違憲とされた安倍政権の「集団的自衛権行使容認」問題 これこそ国民投票に委ねるべき問題である

 安保法案の成立を確信していた安倍自民党が焦りだしている。憲法学者3人が「憲法違反」と揃って明言したことで、世論のムードが一変してきたからだ。「自衛隊員のリスク」や「事態の具体的要件」といった各論ばかりで、チンプンカンプンだった国民も、「そもそも違憲の法律を作っていいのか」という本質に気づき始めた。国民をケムに巻いて、数の力で押し切ろうとした安倍シナリオが狂ってきた。
 この週末、安保法案に対する批判が各地で一気に広がった。
 6日、都内で開かれた「立憲主義の危機」シンポジウムは700人収容の会場から人があふれ、1400人が詰めかけた。7日に大阪弁護士会が開いた野外集会には4000人が参加、「集団的自衛権はアカン」と訴えた。
 一方、自民党も7日、国民の法案への理解を深めようと谷垣幹事長が都内で街頭演説したが、「戦争反対」「帰れ」の怒号に演説がかき消される事態に。
 衆院での法案審議のスケジュールも自民のもくろみから大きくズレ始めている。当初は週3回、1日7時間の審議で6月第3週までには80時間を超える計算だった。ところが、安倍首相のヤジや閣僚の曖昧答弁、委員長の強行運営に野党が反発。委員会が空転したうえ、8日も開けず、安倍官邸が想定していた今月24日までの会期内の衆院通過は絶望的だ。
 会期延長は既定路線だが、とうとう自民党内からは「6月中に衆院を通過させられなければ、法案成立は危うくなる」(ベテラン議員)という声まで出始めた。
 こうなると数の論理で諦めムードだった野党も本気を出さざるを得ない。剛腕の小沢一郎氏も動きだした。
 すでに維新の党の松野頼久代表は小沢氏と会ってアドバイスをもらい、民主党岡田克也代表も小沢氏と急接近している。9月に予定される小沢氏の地元の岩手県知事選で、現職の達増知事を野党共闘で推す計画も進んでいる。
 民主や維新内部では、「安倍政権の倒閣をめざして野党共闘を強める必要がある。2度の政権交代を実現した小沢一郎さんの知恵を借りるべきだ」という意見も広がっている。
 「小沢さんはいろんな人から相談を受け、『じゃあ会ってみようか』という感じで、かなり元気です。昔と違うのは自分がプレーヤーとして中心になるのではなく、裏方に回って支えようとしていることです。そこに野党再編に向けた小沢さんの覚悟が見えます」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
 小沢氏は本紙のインタビューで、「安保法制だって、委員会で机を突き飛ばしてでも反対する、っていう騒ぎになったら、そう簡単にいかない。マスコミも報道するし、国民の関心も高まる」と語っていた。安保法案が成立しなかったら、安倍政権は一気に瓦解していく可能性が高い。

これ『世論も「違憲」批判拡大…安保法案ムード一変で官邸に焦り』と題した6月9日 10時26分 の日刊ゲンダイの記事である。

 もちろん小沢寄りの機関紙みたいな日刊ゲンダイだからと思って読んでも、事実この安倍政権の目論見は崩壊するだろうし、安倍政権そのものも崩壊の前触れとも言える。政治政策にとってのタブーと言える改憲問題だからである。本来より立法府での可決が当然ではあるが、憲法96条が定める憲法改正の要件、 衆参両院の総議員の3分の2以上で憲法の改正を「発議」つまり国民に提案し、国民投票によって過半数の賛成を得ることを改正の条件としている。つまり憲法改正のためには下記の二重のハードルを乗り越える必要がある。
  ・ステップ①:両院それぞれの「3分の2」というハードル。
  ・ステップ②:国民投票での過半数獲得というハードル。
 それらを勘案するに、その法案の是非論は最終的に国民投票に依らしむるべき、民主主義においては国民の代議員である国会議員の意思による、つまりは立法府の3分の2によるとしてるが、これだけ国民の関心が高いモノについては、どちらかと言えば打算で動く国会議員の意思による国会の議決では真の意思とは確認し難いので、これだけは国民の意思による決定に委ねれば、少なくとも異論は出ないものと私は考えるが如何だろうか。