今回の大義の無い解散それは安倍首相が常に脳裏に焼き付いてる小泉元首相の政治手法を真似たいからだ

 永田町に吹き荒れる解散風が、消費税と絡み合って国会を浮足立たせている。
  安倍晋三首相が、来年10月に予定される消費税率10%への引き上げを先送りする方針を固めた。2017年4月まで1年半先送りする案を軸に最終調整に入ったという。
  首相が17日に帰国後、同日発表されることし7~9月期の国内総生産(GDP)の速報値をみて最終判断し、年内の衆院解散・総選挙に踏み切る構えだ。
  一体、何のための解散なのか、国民に何を問うというのか。与野党ともすでに選挙に向けた準備に入っており、増税先送りとともに解散が「既成事実化」している。
  この政治状況には違和感を覚える。そもそも、消費税率を2段階で引き上げることは、12年に自民、公明、民主の3党合意に基づき、法律で定められた。実施に当たっては経済状況の好転を条件とする「景気条項」が盛り込まれている。
  景気が悪いという理由で再増税を先送りするなら、法律の改正案を国会に提出して審議するのが筋であり、解散して国民に信を問う大義にはなり得ない。
  それよりもまず、国会で議論を尽くすことが先である。それほど経済状況が悪化しているのか。それなら安倍政権の経済運営に問題はないのか。国会で論戦を戦わせ、与野党の対立軸を鮮明にしなければ、増税先送りの是非は争点になりにくい。有権者にとっても明確な判断材料とならないだろう。
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 3党合意による消費増税は「社会保障と税の一体改革」として決まったものだ。年金や子育て、医療といった社会保障制度の維持に向け、財源を確保するため税制改正を進める取り組みだ。
  3党は12年末の衆院解散の際、増税に伴い「身を切る改革」が必要だとして、衆院議員定数削減を進めることでも合意した。
  しかし、消費増税によって社会保障が充実したという実感はない。衆院の定数削減も手つかずである。
  再増税先送りで、社会保障制度などへの影響は避けられないとの見方もある。
  国の借金は1千兆円を超える。国と地方の基礎的財政収支の赤字を15年度までに半減し、20年度に黒字化するとしている財政再建目標への影響はどうなるのか。
  これらの課題に対する国会での議論もないまま、突如として解散に持ち込むのは腑(ふ)に落ちない。
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 アベノミクスによる円安で、輸入原材料や食料品などが値上がりし、家計の負担は重くなっている。安倍首相の再増税先送りの方針には、アベノミクスが失速するのを何としても回避したいという思惑がある。
  解散によって自民党内の増税派の動きを封じると同時に、選挙準備が整わない野党の隙を突いて解散に打って出れば、有利な戦いを展開できる-。そんな皮算用も読み取れる。
  首相周辺の目線は、自らの「1強体制」の長期政権維持にあるのかもしれない。

これ『社説[消費増税先送り論]国会論議より解散優先』と題した沖縄タイムス 11月15日(土)5時30分の配信記事である。

 この15日には自民党岐阜県連が解散・総選挙に「党利党略」として反対決議をした。そう言う意味からも、この沖縄タイムス の社説はホンにごもっともである。
 世の中変わったものである。私が地方の自民党役員をやってた頃には考えられない事である。いくら自民党が1党独裁であった時でもこんな事無かった。時の権力者の宰相である自民党総裁が判断した事に異議等申す事等出来なかった。しかし、今はどうだ、党員が自由闊達に議論や意見等出来るようになった事は、ある意味党の威厳や権力度合いが薄くなった事を意味し、民主主義における良い傾向でもある反面政治が不安定化した事も意味する。
 私は先日解散をけしかけたが、本当にやるとは思っていなかった。正直驚いたと言うしかない。確かに与党自民党から見れば、大義等いらないし、政権を維持する事のみを考えればこれほどの良い時期は他に無い。何故なら自分らの主張のみを優先して現在の選挙制度を忘れ、政権への大義の無いバラバラの野党を倒すのは今しか無いからである。しかし、記事の通り大義が無い。本来なら信念に基づき、消費増税は社会制度の根幹の維持に絶対必要との大義を掲げて選挙するのが筋だからである。しかし、これを紐解けば、ある事が見えて来るのである。それは何か。絶対権力者が陥る自己陶酔そのものである。政権を交代して以来、安倍さんは余りにも順調に来過ぎてしまった。そうなると何でも出来ると思ってしまうのだろう。つまりあの小泉元首相である。彼が脳裏から離れないのではないか。しかし、安倍さんには悪いが彼ほどのカリスマは持ち合わせていない。それに安倍さんが気付いた時が安倍さんの本当の政治になると私は思う。それには最側近の二人が下手な気を起こさない事が条件である。