米大リーグシカゴ・カブスの川崎宗則内野手が再びカブスと契約を更改した 野球技術だけでなくキャラ優先で米大リーグ球団と契約した選手は川崎宗則選手以外いない!

シカゴ・カブスからFAとなっていた川崎宗則内野手が、再びカブスマイナー契約を結んだ。古巣のソフトバンクホークスから好待遇を提示されていたのに、なぜ川崎はイバラの道を選んだのか。[臼北信行,ITmedia]≫
 
 人生、お金だけじゃない。プロ野球選手の川崎宗則内野手は、身をもってそれを示した。シカゴ・カブスからFA(フリーエージェント)となっていたが、1月4日、再びカブスマイナー契約を締結。今季も米国の地で戦う意思を固めた。契約内容は昨年と同じで50万7500ドル(約6000万円)、メジャーに昇格すると90万ドル(約1億円)のスプリット契約が付帯条項となっているとみられている。
 しかし今オフの川崎はもし6年ぶりに日本球界復帰の道を選べば、これ以上の条件を手にすることもできた。各メディアでも報道されていたように、2011年までプロ入りから12年間在籍していた福岡ソフトバンクホークスからは水面下で3年12億円の好待遇を用意され、強いラブコールを送られていたからだ。
 今年6月で川崎は36歳。昨季終了直後には自ら日本メディアの取材に対して「来年も米国でやるなんて胸張って言えない」と胸の内を吐露していた。それだけに今オフは古巣復帰を決断するベストタイミングと言ってもよかった。
 
 しかもこれだけの超破格条件だ。カブスマイナー契約と比較すれば1年の年俸計算にして約8倍もの額を手にでき、それがたとえ黙っていたとしても3年に渡って継続できる。高い年俸と、複数年の安定が保障されれば、普通なら大きく心が傾く材料となるだろう。ソフトバンク・川崎の誕生は時間の問題と見られていた。
 
■再びイバラの道を選んだ
 ところが、川崎は多くの関係者の予想など意に介さずあくまでも我流を貫いた。今年もメジャーチームのスプリングトレーニングに招待選手として参加するとはいえ、6年連続となるマイナー契約からのスタート。古巣が用意した「3年12億円」の好待遇を蹴って、またしても再びイバラの道を選んだ。
 カブスは昨年のワールドシリーズを制覇したディフェンディングチャンピオン。レギュラー陣容の多くが固まっていて、とりわけメジャーリーグの中でもポジション争いが厳しい。
川崎は内野のユーティリティー選手として多くのポジションをこなせるが、その強みがありながらもカブス移籍1年目の昨季は過去最少のメジャー14試合出場にとどまった。
 
 内野のレギュラー陣が負傷などで戦列を離れない限り、今季も立ち位置が急激に好転することは難しい(もちろん、川崎がスプリングトレーニングやオープン戦でカブスの内野レギュラー陣を脅かすような大暴れを見せれば開幕メジャー&開幕スタメンの座をいきなりつかむ“スーパー・サプライズ”を引き起こす可能性もある――ということは補足しておく)。
 そうなると川崎には、今季もまたマイナーリーグでの過酷な選手生活が待っている。20代の若いマイナーリーガーたちとの生存競争に勝ち、メジャー昇格へ向けてアピールを繰り返す日々を過ごしていかねばならない。そして実績のない彼らは川崎よりも条件の低い選手が多く、ハングリー精神旺盛だ。ベテランの川崎にとって、身内との戦いもきっと厳しいものになるだろう。
 さらにマイナーリーグの移動手段は基本的にバスだ。試合が終わると次の遠征地へ12時間以上もバスに揺られながら向かうなんてこともザラにある。早朝に宿泊地に着き、数時間しか眠れないままナイターを迎えることも決して珍しいケースではない。
 
 しかもマイナーではチームの宿泊施設がモーテルなどの安宿になることも珍しくない。割り当てられた部屋があまりに不衛生だと、ベッドバグ(ダニ)などの寄生虫がベッドに潜んでいる。かゆくて朝起きてみると体中が真っ赤……ということもある。実際にそんな悲惨な事例に直面してしまった話を複数のマイナーリーガーからか聞いたことがある。
 
■「巨人ブランド」にも興味なし
 マイナーリーグは我々の想像以上に過酷で劣悪な環境なのだ。昨季終了直後、川崎自身も日本のメディアに「もう長い時間(マイナーで)バスに乗りたくないけどね」と語っていた。
 にもかかわらず、川崎はどうしてカブスマイナー契約を結んだのか。ホークスに古くから身を置き、彼のことを入団当時から良く知るソフトバンクの球団関係者は次のように打ち明ける。
 「ムネはいつも前向きに物事をとらえている。人生は明るく楽しくなければダメだという考え方なのです。だからどんなにマイナスの出来事に直面しても、それを単に『悪いこと』としてそのまま受け入れてしまうのではなく、『良いこと』に置き換えてプラスに転じさせることができるのでしょう。
 
