安倍首相が掲げる「憲法改正論」 何で我々国民は安倍家の我儘に振り回されるのか!

 背景にあるのは祖父への強い思いなのでしょうか。今月の参院選の争点の一つになっている憲法改正安倍晋三首相は626日の記者会見で「選挙を通じて皆さんにぜひ、議論に参加していただきたい」と呼びかけ、憲法改正への強い意欲を示しました。では、憲法改正で何が変わるのでしょうか。そしてなぜ、首相は改憲にこだわるのでしょうか。
自衛隊は合憲になるの?
 「憲法にしっかりと『自衛隊』と明記し、違憲論争に終止符を打つ」――。首相は今年5月、改憲派の集会に寄せたビデオメッセージで、こう強調しました。災害救助や海外での人道復興支援などを行う自衛隊ですが、憲法学者の間では、憲法9条により「戦力」に当たりうるとして違憲との見方もあります。そうした状況を打破するため、首相が示したのが「9条の1項(戦争放棄)、2項(戦力不保持、交戦権の否認)を残しつつ、自衛隊を明文化する」との案です。つまり、1項と2項からなる9条の条文に、新たに自衛隊の存在を明記する条文を加えるという提案でした。

 「自衛隊は法律で規定された存在ですから、廃止することもできます。憲法に明記すれば法的根拠が強固になります。自衛隊の社会的な位置付けが上がり、自衛官の士気も高まるでしょう。少なくない憲法学者の中で自衛隊違憲との議論がありますが、明確に合憲となるわけです」。安倍首相の政策ブレーンで麗沢大教授の八木秀次さん(憲法学)はこう語ります。

 ですが、本当に安倍首相の案が実現した場合、自衛隊が合憲になるのか。それには懐疑的な意見もあるようです。
 
自衛隊明記でも違憲

 「『自衛隊』という文字が入れば、自衛隊自体は違憲と言いようがなくなりますが、本質的な問題の解決にはなりません」。こう語るのは、かつては改憲論者で自民党の政策ブレーンなどを務めてきた慶応大名誉教授の小林節さん(憲法学)。「日本は92項で国際法上の『戦争』の資格である戦力と交戦権を否定しているため、海外で戦争はできません。安全保障関連法で集団的自衛権が一部容認され、自衛隊は海外で武力行使ができるようになりましたが、自衛隊の海外での活動の違憲性はこれまで通りずっと問われることになります」

 自衛隊明記が実現しても、「違憲論争」が終止符を打つかどうかはまだ読めないところがあります。それでも首相はなぜ、改憲を目指すのでしょうか。

背景に祖父への思い?

 それを解き明かすキーワードがあります。それは2006年に初めて首相の座に就いた安倍首相が掲げた「戦後レジーム(体制)からの脱却」というスローガンです。

 首相は終戦直後の米国占領下で作られた諸制度のことを「戦後レジーム」と称し、その一環として、9条の改正や集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈の見直しに意欲を示しました。

 12年末、再び政権の座に返り咲いた首相はその後、このスローガンを封印しましたが、147月に集団的自衛権を一部認める憲法解釈を変更する閣議決定を行い、翌年9月には集団的自衛権の限定行使を可能とする安全保障関連法を成立させました。憲法解釈の変更は「解釈改憲」とも呼ばれますが、首相は悲願の一部を達成したともいえます。

 それでも首相は改憲に強い意欲を示し続けています。麗沢大教授の八木さんは「当初に訴えていた『戦後レジームからの脱却』から何も変わっていません」と分析します。そのうえで改憲に向けた首相の心境を語りました。

 「まずは国民が憲法改正を経験することが重要だと考えているのではないでしょうか。そうすれば、国民一人一人が国家や社会がどうあるべきかという議論がより具体的になるからです。国民世論が成熟すれば、自衛隊をきちんと軍として位置付けることも可能になると期待していると思います」
 
 さらに八木さんはこう続けました。
 「(安倍首相の)祖父・岸信介の遺志を継ぐという使命感も大きいと思います」

 岸元首相は、戦後に占領体制からの脱却や自主憲法制定を目指しました。安倍首相の「戦後レジームからの脱却」も岸元首相の影響が大きい、との分析です。

憲法を考える機会に

 自衛隊明記を掲げる安倍首相ですが、首相はこれまで、自衛隊明記ではなく、憲法96条を改正して国会で改憲発議の要件の緩和を訴えたことがあります。改憲の発議に必要な衆参の国会議員数を3分の2以上から過半数に引き下げる内容です。実は何を改正したいのかはっきりしないところもあります。

 慶応大名誉教授の小林さんは「改憲そのものが目的化してしまっている」と批判します。

 「改正の手続きを簡単にすれば、中身も容易に変わることになります。中身よりも先にルールを変えてハードルを下げるのは邪道です。憲法は主権者である国民が権力者を縛るものです。安倍首相はその考え方を軽視しているところがあり、非常に危険です」

 参院選では改憲議論の加速化を目指す首相に対し、野党が反発し、同じ与党の公明党も慎重姿勢を示しています。各党の主張に耳を傾けながら改憲の是非をあなた自身でも考えてみる良い機会になるでしょう。【鈴木一生】
 
 
これ「安倍首相が改憲にこだわる訳 祖父・岸信介の遺志継ぐ?」と題した毎日新聞2019 75 1401分の記事である
 
 
 政治に大義感は大事な事は良く解るつもりであるが、それの優先順位は国民の生活に直結した政策が終わってからの問題である筈だ! 大事な事を成し遂げる前にやる事ではない!
 安倍首相は国民の大多数が感じているデフレ不況を否定してるのか?
 今現在政府がやるべき事は、秋の10月からの消費増税の対処と並び、首相が称賛の「アベノミクス」でも上がらなかった賃金のための不況感の払拭が先ではと私は思う。国民のためと思うのであれば「憲法改正」より先ではと思う。何故我々は安倍家の先祖の思いに捉われなければいけないのか。自衛隊違憲だから憲法に明示しなければと言うのなら、安全保障関連法で集団的自衛権の行使が容認された閣議決定は何だったのか? 素人の国民は矛盾してると思うの当然ではないのか。