元官僚高橋洋一さん無能とコキおろした前川さんより無能では

■あの会見の「問題点」とは?
先週の本コラムでは「加計学園問題の本質は何か? このままでは政府の勝ちで終わるだろう 既得権維持派が何を言っても…」(http://gendai.ismedia.jp/list/serial/news_takahashi)と題して、加計学園の問題についての解説を書いた。
 
この問題の背景には、獣医学部新設を巡り、規制緩和(新規参入)と規制維持(新規参入阻止)の争いがあると指摘した。その一環として、政府を追及している民進党玉木雄一郎議員が、新規参入阻止側の日本獣医師政治連盟から献金を受けており、その意見をもとに国会で質問していることを示唆した。
 
そうしたら、先週25日(木)、前川喜平・前文部科学事務次官25日に記者会見を開き、「総理のご意向」などとする、文科省の(ものと言われる)文書を「本物だ」と発言した。
 
これに対して、民進党は大喜びし、文書を「スクープ」した朝日新聞をはじめとする一部のマスコミも、大変に盛り上がってさかんにこれを報道している。
 
しかし、筆者の目から見れば前川氏の会見は、元官僚とは思えないほどのアラが目立つものだった。そして、何よりこの会見によって、加計学園問題の本質は、やはり新規参入推進の内閣府と、新規参入阻止の文科省の争いであることがより明確になったといえる。
 
筆者の現時点の考えは、先週の本コラムで指摘した「森友学園問題と同じように、安倍政権へたいした影響を与えない可能性が高いだろう」というものとまったく変わっていない。まさに、加計学園問題は「第二の森友学園問題」であり、森友学園問題のように壮大な「空振り」で終わるだろう。
 
森友学園問題では、野党とマスコミは、近畿財務局の「大チョンボ」が原因であったことが明らかにもかかわらず(201743日付け「森友問題は結局、財務省の大チョンボ!? 3枚のメモから見えた真相」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51362)総理の「関与」があったという前提で物事をみていたので、「空振り」になったのだ。
 
今回の加計学園問題でも、実はその構図は似ている。文科省内閣府との交渉議論に負けただけなのに、野党とマスコミは、そこに総理の「意向」があるはずと思い込んでいるのだ。森友学園問題で空振りをした野党とマスコミは、まったく学習効果がないのだとあきれてしまった。
 
■これは、文科省の責任だ
この検証は、幸運なことに前川・前次官の会見からほとんど行うことができる。発言の詳細な内容は、マスコミ各紙で報じられている。そのポイントは、
 
①あの文書が本物だった
②文科行政が歪められた
 
という2点につきる(なお、前川氏が出会い系バーに出入りしていたという話もあり、一般的にはこちらで盛り上がっているようだが、残念ながら筆者はその方面の土地勘がないのでコメントできない)。
 
①については、本コラムで書いたように、仮に文科省の官僚があの文書を書いたとしても、オリジナル、つまり一次情報ではなく二次情報であるので、資料としては二流品、三流品である。内閣府側の発言と齟齬があるなら、文科官僚の書いたとされる文書がデタラメ、という可能性もある。
 
筆者は、27日に出演した関西のテレビ番組で、文書は文科省内閣府の両者が確認・一致しないと意味がないといった。ランクの低い官僚にはあの文書をチェックすることができないのをいいことに、直接的に聞いたわけでもない「総理の意向」という言葉を使って物事を推し進めようとするのは、官僚の世界ではよくある手法だ、とも指摘した。
 
それに官僚が、交渉の相手となる他省庁の官僚の要求について、文書で大げさに強調することは、かなり一般的に見られるのだ。
 
いずれにしても、文書が文科省のものであっても、「総理の意向」という発言があったのかどうか、その証明にはなにも役立たない代物であり、その意味では出所不明の「怪文書」と大差ない、価値のない文書なのである。
 
今後、内閣府担当者が、交渉の場で「総理の意向」と発言していた録音テープでも出てこない限り、この文書は役にたたないだろう。
 
それでもなぜメディアはこれを大袈裟に報道するのか。筆者には、役所文書というと、ありがたい情報として扱う、日本のマスコミの体質にも問題があると思う。
 
筆者は大蔵官僚時代に、マスコミからしばしば「ブツ」「カミ」をくれとよく頼まれた。それに対して、役人が上司に上げる紙の中には、いい加減なモノも少なくないと言っても、それでもいいからくれ、とよくせがまれた。マスコミから見れば、役所から入手した「ブツ」は絶対的なもので、裏をとらなくてもいいもの、という過信があるのだ。
 
