--質問に立った思い、きっかけは
「さきほどの質疑の中でも申し上げましたけど、私なんかが立っていいのかなという気持ちを持っていましたけれども、定数削減が膠着状態のまま4年目に入ってしまいつつある。(解散に伴う衆院選で落選し)失った仲間もいっぱいいるわけで、『落とし前』をつけなければいけない時期だったものですから、その役割は最大限果たしていきたいと思って立ちました」
--首相の答弁について感想は
「前倒しの定数削減をしてきた。なんか、ご自身のリーダーシップのようなお話ですけど、あまりにも後ろ向きだった自民党がようやく各党並みになってきたというだけですので、そんなに評価する話ではもともとないんですよね。それよりは、きょうも時間が足りなかったんで細部を詰めていませんけど、アダムズ方式をきちっと受け入れるのかとかですね、このあたりから党利党略が出そうだった気がしますので、十分気をつけながら各党協議を進めてほしいと思います」
--定数削減が実現できなかったことへの謝罪がなくて「驚いた」と発言した
「驚きましたね。あまり品性のないやり方はしたくないと思ったので、あまり『ウソつき』的なことは言いませんでしたけど、安倍さんもおっしゃってましたけど、私が『近いうちに』と、『解散を』と言ったのは平成24年の8月8日でした。11月14日に党首討論を経て16日に解散するまで、3カ月の間ずっと、安倍さんも含めて私を『ウソつき』発言。その悔しさはずっと腹におさめながら…。だから、きょうは、あまりそのことは言いませんでしたけど、やっぱり、25年の通常国会で合意書に基づいて結論出せなかったということは、残念ながらウソをついたことなんですね。それをもっと恥じてほしいと思うし、開き直った答弁が多かったので、反省の弁がないなと、責任感がないなということを痛感しました」
--定数削減、あるいは3党合意の約束は、現状で果たされていると思うか
「定数削減まだできていないんだから、果たされていません。だから、安倍さんと自民党にとっては挽回するラストチャンスだと思うので、きっちり答申通り、早く法案づくりにいけるようにやってもらいたいと思いますね」
「『社会保障と税の一体改革』の本体の話は、きょうは私ね、残念ながら時間がなくてできませんでしたけど、本当は軽減税率もやりたかったんですね。『軽減税率で総合合算制度導入見送り』なんてのは、本当に一体改革の魂が分かっていない動きだと私は思うんです。総合合算制度のような、例えば一家の家庭で考えると、大黒柱が倒れたと。脳卒中で倒れたと。急に医療費も介護費もかかるようになり、しかも子供まで持っていたら一挙に自己負担が増えるわけでしょ? 誰でも起こること。そこにキャップを設けて国が後押しをしようというのは、あるべき社会保障の姿ですよ。それは消費税で支えていくべきですよ。それをやめてね、大間のマグロだとかね、霜降りの和牛とか、そんなものを買う人たちの分も軽減される財源に行くんでしょ? 本末転倒ですよ。一体改革の意味が分かっていない。しかも財源手当は6000億円やらないでしょ。財源なくして政策なしです。社会保障と税の一体改革は、財政健全化も目標に入っているわけですね。これ、もう政策じゃないですよ。財源は後から決める。選挙終わってからでしょ? ネクスト・エレクション(次の選挙)しか考えてない。ということも含めて言いたいことはいっぱいあるんですが、まあ、きょうはやめておきましょう」
--政権をかけて解散をされたわけだが、この3年3カ月、どんな思いで国会をみていたか
「私のもとで解散をして、負けたわけですから、まあ敗軍の将ですからね、あまり出ばったことをしてはいけないと。むしろ、無念の思いで頑張っている人たちに一人でも多く戻ってきてもらえるようにということで、地方を回ったりとか、そういうことをずっとやってきました。これからもそうしたいと思います」
--今後も予算委などの場で首相と対決していきたいという思いは
「言おうと思ったらキリがないから。いっぱいありますけど。ただ、大変優秀な論客もいますから、そういう人たちが頑張ってくれると思います」
--定数削減について首相は、リーダーシップを発揮したいという答えにとどまったが
「きょうも言いましたけど、『トゥーリトル・トゥーレイト(小さすぎて、遅すぎる)』ですから。『トゥーレイト』はもう取り返しがつかないんだけど、『トゥーリトル』はまだ取り返しつくんでね。まずは確実に10削減させるというところからスタートした上で、われわれも諦めないで、引き続き定数削減を含めた選挙制度改革ですね、人口割だけではなくて、いろんな面積も含めて、いろんな知恵もね、区割りについてはあるっていう話も党内ではありますから、党内の意見しっかりまとめながらやっぱり各党と積極的に呼び掛けて協議をしていくということだと思います」
