「国民は菅首相をサポートすべき」の中島聡氏に反論

 我々コンピュータに興味を持つ人間からすれば、神様に近い中島聡さんではあるが、表題の考え方には共感は出来ない。まず、1昨日のLive door BLOGOSに紹介された彼のブログを紹介したい。

 
テーマ「政治ドラマはどうでも良いから政策そのものに目を向けよう」
 
 先日も書いた通り、多くのマスコミはこれほど重要な政策の変更を首相がぶち上げたにもかかわらず、その議論をそっちのけで政局(政治ドラマ)ばかりを報道している。そんなマスコミに踊らされて数ヶ月おきに首相をひっかえとっかえしているから、日本の国際政治の舞台での存在感が薄くなってしまうのだ。
 今、われわれ国民が注目すべきは、そんな政治ドラマではなく、日本の将来をきめるエネルギー政策そのものである。脱原発の是非、東電の破綻処理、被災者の補償、福島の子供たちの被曝問題、原発の安全管理組織のありかた、原発に変わるエネルギーをどう確保するか、などの個々の具体的な政策に関して、国民一人一人が理解し、議論を戦わせ、できるかぎり民意を反映した形での政策運営を政府がするように働きかけることが大切だ。
 ちなみに、エネルギー政策に関して、原発事故後に菅首相の打ち出した政策を時系列順に列挙すると以下のようになる。
 
・従来の原発中心のエネルギー政策の白紙撤回
・ストレステストを停止中の原発の再稼働の条件にする
原発に依存しない国を作るという「脱原発宣言」
原子力安全保安院経産省からの切り離し
・東電が拒否しつづけている遮蔽壁の早期着工指示
 
 日本の首相が、ここまではっきりと国民の意思を代表して、国民の利益のために既得権者からの権利を奪おうと政策転換をはかることは日本の歴史上きわめてまれな行動である。今この段階で、われわれ国民が菅首相をサポートせずに「民意を反映した政策の大転換」はありえない。私自身、決して民主党支持者でも左翼でもないが、今回にエネルギー政策に限っては菅首相をサポートすべきと考えたのは、これが理由である。
 ちなみに、せっかくここまで菅首相を持ち上げたのだから、ワガママを言わせていただく。この勢いで、以下のような政策を打ち出していただきたくようお願いする。
 
・東電の破綻処理(100%減資、債務・年金・退職金カット、一次国有化、経営陣の一新)
・被災者の補償責任の東電から政府への移行
経産省次官、原子力安全保安院院長、原子力安全委員会会長の解任
・東電の分社化、発送電の分離、発電ビジネスへの競争原理の導入
・火力発電への段階的なCO2課税の導入
高速増殖炉プロジェクトの白紙撤回
 
 特に東電の破綻処理は、被災者に対する早急な補償という面でも、発送電の分離を実現するためにも、早急に実現すべき。今のままの東電を救済したら、被災者の補償はますます遅くなるし、発送電の分離など不可能になってしまう。東電が、決算書に1000億の建設費用を将来の負債として乗せたくないだけの理由で(本来なら地下水の汚染を避けるために1日でも早く作るべき)遮蔽壁を工程表に乗せずに先延ばしにしているのも、何とか政府にコストを負担してもらおう、今の会社の形を維持したまま救済してもらおう、という「甘え」である。ここは財務省がどんなに反対しようと、破綻処理をして国民の負担を最小にすべきである。
 こんなことを言い出せば、大手マスコミの「菅おろし」の声はますます高まるだろうが、そんなものは無視すれば良い。民意を反映した、本当に日本の将来のことを考えた政策を出し続ける限り、国民はついてくる。
 
となっている。
 
 
 私からすれば、上記の考え・意見は正に正論であるし反対するものでも無い。がちょっと待った。確かに正論ではあるが、組織としての合意性が無い。私はすべての政策・意見・主義・主張を現実的に遂行させるには、互いどうしの「信頼」が基で成し得るものと思っている。これが無ければどんな立派な政策でも、絵に描いた餅と思っている。さすれば今回の菅首相の政策の提言はどうか?、菅首相は党内はもとより、閣内からさえも退陣を要求されている。だからこそ、菅首相は誰にも相談せずに、いや出来ずに「菅首相本人の思い」と断定したのでは無いのか。卑しくも、一国の首相が信頼されずにぶちあげた「重要と思われる政策」といえども閣内そして、省内の協力無くして、何が「重要政策」か。
 我々会社の組織で生きて来た者には、お互いが一致団結出来きてこそ成し得るその「信頼」こそ必要なのではと私は思う。
 
 少なくても、現在の菅首相衆議院の不信任案の採決の日に、党の両議院総会で自分で進退を明言し、党に身体を預けた形になっている身であるにも拘らずに、長中期的国のビジョンらしき政策を次から次へと打ち出している居る様は異常でさえある。こう言う状態では当然の如く「信頼」の欠片さえ無いのは当たり前である。
 
 中島さんは我々と違い、学生時代より、プログラマーとしての頭脳を生かした、ヘッドハンティングされるようなお方には、我々の、組織と言うしがらみの辛さは無かったからではないのか、と思った次第である。