大震災で息を吹き返した土木大手ゼネコン、逆に倒産の危機地元土木業者

 ゼネコン(総合建設会社)大手4社の2011年4~12月期決算が7日出そろった。東日本大震災の被災地のがれき処理などで受注が増加し、鹿島や清水建設は国内官公庁から受注した土木事業が前年同期比で倍増した。ただ、こうした復興需要の受注などで全社増収となったものの、労務費上昇などで工事の採算が悪化し、買収したカナダの土木会社が好調だった大林組を除く3社が営業減益となった。
 最終損益ベースでも3社が減益。大成建設は、不動産事業を行う子会社の持つ賃貸用不動産の減損損失などを計上したことで、61億円の赤字(前年同期は73億円の黒字)に転落した。
 通期予想は、鹿島と大成建設が据え置いたが、法人税率の引き下げで回収が見込めなくなった繰延税金資産の取り崩し計上などで、清水建設は最終利益を、昨年11月の予想から45億円引き下げ65億円に、また、大林組は90億円引き下げ60億円にそれぞれ下方修正した。
 11年10月~12月期は、鹿島が宮城県東部地区と岩手県宮古地区のがれき処理を受注したほか大林組宮城県亘理地区のがれき処理を受注。他社も復旧関連需要が受注増に結びついた。
 各社とも「復興事業が本格化するまでにはかなりの時間を要する」(大成建設)との見方が強く、復旧需要が収益に効いてくるのは来期以降とみている。このため、復興に向けた技術開発などの準備を強化する一方で、「成長戦略の柱の1つである海外の土木、建設事業に力を注ぐ」(大林組)動きが一層強まりそうだ。
 
これSankei Bizの2012/2/8の記事である。
 

 小泉内閣以来の建設需要の落ち込みと、最近のデフレ不況とのダブルパンチにより、建設産業は青色吐息であった。建設業者の倒産が相次ぎ、生き残った業者も、ちょっと指で押されただけで倒れる者が殆んどに近い状況である。土木大手ゼネコンもご他聞に漏れず、このままの状況が後2年も続けば、イェローカードどころではないレッドカードを突きつけられるは必定な状況であった。今回3.11の大震災は正に建設産業にとっては神風そのものに他ならない。不謹慎と言われるかも知れないが、事実明日の米に困っていた建設業者には「他人の不幸を喜んではいけない」が金の成る木が降ってきたようなものである。しかし、現実はゼネコンを除きかなり苦しく、もはや延命の措置以外の何物でも無いのである。
 
 順を追って説明したいと思う。
 
 その前に建設工事の概略を説明しないと理解が出来ないと思われるので説明したい。
 今の官公庁の建設工事を受注しようとすると、その発注官庁に事前に入札参加の願いを出しておいて、発注官庁の許可を得て登録をしておかねば入札に参加できないのである。地元の建設業者は住所地のある所の官庁には入札参加の願いを出しているが、近隣市町村の地元ゼネコンまでが限度となり他県の市町村の官庁まではよほど大きな建設業者で無ければ出していないのが現状である。所が土木大手ゼネコン4社を含めたゼネコンは全国のありとあらゆる市町村の官庁全てに出しているのである。
 そして、建設業者は常に入札参加の許された官公庁のホームページをウォッチングし目を光らせて入札の発注情報を逃すまいと必死に見ているのである。今は工事の発注は誰も教えてくれないのである。だから建設業者は常にパソコンとニラメッコなのである。
 
 少しでも発注情報を見たなら、即設計書や図面をダウンロードし直ぐに見積もり積算に入り、何時でも入札出来る体制を取るのである。昔と違って今は殆んどが一般入札だから、入札を許された全国の建設業者が誰が入札札を入れるのか解からないから、必然と入札金額は低くなるのが当然になってしまっている。つまり設計金額が100とした場合には95%や90%では受注は無理となるため、大概70%~75%位の間の戦いとなるのである。もし、それで無事落札したとしても、最初から営業経費と利益部分は無いのである。これではいくら受注したとしても、やればやるほど赤字を覚悟しなければならないのである。受注のメリットとしては資金繰りの返済財源としての金融機関へのネタに過ぎないのである。それに比し、ゼネコンはいくら安く受注しても自分の腹は決して痛まないのである。例えばあるゼネコンが1億円の工事を7千万円で受注したとしよう、受注先地元業者に半額の5千万円で下請けさせ、自分のところでは残額の2千万円を頂けば自分の懐は決して痛まないのである。その工事のために、ゆうに1億円の工事に社員を1人貼り付けさえすれば、決してボロ儲けは無いが、損はしない仕組みとなる。ところがそんな安い値段でやる地元業者が居るかとなればそれが不思議でも居るのであるから世の中でもある。前記したように、運転資金が無く、自転車操業の綱渡り地元業者は、損得別に金融機関へのネタのためにどんなに安くても下請けする業者は必ず居るのである。私はそうは思いたくは無いが、それを利用してるゼネコンも多いと聞く。
 
 このような事が続けば私が冒頭指摘したように、地元業者は全て倒産の憂き目を見、喜び生き残るのはゼネコンのみと成るは明らかである。
 
 その時には日本の建設産業は崩壊してるだろう。そう言う結末を国会や政府および行政は理解してるのだろうか。
 
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