9日、公明党の北側一雄中央幹事会会長は、改憲について「与党間で何か行うことは前提にしない」と自民党との事前協議をキッパリ否定。事前協議をすることで、支持母体の創価学会員に「改憲に前向き」と受け止められることを公明党の幹部は恐れているという。
「10月の総選挙で公明党は5減の29議席に終わりました。比例代表では、2000年以降の衆参両院選を通じて初めて700万票を割った。これは一部の学会員が批判の意味を込めて立憲民主党に投票したり、無効票を投じたからといわれています」(創価学会関係者)
■改憲路線、公約反故に学会員がカンカン
「今回、公明党は『5歳までの幼児教育を全て無償化する』と公約に掲げました。安倍首相も教育無償化について『全ての子供たち』と言っていたくせに、選挙が終わった途端、認可外保育は対象外にしようとしていると判明。選挙で汗を流した学会婦人部はカンカンです」(ある婦人部会員)
こうした動きを察知した創価学会は、沈静化のために先手を打とうとしているようだ。例年、学会は創立記念日の11月18日前後に幹部人事を行う。今年は“官邸とのパイプ役”と呼ばれる幹部を要職から外すのではないか、という情報が流れている。
「この幹部は菅官房長官の“盟友”といわれています。今回、安倍首相が解散・総選挙に踏み切ろうとしていることを知ると、足元の改憲反対派の学会員の反発を危惧して『都議選が終わったばかりで準備が間に合わない』『年末にするよう首相を説得して欲しい』などと菅氏に要請したといいます。ところが、やんわりと押し切られて選挙に突入。結果、公明党の議席を大きく減らすことにつながった。創価学会が本当にこの幹部を要職から外すことになれば“懲罰人事”になりますが、同時に“官邸との決別”も意味します」(前出の創価学会関係者)
こうした公明党の事情を知ってか知らずか、安倍首相は8日夜、「憲法を変えることを支持されたと思っている。できれば早めにしたい」と明言した。解けそうな“下駄の雪”を捨てて、別の改憲勢力と手を組むつもりかもしれない。