--消費税の10%への引き上げについて、野田氏としてはどのような考えか
「基本的には、法律通りに粛々と上げられるようにしなければいけない責任が、今の安倍政権、あると思うんですね。それは、1回延期してますけど、期限を決めたのは安倍政権ですから、それを達成できるようにするということ。あとはやはり社会保障と税の一体感が損なわれてきていると思うので、そういう修正とか含めてやってもらわなければいけないと思います」
「『民主党として』とかは、ちょっと、私は言う立場じゃない」
--野田氏は環境が整っていないとお考えか
「まだ、その判断を私はしていません。基本的には上げていくべきなんです。上げなければ、私はどういうきっかけで財政危機に陥るか分からないと思っていますから。そのためにも国民の理解が必要なんでね。しっかりと一体改革の魂を忘れないで改革を進めるということはやってもらわなければいけないと思いますね」
--野田氏との論戦の直前に定数削減前倒しを“前出し”する首相の手法についてはどう感じたか
「できるんだったら最初からやれっていう…。何をねえ、ほんとに…。見え透いているんですよ。あまりにも自民党が後ろ向きだったことを、普通の政党並みにしただけのことじゃないですか? サプライズでも何でもないですよ、こんなの。ドヤ顔で言うな、というふうに思いますよ、率直に言って。ちょっと言い過ぎたね、ごめん(笑)」
これ『新旧首相対決を終えた野田前首相のぶら下がり・詳報 「ドヤ顔で言うな!」 安倍首相との論戦に怒り炸裂 「ウソつき呼ばわりされた悔しさは腹におさめながら…」』と題した産経新聞2月19日 21:41の報道記事である。
19日の衆院予算委員会は、衆院選挙制度改革をめぐり、異例の「新旧首相対決」となった。民主党の野田佳彦氏は、首相だった2012年11月の党首討論で、衆院解散と引き換えに約束したはずの衆院定数削減がいまだに実現していないと厳しく批判。これに対し、安倍晋三首相は自民党案が示した20年以降の定数削減を前倒しする考えを表明、「身を切る改革」姿勢のアピールに躍起となった。
「やり残したことの決着をつけなければならない」。質問の冒頭、おもむろにこう切り出した野田氏。首相が「0増5減」は実現したと反論すると、「国民にうそをついたことにならないか。満身の怒りを込めて抗議したい」と迫った。
◇前向き姿勢を演出
首相は答弁で、自民党が12年に政権復帰した後の各党協議が難航したことや、衆院議長の諮問機関が答申づくりを進めてきた経緯を説明。その上で、15年の簡易国勢調査結果に基づき小選挙区の境界(区割り)を見直す際、併せて衆院定数10を削減するとの方針を表明し、「大きな前進だ」と胸を張った。
だが、野田氏は、「一定の前進と思う」としながらも、「遅きに失した」と不満を隠さず、終了後、記者団に「開き直った答弁が多く反省の弁がない」と批判した。
首相が、自民党案で20年の大規模国勢調査以降としていた定数削減の実施時期をいったん了承した後、前倒しを決断したのは、野党の「先送り」批判や世論の反発で、夏の参院選への影響を懸念したからだ。ある自民党幹部は「首相はたたかれるのが怖くなった」と解説する。
さらに、野田氏が19日の予算委の質疑に立つことも判明。「約束違反」と突き上げられるのは必至で、政府・与党は「野田氏の手柄にさせないため」(首相周辺)、同氏に先立つ自民党議員の質問で、首相が率先して定数削減に前向きな対応を打ち出したように演出した。
◇同日選へ主導権
自民党は、今国会で定数削減の公職選挙法改正が実現すれば、適用前でも「違憲状態」の解消に道筋は付いたとして、「首相の解散権に制約はなくなる」(幹部)とみている。夏の参院選と同時に衆院選を実施する「衆参ダブル選」が取り沙汰される中、首相が解散戦略でフリーハンドを維持しておく狙いもあるとみられる。
中堅議員の一人は「まだ自分の選挙区が対象になるか決まっていない」と語るにとどめた。衆院の答申で定数削減の対象としたのは、自民党が地盤とする地方だった。今後、削減対象県が明らかになれば、関係議員の反発を抑えられるか予断を許さない。
◇各党協議見通せず
公明党は、今回の首相の決断をおおむね評価している。一方、民主党は「1票の格差」是正のため、答申に盛り込まれた人口比をより反映する「アダムズ方式」の導入に、首相が言及しなかったことを懸念。定数配分が「党利党略」に利用されかねないとの疑念からだ。
安倍首相3年前の約束を反故にしたため、「ウソつき呼ばわりを回避」するため質疑の午前中にその方向性を表明するなんて、姑息でズルい。でもこれ「語るに落ちた」と言える。