 内野のレギュラー陣が負傷などで戦列を離れない限り、今季も立ち位置が急激に好転することは難しい(もちろん、川崎がスプリングトレーニングやオープン戦でカブスの内野レギュラー陣を脅かすような大暴れを見せれば開幕メジャー&開幕スタメンの座をいきなりつかむ“スーパー・サプライズ”を引き起こす可能性もある――ということは補足しておく)。
 そうなると川崎には、今季もまたマイナーリーグでの過酷な選手生活が待っている。20代の若いマイナーリーガーたちとの生存競争に勝ち、メジャー昇格へ向けてアピールを繰り返す日々を過ごしていかねばならない。そして実績のない彼らは川崎よりも条件の低い選手が多く、ハングリー精神旺盛だ。ベテランの川崎にとって、身内との戦いもきっと厳しいものになるだろう。
 さらにマイナーリーグの移動手段は基本的にバスだ。試合が終わると次の遠征地へ12時間以上もバスに揺られながら向かうなんてこともザラにある。早朝に宿泊地に着き、数時間しか眠れないままナイターを迎えることも決して珍しいケースではない。
 
 しかもマイナーではチームの宿泊施設がモーテルなどの安宿になることも珍しくない。割り当てられた部屋があまりに不衛生だと、ベッドバグ(ダニ)などの寄生虫がベッドに潜んでいる。かゆくて朝起きてみると体中が真っ赤……ということもある。実際にそんな悲惨な事例に直面してしまった話を複数のマイナーリーガーからか聞いたことがある。
 
■「巨人ブランド」にも興味なし
 マイナーリーグは我々の想像以上に過酷で劣悪な環境なのだ。昨季終了直後、川崎自身も日本のメディアに「もう長い時間(マイナーで)バスに乗りたくないけどね」と語っていた。
 にもかかわらず、川崎はどうしてカブスマイナー契約を結んだのか。ホークスに古くから身を置き、彼のことを入団当時から良く知るソフトバンクの球団関係者は次のように打ち明ける。
 「ムネはいつも前向きに物事をとらえている。人生は明るく楽しくなければダメだという考え方なのです。だからどんなにマイナスの出来事に直面しても、それを単に『悪いこと』としてそのまま受け入れてしまうのではなく、『良いこと』に置き換えてプラスに転じさせることができるのでしょう。
 
 だから今、米国の異文化の中でマイナーリーグという劣悪な環境下においてさまざまな困難に直面していると思うけれど、彼の場合はそこで“格闘”していることが喜びであって自分のエキスとなっているはず。ムネは究極のポジティブシンキングの持ち主なんですよ。
 そりゃあ日本のホークスに戻って来たら、待遇はグンと良くなって安定もするので、米国の環境よりも比較にならないほどラクになるはず。でも彼は安定よりも少々波乱含みのほうが、今は楽しめるということなのでしょう。いずれにしてもすごくたくましい精神の持ち主。さらに、あれだけ自分にピュアなのは同じ男としてもうらやましい」
 古巣のソフトバンクだけではない。正二塁手がなかなか固定できずチーム編成に苦しんでいた巨人からも川崎は昨年カブスをFAとなった早々に水面下で某ルートを通じてラブコールを送られていたという。しかし結局、正式な獲得オファーと条件提示を受ける前の時点でその巨人行きをにべもなく断ったと聞く。多くのプロ野球選手にとって魅力的に映るはずの「巨人ブランド」にも、まったく興味がなかったようだ。
 
■川崎の“見えにくい働き”
 そんな川崎と引き続きマイナー契約を結んだカブスのセオ・エプスタインGMのコメントもここで掲載しておきたい。これは昨年7月時点での言葉だが、同GMは川崎の“見えにくい働き”について激賞している。
 「彼の優れた部分はプレー以外のところにもある。どんな時でも明るく振舞うことを忘れず、全力を尽くしている点だ。メジャーリーグであろうが、マイナーリーグであろうが、常に変わらない姿勢で戦い続けているから周りの選手やスタッフたちにもいい影響を与える。彼のような役割を果たすプレーヤーは非常に数少ない」
 苦労を重ねていながらも笑顔を絶やさず、常に猪突猛進。そういう今の自分を川崎は、おそらくとても気に入っているのだろう。今年またカブスマイナー契約を結んだことが、それを証明している。
 幸せは安定とカネを追求することだけじゃない。必死であがき、いつもポジティブな姿勢を貫きながら上を目指して這(は)い上がろうとする川崎に何か忘れかけていた男のロマンを感じる。米国のチームメート、そしてファンに「ムニ・マニア」が多数存在するのも何ら不思議なことではない。
 川崎はイバラの道を乗り越えて、メジャー定着を果たすことができるのか。もしできなくても、私たちを楽しませてくれるに違いない。
 
 ■臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:
 国内プロ野球メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
 
 
これ『「高年俸と安定を蹴った「ムネリン」の生き方』と題した産経デジタルiza 120 14:18の記事だ。
 
 
この川崎さんは特異なキャラである。性格的に明るい。そしてその土地に溶け込むのが上手い。これは天性だろう。動画で見たが英語ペラペラと言うよりジョークで話してると思うくらいの感覚英語だ。カブスが何で川崎と契約したか解る気がした。野球だけでないキャラで大リーグに売った選手はこの川崎以外はいないと思う。カプスはプラスαを求めて契約したのだろう。それだけ川崎宗則と言う選手の特異なキャラの偉大さが解ろうと言ものである。