自民党の厚生労働関係など合同部会は17日、低所得年金受給者へ3万円を給付する措置など2015年度補正予算案に計上する厚労分野について了承した。合同部会での議論は16日に続いて行われ、この日も若手議員を中心に「ばらまき」批判が続出したが、幹部らが押し切った。野党は追及する構えで、年明けに始まる通常国会の補正予算案審議の焦点になりそうだ。
「党の提言に基づいて首相の指示で組まれたものだ」
稲田朋美政調会長は高齢者優遇などを巡る反対意見に対し、こう切り返した。しかし、「政府から言われてうのみにするようでは困る」「政調会長が官邸に言われたから、その通りやるなんておかしい」とさらなる反論が出し、会議は最後まで紛糾した。
3万円給付は1億総活躍社会実現に向けた施策の柱で3620億円を計上。賃金引き上げの恩恵が及びにくい低所得高齢者の個人消費を喚起し、景気底上げを図る狙いだ。16日の合同部会で「なぜ高齢者ばかりなのか」などと異論が相次いで了承が見送られ、17日も「若者対策もしっかりやるべきだ」などと批判が続出した。
さらに、16日の与党政策責任者会議で、消費税の8%引き上げに合わせて14年度から支給されている「子育て世帯臨時特例給付金」の16年度支給見送りを決めたことから「子育てを切って高齢者に回すという間違ったメッセージを国民に与えることになる」などと警戒する意見も出た。
自民党の財政再建に関する特命委員会(委員長・稲田朋美政調会長)が検討している最終報告書案の全容が12日、分かった。来年度予算から集中的に社会保障費の抑制など歳出改革に取り組む必要があるとした上で「不確実な税収増の議論や歳出抑制の先送りは政府・与党として国民や市場から信頼を失う」と強調、高い経済成長に伴う税収増を追求して財政再建を目指す政府の経済財政諮問会議に異例の注文をつけた。
安倍晋三首相が議長を務める諮問会議は10日、高成長による税収増で国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の赤字を改善し、その後に本格的な歳出改革に切り込む「二段構え」の財政再建策を提示したばかり。政府は経済財政運営の指針「骨太方針」を6月末に策定するが、党側が高成長プランに「待った」をかける形になった。
対立点は明確だ。諮問会議は、平成32年度にPBを黒字化させる政府目標の達成に向け、実質国内総生産(GDP)の伸びが2%以上、名目で3%以上という高成長シナリオを前提に議論している。29年4月の消費税率10%引き上げに伴う税収増を織り込んでも、32年度には9・4兆円のPB赤字が残るが、この穴埋めの大半も追加的な歳入増に期待している。
これに対し、報告書案は「楽観的な経済前提での税収増を通じた収支改善を見込んでも、PB黒字化の目途が立たないことは明らか」と批判した。来年度予算から歳出改革を行うことが不可欠とし、30年度に歳出額の目標を設けて改めて歳入・歳出改革を検討すべきと明記。「(内容が)骨太方針に具体的かつ明確に盛り込まれるべきだ」として、6月中旬に提出する安倍首相に再考を求めた。
締めくくりで「政治が歳出改革や国民負担をお願いすることを逡巡(しゅんじゅん)し改革を先送りしてきた結果、財政が悪化の一途をたどった」と政治の責任にも触れた報告書案。諮問会議と党側の主張が対(たい)峙(じ)する中、骨太方針と財政健全化計画の策定までにいかに着地点を見いだすのか。経済再生と財政再建の二兎を追う安倍首相の手腕が問われる。(尾崎良樹)