政治が信頼を失うということは、怖ろしい。森友、加計問題で、安倍政権のウソが次々に明るみに出るにつれ、過去の“実績”にも疑いが浮かんでくる。隠蔽、改ざん、ごまかし、強弁……すべて同じ手口だったのではないのか。安倍政権「疑惑の5年半」を徹底検証する!
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「トランプは今回も一番最初に連絡をくれたよ」
懸案山積みの内政を離れて、得意の外交で巻き返しを図りたい首相は明るい表情を見せようとしていた。
しかし、犬は首相の邪(よこしま)な心を見抜いていたのだろうか。平昌五輪フィギュアスケートの金メダリスト、ザギトワ選手に贈られた秋田犬「マサル」。犬好きの今井尚哉首相秘書官から抱き方のレクチャーを受けた首相だったが、「マサルは最後までなつかずに、逃げ出したそうにしていた」(外務省関係者)という。
今回の訪露には、外遊には必ず同行するはずの佐伯耕三首相秘書官の姿がなかった。中江元哉首相秘書官とともに日本に居残り、28日の予算委員会に備えて答弁作成にあたっていたのだ。佐伯氏は、戦後70年談話など重要原稿の多くを手掛けた最側近の一人。その“答弁のプロ”にはロシア外交ではなく、予算委対策に集中させたのだった。
首相周辺が明かす。
「それだけ首相は野党からの追及を警戒していたのです。帰国後は富ヶ谷の私邸に直行し、西村康稔官房副長官らも加わって、答弁の準備を重ねていました。中でも気にしていたのが、訪露中に新たな動きがあった加計学園問題です」
首相はこれまで加計の獣医学部新設の計画について初めて知ったのは、17年1月20日だと答弁してきた。だが、愛媛県が作成した文書によれば、15年2月25日、加計孝太郎理事長が首相と面会し、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相は「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」とコメントしたと記されていた。
〈何らかの打開策を探しておりました。そのような状況の中で(略)当時の担当者が実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と市に誤った情報を与えてしまったように思うとの事でした〉
「万が一、加計のコメントが事実だった場合、虚偽の報告をもとに巨額の公金を得たことになる。中村時広県知事は『首相の犠牲になって加計がついたウソでは。もし本当なら、カネのことは加計とやりあわないといけない』と語気を強めています」(愛媛県幹部)
問題の「担当者」は、加計学園の渡邉良人常務理事とされる。官邸で柳瀬唯夫首相秘書官と面会した一人だ。渡邉氏を直撃したが、
「ウソ? ウソの報告。はあ、うんうん、今外に出ているので、はい、はい」
と語るのみだった。
「野党議員の質問を、首相が『委員が作られたストーリーなんだろう』と切り捨てると、議場は大荒れになった。入念に準備したわりに冷静さを欠く面もありました」(前出・首相周辺)
果たして首相の説明は納得を得られたのか。小誌はメルマガ読者を対象に緊急アンケートを実施した(回答総数=994)。