3バカ大将

 そういえば新聞でもこの“クイズ”はできる。まず昨年のお正月の記事を見てみよう。

2019年「衆参同日選」の可能性を書いた読売
亥年参院選へ 外交に全力 日露次第『衆参同日』論も」(読売新聞・2019年1月4日)

  読売に安倍政権の胸の内が書かれていた。

《6月に日本で初めて開かれる大阪での主要20か国・地域(G20)首脳会議に合わせて来日するプーチン氏との間で、北方領土の問題解決に向けた大筋合意を目指す。》

《ロシアとの北方領土問題の行方次第では参院選に合わせた「衆参同日選」の可能性も取り沙汰されそうだ。》

 北方領土問題の前進をG20で発表し、その勢いで衆参同日選を狙う。そのために大阪で開催されるG20の日程を参院選前の6月にしてもらった(マジですか!)という。

首相官邸筋は「全ては参院選を前に見せ場を作るためだ」と明かす。》

 用意周到ではないか。この記事を年頭に書ける読売の「取材力」もすごい。

 では正解は一年後。どうなったか?

 同じ読売に答えが発表されていた。大晦日の[回顧2019]という記事が面白かった。
晦日の記事にクイズの「正解」が……
《首相やその周辺は今年初め、5月の改元やトランプ米大統領国賓来日で見せ場を作った後、6月の大阪での主要20か国・地域(G20)首脳会議に合わせた日露首脳会談で北方領土問題を大筋合意に導き、夏の参院選に合わせて衆院選を行う「衆参同日選」に打って出る青写真を描いていた。大勝して憲法改正に弾みをつける腹づもりだった。》(2019年12月31日)

 衆参同日選に打って出る青写真を描いていた、と普通に書いてある。同日選の噂は本当だったのだ。年末に秘話を大サービスしてる読売師匠。

 同日選を見送った理由は、

・日露交渉は暗礁に乗り上げ、目算は狂った。
・「老後の生活資金に2000万円が必要」とする政府の金融審議会の報告書で年金不安が高まるなどの誤算も重なり、首相は同日選見送りを余儀なくされた。

 という理由らしい。大晦日の記事にクイズの「正解」が書かれていた。

毎日社説には「国会から逃げた首相」
 さて、読売の「正解は一年後」記事に繋がっていたのが同じく大晦日毎日新聞社説である。

「安倍政治、この1年 ほころび隠せぬ最長政権」(2019年12月31日)

 次のお叱りが強烈だった。

《この1年、一段とあらわになったのは長期政権のおごりやひずみである。国会軽視どころか、議論を封じて逃げる姿勢も際立った。》

 逃げたのはゴーン被告だけではなかった。毎日社説は「国会から逃げた首相」と書いた。続けて《「議論封じ」を象徴したのが、金融庁の審議会が6月、夫婦の老後資金は公的年金だけでは「約2000万円不足する」と試算した報告書をまとめた一件だ。》

 この問題は国民全体で議論する好機となったはずだが、《直後の参院選で争点になるのを恐れて、麻生太郎副総理兼財務相は報告書を受け取らず、報告書をなかったことにしてしまった。》

 この部分、読売が大晦日に書いた「同日選を見送った理由」と併せて読むと面白い。いかに政権が年金2000万円問題についてマズいと思ったか想像できる。その結果「議論封じ」「逃げる」(by毎日社説)という選択をしたのである。

ここで登場するのが「五輪花道論」
 その毎日新聞の元日号には「政界展望2020」という特集があった。2020年に安倍首相が衆院解散・総選挙を行うかどうか、という予測記事である。

・最も早いタイミングは1月末~2月初旬。19年度補正予算案が成立した直後。
・予算成立後の4月や会期末の6月の解散も取り沙汰される。6月解散なら7月5日投票の東京都知事選と同日の可能性もある。
・与党内で有力視されているのが、東京五輪パラリンピック(7月24日~9月6日)後。「五輪が盛り上がれば、政権批判は収束する」(閣僚経験者)と期待する声もある。

 これら具体的な日程予想もあったが、興味深かったのは次だ。安倍首相が解散せず総裁任期満了を迎えた場合、

《21年9月選出の新総裁が、翌月の10月任期満了の衆院選を仕切ることとなる。新総裁の支持率が高ければいいが、低ければ態勢立て直しの時間すらない。ここで登場するのが「五輪花道論」。首相が五輪後の今秋に退陣し、禅譲した新総裁に余裕を持った解散の選択肢を委ねるシナリオもささやかれる。》

 余裕を持って五輪を花道にすればその後も影響力を保てる?

究極の「正解は一年後」の見出し
 一方で、1月7日の朝日新聞麻生太郎副総理や二階俊博幹事長が党則を改正して「安倍4選」論に言及していることに注目し、《党内では任期中の憲法改正実現を名目に、首相の総裁任期を1年限定で延長する「奇策」もささやかれる。》

 退陣予想もあれば総裁延長論もある。一体どっちなんだ。いずれにしても「正解は一年後」である。

 では最後に究極の「正解は一年後」の見出しを紹介しよう。元日の産経新聞である。私は一面の見出しに目を奪われた。

「日本は五輪で再生する」

 なんか、ここまで五輪頼みだと切ない。

 そもそも五輪とはアスリートのためのものだと思っていたが……。

 では日本は再生するのだろうか。

 正解は一年後です。(プチ鹿島


これ『紙面で追う「正解は一年後」 「国会から逃げた首相」の「五輪花道論」はどうなる?』と題した文春オンライン1/10(金) 6:00の配信記事だ

 

政治に興味を持って50年、今度だけはと願いつつも、いつも騙されてきた政治と行政、停滞した我国を飛躍させるためにも、マンネリ打破のためにも新しい斬新な人に今後を託したい。
確かに政治には原則通りに行く事は稀であるかも知れないが、間違ってても国民にその経緯を真摯に説明する事は国を預かる者として当然の責務である。にも拘らず現安倍首相は常に自ら「真摯に丁寧に説明」と叫びつつ、一度もその説明責任を果たしていない。にも拘わらず菅官房長官の言を借りて他人にはそれを課す様は一国の宰相として、いや人間としても異常とも言える質とは言えまいか。これも小選挙区比例代表制と言う選挙制度の驕りの代償とも言え、正に時期的に運の良い男である。それにしても半分以上の国民の不満を吸収して弾劾出来ない野党のだらしなさも戦後稀に見るだらしなさである。長期独裁政権と言える状況でありながら、戦後の日本の最大の懸案事項、北朝鮮拉致問題解決や北方領土返還問題等、外交の安倍として何一つ解決を見ないでいる様は、この長期政権の主として今後の学校教育の教科書にどんな評価として捉えられるのか非常に興味深いと私は思っている。