年金2千万円問題に見るまでもなく安倍政権の「政治主導」とはご都合主義だ!

 老後の資産形成を促した金融庁金融審議会の報告書が各方面から批判され炎上、参院選への影響を警戒する政府と与党からトカゲの尻尾切りのように突き放され、実質撤回に追い込まれた。報告書が配慮を欠く表現で不安をあおった点は否めないが、年金頼みの限界を直視した問題提起まで封殺される事態に専門家から疑問の声も上がる。報告書の受け取り拒否は、麻生太郎金融担当相が11日の記者会見で自ら切り出した。「世間に不安や誤解を与えた。政府の政策スタンスとも異なっている」。自ら諮問してお
きながら、異例のはしご外しとなった。
 金融金融審査会は長寿化による「人生100年時代」に備え、資産形成の必要性を国民に訴え掛ける目的で昨年秋から議論を重ねてきた。日本で初開催となった20力国・地域(G20財務相中央銀行総裁会議を前に高齢社会への対応を
アピールしようと3日に公表。ここまで批判を浴びるとは完全に想定外だった。
 金融庁の関係者は「頭の中が真っ白。政局になってしまい残念だ」と肩を落とす。「参院選前に大混乱を引き起こした」(国会議員)として、遠藤俊英金融庁長官の責任問題もささやかれる。
 世論の反応を見た与党は対応を急いだ。「事前に全く説明がなかった。極めてずさんだ」。冷静沈着で知られる自民党岸田文雄政調会長11曰午後、記者団の取材に珍しく語気を強め金融庁批判を展開した。
 二階俊博幹事長は微熱を押して党本部に現れ「有識者が勝手に言っているのではない。金融庁が関わっているはずだ」と金融庁への抗議を発表した。公明党山口那津男代表も「説明が足りなさ過ぎる」と痛烈に批判した。
 与党幹部が口をそろえて金融庁の独断専行だと責任を押し付ける背景には、参院選への危機感がにじむ。参院選は「7月4日公示―21日投開票」の日程が想定され、公示日まで1ヵ月を切る。自民党幹部
は「選挙に影響が出てはかなわない」として、なりふり構わぬ火消しに走った形だ。
 野党は批判のボルテージを上げる。立憲民主党辻元清美国対委員長は「年金問題参院選の最大の争点になる」と記者団に強調した。安倍晋三首相が10日の参院決算委員会で「100年安心の年金制度」と訴えたことに対しては「安心安心詐欺だ」とこき下ろした。
枝野幸男代表は党会合で、報告書受け取りを拒否した麻生氏や与党の対応を「選挙前は都合が悪いから受け取らない、撤回しろという話はあぜんとせざるを得ない」と非難した。
 報告書が政局の渦中でお蔵入りする事態となったことに、専門家の見方は複雑だ。小黒一正法政大教授(公共経済学)は「自助努力を促した報告書の方向性は間違っていない」と指摘。若者の非正規就労や高齢者の貧困が拡大している現状が、今回の報告書に対して反発が広がったことの下地にあると分析する。
 金融審議会のメンバーとして報告書の作成を担った池尾和人立正大教授は「年金の給付水準はこれから下がっていく。不都合な真実を伝えるのが誠実な態度だ」と強調。老後の蓄えの必要性を説いた報告書は当たり前のことしか書いていないとし「年金だけで悠々自適に暮らせると思っているのか、逆に国民に問うてみたい」と嘆いた。
 
 
これ「老後資金2千万円問題 年金頼みの限界を封殺 金融庁に責任押し付け」と題したあるローカル紙の12日の記事である。
 
 
言うまでもなく、旧来の自民党政治の諮問委員会や諮問会議とは表向きの名ばかりで、自民党の胸先三寸の要求に沿った答申が当たり前だった。有識者の面々も名を欲しい者ばかりで、矜持のある者は入らなかったと聞いている。今回もそうだと思うが、何せ政治の責任者が馬鹿だったから、あんな報告しかできなかったのだろう。自分の失態と言うより、それしか政治家としての脳がなかったのだろうが、自分の失態を棚に上げて、都合が悪ければ役人に責任を押し付ける。この様は安倍政権の政治家(私は彼らを政治家とは思っていないが)の程度の低さを物語っている。本当に恥ずかしい。