昭恵夫人の“出張”には、政府職員が同行することが多い。だから「公人」ではないかと問えば、その旅費は夫人が私費で負担している――。政府はそういう見解だが、年間数十回も、本当に私費で賄っているのか。そこで疑惑浮上。官房機密費ではないのか……
昭恵夫人について、政府はご丁寧にも「公人ではなく私人であると認識している」という答弁書を閣議決定したが、その「私人」のもとには政府職員の“サポート役”が経産省と外務省から5人も配置されている。ちなみに、歴代の総理夫人で常勤職員が付くのも、2人以上が配置されたのも初めてなのである。
それを聞いて、歴代の総理夫人はともかく、昭恵夫人にかぎって「私人」だと思う人は、よほど偏屈だと言っても差支えあるまい。
しかも彼らは夫人の“出張”にも頻繁に連れ添っている。このところ国会で明らかになっただけでも、森友学園運営の塚本幼稚園での講演や山形でのスキーイベントに数回ずつ。さらには“疑惑の本丸”とされる加計学園に絡むものも、神戸の保育園での講演や、岡山での弁論大会まで複数回にのぼる。
政府は職員の帯同を、当初は「私的活動」としながら一転、「公務」だったと認めたが、一方、菅官房長官は「職員の旅費は夫人が私費で支出した」と説明した。だが、昭恵夫人は頻繁な“出張”のたびに、職員の旅費にポケットマネーを投じるだろうか。職員はそれをよしとするだろうか。
■1人に290万円
本誌(「週刊新潮」)は昨年4月から1年間の昭恵夫人の足跡を追ってみた。すると講演、イベントへの参加、組織や施設の訪問や見学……と、実によく出かけている。その回数たるや、選挙応援や総理も参加した式典、総理の外遊同行を除いても、北海道2回、東北8回、東京を除く関東5回、中部9回、関西10回、中国15回、四国1回、九州・沖縄2回、そして海外4回にもおよぶ。
ちなみに、それぞれに職員が1人同行したと仮定すると、新幹線は普通車、飛行機はエコノミークラスを利用し、ビジネスホテルに宿泊したとして見積もっても、290万円ほどかかる計算になるのである。
「公務員は出張命令がないかぎり勝手に出かけられず、出張命令には予算措置がつきます。予算措置がついているなら、なぜ私人の活動に公金を拠出するのかという批判は免れませんし、職員の旅費は昭恵夫人が出した、という説明との間にも齟齬が生じます」
霞が関のさる高級官僚は、そう言って、こう継いだ。
「官房機密費という語を用いると、すべてに説明がつくのです。これは総理とその周辺にいる人間に関わる事柄なら何にでも使える、使い勝手のいいお金で、その額はかなり減ったと言われますが、それでも月に1億円以上あるとされます。職員の日当も予算をつけなくても金一封で済むし、切符などをいちいち精算する必要もありません」
疑惑の目を向けられたくなければ、きちんと説明するほかなかろう。
そもそも、アッキーお付きの政府職員とは何なのか。公務と言いながらも、主な仕事は“私人”のスケジュール管理や荷物運び。年間300万円近くなる旅費などはアッキーのポケットマネーから出ているそうだが、その所得を申告しているのかどうかも不明なのだ。
当初、安倍政権は谷氏ら政府職員の帯同を“私的活動”としながら、一転、“公務”と改めたが、“旅費は夫人が私費で支出した”と説明している。
政治部記者によれば、「谷さんは、ミャンマーでの農業支援、山形で行われたスキーツアーイベント、塚本幼稚園はもちろんのこと、安倍総理の地元である下関など、昭恵さんの行くところには大抵付いていっていました」
税理士の浦野広明氏が解説する。
「当然、谷さんは昭恵夫人からもらった旅費などを雑所得として確定申告しなければなりません。40代前半で年収は800万円ほどでしょうから、それに300万円の雑所得が加わったら90万円ほどの税金を支払う必要がある。一般事業者が90万円の申告漏れをしていれば税務署がすぐに飛んできます。仮に、税務当局が谷さんの申告漏れを見逃していたら大問題だし、承知していなかったのなら早急に調査すべきではないでしょうか」
確定申告の有無について、谷氏に話を聞こうとしたものの、取材拒否。
谷氏はアッキーのお付きを解かれると、中小企業庁の経営支援課に移り東大文学部卒の“準キャリ”ながら係長級から課長補佐に昇進している。
人事で、昭恵夫人のお気に入りの役人が出世するというのもまた、そこに“忖度”があったと疑われても仕方がないのではないか。
この国有地格安払下げ問題で、安倍首相が自らと夫人が拘わっていないとし、その事実があれば「首相も国会議員も辞める」としたその一言が現状の混乱の一因となっている事を、本人とその取り巻きが理解をしてないのがそもそもの混乱拍車と言って良い。その覚悟の言を吐けば皆下がるとでも思ったのか。安倍さんは未だ練を知らない。安倍さんの悪いクセは正直にムキになる事である。唯、上記私人の言い訳、予算主義の役人の説得材料は、自由に使える官房機密費だったろう。恐らく気を利かした菅官房の入れ知恵だろうが、昔宮沢喜一内閣時の正直な加藤紘一官房長官がその時の内閣官房機密費の使い道がすっぱ抜かれた時があったが、少しは首をかしげる支出があったが、概ね真っ当な使い方だった。しかし、今回の安倍夫人の私人の費用に使われる事があったとしたなら、過日の物笑いとなるは必定であり、例え過年時の事としても人間性が疑われる結果となり、政治経歴が否定され、政治家としての人格欠如の烙印だ。政府役人共に必死に守る事だろう。世は正にSNSの時代、必ずや露見は確実だ。古希を迎えた私は今、それまで生きて確認したい気持ちである。