円安は本当に喜ばしい事なのか

円安は日本企業にとって何のメリットもない
 
ついに1ドル100円の大台を突破した円相場。日経平均株価も1万5000円を超え、アベノミクスが日本経済を長引く不況から脱出させる起爆剤になるとの見方が強まっている。しかし、日本企業にとって円安は本当に喜ばしいことなのだろうか。
 
大手外資系金融機関のエコノミスト、T氏が言う。
 
「まずは円安が急に進んだ原因を理解するべきです。アベノミクスの影響も半分ありますが、もう半分はドル高によるものです。日銀が大胆な金融緩和の実行を宣言し、日本円の流通量が大幅に増えることになった。量が増えれば1円当たりの価値は薄まるから円が売られることになった。これがアベノミクスの影響です」
 
では、円安が進む理由となった国際情勢による影響とは?
 
アメリカではリーマン・ショック対策のため、4年前から大規模な金融緩和が行なわれていました。つまりずっとドル安だったのです。しかし今はアメリカの景気が明らかに好転基調のため、近いうちにインフレ回避のための金融引き締めが行なわれることが予想される。つまりドルの流通量が減り、1ドル当たりの価値が上がるので、ドル高になるわけです。このように、円安とドル高が同時に予想される状況となり、急激に円が売られ、ドルが買われたのです。」(T氏)
 
しかし、重要なのは円安が日本にとって損か得かだ。
 
「明らかに損です。現在、日本の貿易収支は史上最大の赤字状態です。原発の停止で原油天然ガスの輸入量が急増したことなどが主な原因です。よって円安の進行はエネルギーコストの増大を招き、日本の富が外国にタレ流されることを意味するのです」(T氏)
 
だが、自動車などの製造業は、円安を歓迎しているとの報道もあるが……。
 
「製造業にはメリットが大きいと考えられがちですが、国内で物を製造する際には必ず大量の光熱費を使うので、エネルギーコストの上昇は製造コストの上昇とイコールなんです。だから世間でいわれるほど利幅は上がりません。最近のニュースではトヨタ自動車などの大手メーカーが大きな利益を上げているなどという浮かれたニュースが飛び交っていますが、テレビも新聞も無知の集団だと言うほかありません」(T氏)
彼によると、アベノミクスはデメリットのほうが大きいのだという。
 
「多くのメーカーが海外で今販売している商品は、円高時代に仕入れた材料で、円高時代のエネルギーコストで製造され、安い燃料を使った船で運搬されたものです。だから今の利幅が大きいのは当たり前なんです。もちろん、海外に生産拠点を持っている企業は円安の影響はほとんど受けません。アベノミクスのせいで燃料調達費が高騰したため光熱費や運搬コストが上昇し、今後は輸入品はもちろんのこと、多くの食料品も値上がりして生活コスト全体が急上昇する。でも給料は変わらないので、一般庶民は実質的に今よりも貧乏になると思います」(T氏)
 
こうした見通しについて、報じられることは残念ながらほとんどない。政治家もマスコミもアベノミクス効果に大ハシャギしているが、日本経済はまったく成長していないようだ。(取材・文/菅沼 慶)
 
 

これ週プレ(週刊プレーボーイ)の記事である。
 
 

 私は全てこの通りと思っているから、論評する事無い。