安倍晋三首相や閣僚ら「特別職」の国家公務員の給与や期末手当(ボーナス)を増額する改正特別職給与法が今国会で成立した。本紙の計算では、首相のボーナスは年額約12万円(自主返納分を引いた額)増える。 (高山晶一)
対象になる特別職は首相や閣僚、副大臣ら国会議員のほか、常勤の大臣補佐官、審議会の常勤委員など。一般職の報酬が変われば特別職も増減させるのが慣例。首相らの場合、一般職の指定職(幹部)の増減に準じて変動する。
今国会では一般職の給与などを人事院勧告通り引き上げる改正給与法案とともに特別職の改正給与法案が提出され、1月20日の参院本会議で自民、民主、公明各党などの賛成多数で成立した。昨年4月にさかのぼり、首相や閣僚の月給を一律千円引き上げるほか、ボーナスを年額3.1カ月から3.15カ月に引き上げる内容。月給は経過措置があるため、昨年4月以前に就任した閣僚らが受け取る額は基本的に変わらない。
目立って増えるのはボーナス。これまで年額約1,059万円を受け取っていた首相は、約17万円増えて約1,076万円(議員のボーナス分を含む。以下同じ)に。閣僚、副大臣、政務官もそれぞれ10万~12万円前後増える。申し合わせにより首相は三割、閣僚と副大臣は二割、政務官は原則一割を国庫に寄付するが、それを差し引いても首相のボーナスは約12万円増える。政府の役職に就かない国会議員も特別職なため、ボーナスが年額約9万円増える計算。
政府の担当者によると、特別職の報酬が一般職に準じて増減するのは、公務員全体の給与体系を維持するための慣例で、法的根拠は特にない。一般職の給与水準は、民間の実態より割高との批判がある。