その大胆な決断は、吉と出るか、凶と出るか。民放キー局の4月の番組改編に関する方針が出そろう中、最も積極的な策を打ち出したのはやはり、視聴率の低迷にあえぐフジテレビだった。
放送開始から31年を迎えた昼の長寿番組「ライオンのごきげんよう」と、数々の話題作を生んできた昼ドラマ枠(東海テレビ制作)を打ち切り、既存の番組を拡大。平日4~19時の15時間を、すべて生放送で編成することを決めた。
さらに、深刻な不振に陥っているゴールデン枠(19~22時)でも、いくつかのバラエティ番組を打ち切る。亀山千広社長は「今年は厳しい1年。4月改編の午後帯は新たなものをスタートする。腹をくくってやらなければならない」と気を引き締めた。
■ 収益力で群を抜く日テレ
これほど明確な違いが生じた背景には、両社の置かれた収益環境の差がある。
日テレは視聴率が高いだけでなく、広告主が望む若年層の支持を得ている。そのため、番組内の放送時間枠を販売するタイム広告、それ以外の枠に放送するスポット広告ともに、計画を上回る状況が続いている。日本テレビ単体の業績を見ても、その収益力は群を抜く。
最大の強みはレギュラー番組の好調さ。全時間帯でトップを走る日テレではあるが、特に強いのが月曜、土曜、日曜だ。
他局関係者も「視聴者は日曜夜に日テレを見る習慣がついている。なかなか引き剥がせない」とお手上げ状態。現状では、特段テコ入れが必要な番組も見当たらないため、スタジオセット刷新など追加費用がかからず、番組制作費の削減も進んでいる。
■ フジがブチ抜き生放送に変える理由
これに対して、フジはどうか。2015年度上期(4~9月期)は1997年の上場以来、初となる営業赤字(10億円)に転落した。既存のバラエティ番組で思うように視聴率を獲得できず、それが広告単価に跳ね返った。
10~12月期は番組制作費など費用を切り詰めて、再び黒字化したものの、視聴率改善とコスト削減は喫緊の課題だ。
今回、生放送を拡大する狙いは、最新の情報をタイムリーに盛り込むことだけではない。編集作業を省くことで制作コストを削減するという利点もあるとみられる。
ただし、フジは2013年度に長寿番組「笑っていいとも!」を打ち切り、後継番組として生放送の「バイキング」を始めたが、視聴率は1ケタ台前半と苦戦。現在、昼枠では日テレやTBSテレビも同様に生放送中心の編成を組んでおり、今春の新番組の方向性を誤れば、視聴者がさらに他局へ流れてしまう懸念がある。
また、生放送の枠を拡大させることには、「前後の番組で同じニュースが流れると、一度そのニュースを見た視聴者がチャンネルを変えてしまう」(業界関係者)という危惧も付きまとう。
かつての2強の一角が不振からの脱却にもがく中、4月クールの注目株がTBSだ。不動産事業の稼ぎぶりから、“不動産会社”とも揶揄されてきた同社だが、最近は視聴率が復調傾向にある。
バラエティが好調だったことなどから、2015年10~12月期のゴールデン視聴率は、前年同期比1.1ポイント増の10.5%。それまで4位が指定席だったが、フジ(9.0%)を上回り、テレビ朝日(11.4%)、日テレ(12.0%)を追撃できる位置につけた。全日(6~24時)も6.0%と、フジの6.1%に迫る。
朝と午後の情報番組に課題は残るが、昨秋には連続ドラマ「下町ロケット」が大ヒットした。テレ朝における「相棒」「科捜研の女」のように、長期で視聴率を稼げる人気シリーズが生まれれば、一段の躍進も現実味を帯びてくる。
■ 試される編成の力量
2ケタ増が続くインターネット広告と比べれば、成長余地は乏しい。限られたパイの中で、どれだけ広告主からの評価を高められるか、編成の力量が問われることになる。
このまま日テレの独走が続くのか。それとも、大博打に出たフジが巻き返すのか。今回の4月改編は、今後の民放の勢力図を占ううえで、大きな分岐点となる。
土台フジテレビの考えは間違ってる。世は常に変わる。人間の嗜好も時代と共にまた社会構造によっても変わるからだ。フジテレビ得意のバラエティでも日テレ番組がそれにマッチしてるから見るのであって、フジの考えるような、同じバラエティでもその番組の主のキャラで稼ぐ時代は終わったのである。しかもフジは視聴率を意識して番組を安く仕上げようとするから、自ずとお笑い芸人が中心となる。その良い例が鳴り物で始まった「バイキング」と言う番組だ。解ると言うものである。ドラマもそうである。フジのドラマはストーリーよりも主役のキャラ優先である。NHKや日テレ、朝日、TBSのようなドラマ作りは出来ないだろう。放送会社の首脳陣をソックリ代えない限り番組作りは変わらないだろう。