さて、続いて②についてだが、前川氏は致命的な発言をしている(https://mainichi.jp/articles/20170525/mog/00m/040/008000c)。
 
前川氏は会見で、2015年の閣議決定http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu22/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/09/02/1361479_14.pdf)において、獣医学部設置に関する将来の需給見通しなどの4条件が示されているが、加計学園獣医学部新設が、それらの4条件に合致していることが説明されていないと記者会見で述べている。
 

 
 
しかし、この4条件をチェックするのは、文科省の責任である。大学の設置認可権限を持つのは、言うまでもなく文科省である。文科省以外の省庁が何かやってくれるのを待っても無駄だ。
 
もし、そのような他力本願体質なのであれば、文科省は許認可行政なんかやめたほうがいい。そのほうが大学関係者は喜ぶだろう。
 
文科省の負けは見えていた
もともと大学については設置の自由があり、その上で許認可を欠けて設置の自由に制限をかけるので、その説明責任は許認可を持つ官庁にある。獣医学部は、これまで52年間も新設が認められなかった「岩盤規制」である。そこで、戦略特区法や閣議決定で、こういうときには認めるという枠をはめている。
 
具体的には、歯止めをかけたいのならば、文科省が「需要見通しをつくったが、これでは新設学部は不可能」と証明すればいいだけだ。前川氏の会見を聞いていると、需要見通しは農水省が作ってくれなかったとか泣き言ばかりで、許認可官庁としての責任をみじんも感じられなかった。
 
前川氏は、行政が歪められたらというが、単に文科省の意見を納得がいくように説明できなかっただけだ。くだらない愚痴は退任後にいうべきでなく、現役時の時に、仕事の中でいうべきだ。
 
実は、前川氏が言及した閣議決定での4条件において、「需要見通しが立たない」ことを上げた段階で、文科省の負けはみえていた。
 
一般論としては、需要見通しは(それがきちんと作られたものであるならば)、それを論破するのはなかなか困難である。需要見通しは、複数の方程式体系からなる数理モデルであって、文系事務官僚の手に負える代物ではない。
 
実のところ筆者は、需要見通しを見破る役人として霞ヶ関では名前が通っていた。道路公団の民営化の際、国交省が作成した資料のなかで、道路5ヵ年計画の基礎資料になっていた道路需要見通しについて過大に行っていると指摘したこともある。
 
官邸から依頼されて、5000本程度の数式モデルからなっている道路需要推計モデルについて、2週間程度ですべて検証し、数本の式の推計に誤りがあったので、再推計したところ、道路需要が数%過大になっていたわけだ。その結果当時の国交省道路局長はこの誤りについて謝罪した。
 
ただし、需要見通しではこのような客観的な誤りを見つけられなければ、受け入れざるを得ない。そもそも「数式上のバトル」なので、文系官僚には手がでない分野だ。
 
国交省などには、こうした数量モデルに強い技官が多数いるために、自前で需要推計モデルを持っており、自前で需要見通しを作れる体制になっている。しかし、文科省ではその体制ができていない。
 
前川氏はそれについて「農水省が需要見通しを作ってくれなかった」という泣き言を記者会見で述べており、ここのところが官僚出身の筆者としては強い違和感を覚えたのだった。
 
ここから先は、筆者の邪推である。
 
■結局マスコミは分かっていない
役人がなにかに抵抗するためには、強力なバックが必要である。今回でいえば、獣医師の供給増を嫌う獣医師会である。しかし、52年も新設学部を認めてこなかったために、各所にひずみが出てきたのだろう。獣医でも一部の分野では不足傾向にあると言われている。
 
そこで、獣医師会では、1校の参入ならば認めるという方針に転じたという。ダメージコントロールの立場からも、この行動は納得できる。そこで、農水省もわざわざ文科省のために需要見通しをする気が起こらなかった。需要見通しを作るためには、多くの技官のパワーが必要であるが、そこまでやる必要がなくなったからだ。
 
そうなると、先が読めていなかった文科省は焦った。特に、前川氏は当初徹底抗戦を命じていたと思われるが、「1校の参入を認める」となったために退却のきっかけを失ったのだろう。
 
