第2弾事業仕分け第1日結果詳報

 行政刷新会議事業仕分け第2弾1日目の結果詳報は次の通り。
 ▽グループA
 【沖縄科学技術研究基盤整備機構沖縄科学技術大学院大学沖縄県恩納村)の開学に向けた運営委員会の年間経費3100万円に関し、沖縄振興につなげる発想がないとの批判が相次いだ。過去9回のうち沖縄での開催が3回だけであることを問題視した。
 同大学の施設整備費が当初の138億円から40億円も超過した理由について、説明者は研究者の要望を反映させたと釈明したが、管理の甘さを指摘、事務体制強化と予算縮減が必要と判定した。
 【国際協力機構(JICA)】昨年11月の事業仕分け第1弾でコスト削減を求められた運営費交付金に関する判定は「見直しが不十分」。仕分け人は調査研究の経費や人件費などの一段の縮減を求めた。所管する外務省は人件費をさらに引き下げると説明したが、それでも高額だとの指摘が出た。説明役の外務省の福山哲郎副大臣は施設の売却や統合にも言及した。
 有償資金協力(円借款)では、過大な開発事業によって途上国に巨額の債務が残る事態を防ぐため、融資の審査機能を強化するよう求めた。2010年度予算で8910億円に上る事業規模は、政府開発援助(ODA)の重要性を踏まえて「現状維持」と判断した。
 関連公益法人や関係の深い民間企業などとの取引については、透明性を欠いており縮減すべきだと判定。JICAのOBが役員を務める旅行代理店などについては情報公開の徹底を要請。12人の仕分け人全員の意見が一致した。
 JICAは、借り上げを含めて518戸ある国内の職員宿舎を420戸まで減らすと表明。ただ仕分けでは、国内勤務の職員1200人に比べてまだ多すぎるとして削減を求めた。
 【住宅金融支援機構】子育て世帯や高齢者向け賃貸住宅の建設資金を貸し付ける業務(10年度予算4085億円)と、マンションの建て替えなど民間のまちづくりプロジェクトへの資金貸し付け業務(同4037億円)はともに「廃止して民間に委ねるべきだ」として「廃止」と判定。実際の高齢者の入居率が低いことなどを理由に「政策目的に合っていない」と指摘した。
 民間金融機関を対象に住宅ローンの貸し倒れ分を補てんする住宅融資保険業務(同673億円)も「民間のビジネスとして成り立つ」などとして「廃止」を要求した。
 一方、長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の貸し出しを支援する証券化支援業務では、大幅な金利変動があった場合のリスクに対応するため毎年160億円投入されている出資金について、不要な分があるとして「不要資産の国庫返納」を求めた。
 ▽グループB
 【労働政策研究・研修機構】職業分類表や就職ガイダンスで使われる冊子を作る事業(10年度予算の事業費8600万円)が取り上げられ、仕分け人は「民間の方が優れたノウハウがある」「国費で行う必要があるのか」として「廃止」と判定した。
 労働基準監督署ハローワークの職員らを研修するための労働大学校(埼玉県朝霞市)については、「広大な敷地が無駄」「他省庁の同様の施設を使えばよい」との意見が相次いだ。仕分け人は「国などへ移管し事業規模を縮減」と結論付け、不要資産の売却や国庫への返納も求めた。
 【中小企業基盤整備機構】機構が運営する全国9カ所の「中小企業大学校」について事業の実施を「自治体や民間の判断に任せる」と判定。施設の稼働率が低いことが批判されたほか、自治体や商工会議所が連携することで必要な研修を提供できるとの意見が出た。
 中小企業が設立した事業協同組合などに融資する高度化事業は「事業を縮減」。余剰資金約2千億円程度の国庫返納を求めた。ベンチャー企業や中小企業に投資するファンドへの出資についても事業の縮減を求めた。
 【福祉医療機構公的年金を担保にした融資制度について、仕分け人から年金を担保にすることの是非に質問が集中。機構側が「民間では高齢者や低所得者は借りられない場合が多い。毎年21万人が利用し、98%が返済している」と必要性を訴えたが、「年金を担保としない融資制度の検討を」と求め、「廃止」と判定した。
 病院や特別養護老人ホームなどの整備資金を融資する制度は「ニーズが高い事業。よりスピーディーに実施を」と結論付けた。
 【労働者健康福祉機構】各都道府県に設置している「産業保健推進センター」は「縮減」と判定した。センターは産業医らが職場のメンタルヘルス対策などを相談する窓口。機構側は同センターを3分の1程度に集約する案を示したが、仕分けでは「3分の1縮減にとらわれないさらなる縮減を」と結論付けた。
 深夜業に従事する人が自発的に健康診断を受けた際に費用の一部を助成する事業は、利用が低迷しているため「廃止」とした。
 グループ30病院のうち、「労災疾病の患者は全体の5%」とする目標を大きく下回る施設が大半を占める実態が判明。専門病院としての役割を疑問視する仕分け人から「ほかの病院との統廃合や再編も議論する必要がある」との指摘も出た。事業縮減となり、「損益計算書などの情報公開が著しく不十分」と厳しい意見が付帯された。
 【国立病院機構】機構側は国からの財政支出削減などを提示したが、仕分け人からは「本部運営費を削るべきだ」などの意見が続出。事業規模縮減の判定となった。公立病院との役割分担に関する話し合いを行うなどガバナンス強化を求める意見が付けられた。
 【高齢・障害者雇用支援機構】各都道府県にある「地域障害者職業センター」を「縮減」。