そのとき、文科省が負けを認めるためのいい口実になったのが、「総理の意向」というワードだったのかもしれない。そんなもの(=総理の意向)が現実になかったとしても、前川氏の敗走には、絶好の「言い訳」になりうる。
 
こうした話は、新規参入の問題はしばしばおこるものだ。ある政策について抵抗すると思われた団体が、いきなり態度を改め引け腰になるというような話は、同時並行的に特区で進められていた30年ぶりの医学部新設においてもあったのだ。
 
筆者には、新規参入事例として両者は似ていると思うが、加計学園の理事長が総理の友人という表面的事実に目を奪われた野党やマスコミには、本質が見えないのだろう。
 
さらに、文科省はこの問題で恥をかいている。最後まで「これは絶対に認可できない」と抵抗していればいざ知らず、結果として文科省は新設認可を進めてしまった。これではもう言い訳はできない。
 
この加計学園問題は、マスコミの能力をチェックできる、いいリトマス紙になる。ダメなマスコミは、安倍首相と理事長のお友達関係など、ネットで溢れているネタに言及するばかりだ。後は勝手な推論で「忖度」、「安倍一強」を連呼する印象操作しかできない。また、一方の当事者にすぎない文科省の文書(怪文書)をスクープと勘違いし、前川氏の会見で表明された4条件のデタラメさを指摘できない。
 
ダメなマスコミは森友学園問題で「忖度」を連呼し、大外れの赤っ恥となった。森友学園問題では首相への「忖度」は大空振りで、財務省の地方部局である近畿財務局の「大チョンボ」だったからだ(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51362)。
 
ダメなマスコミは、今回の加計学園問題は、新規参入阻止が出来なかった文科省の悪あがきという本質を見抜けず、「総理の意向」とまた読み間違うだろう。
 
最後に、前川氏についてかなり厳しい意見を指摘したが、これは同氏と筆者の役人経験の差だろう。
 
前川氏は天下り斡旋を当然のように行い、新規参入阻止、つまり既得権を擁護し新規参入者への不当差別を行いながら、内閣府文科省行政に横やりを入れてきたという。まさに、「既得権擁護」をするだけの役人人生だったのだ。
 
一方、筆者の役人人生は、官邸での天下り斡旋禁止を推進し(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50782)、特区による新規参入を推進してきた。前川氏とはまったく真逆の道を歩いてきた、と自負している。この違いは小さくない。
 
 
これ『前川・前事務次官の記者会見は、官僚目線で見れば「大失敗」だった 致命的なミスがそこかしこに…』と題した現代ビジネス529日の高橋洋一氏のコラムの記事である。
 
 
しかし、この高橋洋一さんって元官僚だから、やはりカチンカチンの石ころ役人ってところで、前川さんをぼろくそ(=無能)言ってる割には、もっと無能なのかと私は思った。あくまでもこの記事を読んでという事に限ってである。今回の「森友学園」及び「加計学園」問題の本質は他にある。役所のメモや文書が有るかないかまたそれが本当の文書か否かという事も大事であろうが、素人の国民がそれをどう思うかあるいはどう思ったかという事が一番の大事な問題であるからだ。それをこの高橋さんは事細かく役所の慣習や、文章の種類、あるいはその処置等とうとうと並べて説明してるが、国民はそんなことはどうでもよいとは言わないが、要は安倍首相がその問題に「やってやってよ」と命じたか指示したかという事なのである。もっと解り易く言えば人間としての本当に仲の良い友達と、プライベート以上の深い付き合いのある人間との間のやり取りを考えれば、本当に普通の人間としての付き合いを考えれば、前川さんや籠池さんたちの言ってる事は、多少オーバーなところあるだろうが、ほとんどそのやり取りは間違いはないと断定できる。この問題は高橋さんが言うような法廷の争いではないのである。要は国民が本当に納得できるのはどれかに尽きるのである。私見だが、常日頃の安倍首相の国会答弁を聞くに、かなりのウソつきである。孝行息子が祖父母や両親に問い詰められて、とっさにある事ない事のウソを言う、そう言う安倍首相の育ちが垣間見える。それを考えれば、安倍首相が興奮したようにあの滑舌な早口で返す言葉はほぼ殆どウソと言える。恐らくこの高橋さんと言う人、今の政権の御用組合と言われるマスコミとほぼ同じか、もっとタチが悪い輩と思えるし、この人前川さんを無能と呼ぶ資格等無いと言うのが私の結論である。