「集団的自衛権」云々は民の幸福の上にあるもの

 集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈見直しをめぐる議論が深まっている。だが、反対の立場の野党は憲法解釈の見直しを「力を伴わないクーデターに等しい」と批判を強める。これまで積み上げてきた内閣法制局の見解をそのまま守れというのだ。
 確かに内閣法制局という組織は、精緻な憲法解釈を積み上げてきた。だが、あくまでも内閣を補佐する政府の一機関に過ぎない。首相が政府の最高責任者として憲法解釈の権限を有するのは当然だ。それがおかしいなら、野党は堂々と国民に訴え、その主張が正しいならば次の衆院選で多くの支持を得られるはずだ。
 安倍晋三首相が「政府の最高責任者は私だ。政府の答弁については私が責任を持ち、その上で選挙で国民から審判を受ける。審判を受けるのは法制局長官ではない」と答弁したところ、一部メディアは「立憲主義を否定」とかみついた。
 だが、前述の通り、憲法の解釈権はあくまで内閣にあるのが通説だ。選挙の洗礼を受けない公務員集団である内閣法制局が担えるはずがなく、国民の支持を得た内閣がその権限を有するのが正当性を持った統治のあり方だ。首相は当たり前のことを言っただけだ。
 憲法解釈見直しをめぐる一部の野党やメディアの報じ方に接すると、首相が集団的自衛権行使を可能にすべきとする理由を、どうも首相個人の保守的な思想に結びつけたがっているようにしか思えない。そこには、一方的に軍事的脅威を高める中国や北朝鮮の動向を前にしながら、この国の平和と安定を守らなければならない“国益”という視点を感じ取ることができない。その目的がとにかく““安倍たたき”としか見えないときがある。
 集団的自衛権行使が必要なのは、あくまでも安全保障政策上の判断だ。そして日本がそれを行使するかどうかという「権利」だ。日本を攻撃しようとするならず者をその気にさせない「抑止力」とするためだ。
 一部の反対派は「戦争をできる国にしようとしている」「戦争に巻き込まれる」とレッテル貼りに忙しい。
 安保政策通として知られる自民党石破茂幹事長は集団的自衛権の行使を「政治家としての信条」と位置付ける。「軍事オタク」ともいわれる石破氏だが、彼が戦争をしたいと思っているとは思えない。
 石破氏は近著「日本人のための『集団的自衛権』入門」(新潮新書)で「決して『戦争をしたい』からではなく、どうすれば『戦争をしない』状況を合理的に作れるかを徹底的に考え抜いた末の結論」と記している。最近の講演でも「われわれ安全保障に携わる者は、どうすれば戦争にならないかを朝から晩まで考えている」とも語っている。軍事を知るからこそ、「してはならない」といっているのだ。
 「今回(行使容認を)やり損なうと、当分だめだろう…」。石破氏は危機感をあらわにする。国の領土、領海、領空、国民の生命と財産を守るという国家として当然の役割と「国益」を損ねていいのか。
 政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」の座長代理を務める北岡伸一氏はこう指摘する。
 「安全保障というのは、(日本を攻めようとする)相手は必ずこちらの隙を突いてくる。用意していないところを突いてくる。従ってこちらはあらゆる場合に柔軟に対応できるようにしておかなければならないのが基本だ」
 その“穴だらけ”の日本は岐路に立たされている。(峯匡孝)
 ▽一日も早く
 安倍晋三首相 11日には、東日本大震災から3周年となる。被災者の方々が、一日も早く普通の生活に戻れるよう復興の加速化に向けて全力で取り組んでいく。(政府与党連絡会議であいさつ)
 ▽分からないふり
 海江田万里民主党代表 経済成長は持続可能性が必要だが、成長戦略「第3の矢」は、なまくらな矢だ。安倍さんは分かっていて、分からないふりをしているのかなと思う。(政府の成長戦略について記者会見で)
 ▽議員でいて
 石破茂自民党幹事長 東京五輪開催は6年半先だ。その時、議員でいてください。その間2回選挙があり、当選3回になっているだろう。なってくれないと困る。(当選1回の議員会合で)
 ▽異常な事態
 江田憲司結いの党代表 本来、参院予算委員会で結いの党が質疑するべきだが、みんなの党が委員を一人も譲り渡さない。国会活動と政治活動の自由を実質侵害しており、極めてゆゆしき異常な事態だ。(記者会見で)
 ▽チャンスつくる 安倍晋三首相 国民が景気回復を実感するのは賃金と雇用だ。女性や若者、高齢者などあらゆる人が社会で活躍し、可能性を発揮できるチャンスをつくる。(参院予算委員会で)
 ▽公明党の努力
 吉田忠智社民党党首 閣議の議事録公開は憲政史上初めてだ。公明党が大変努力したことを評価したい。ぜひ教育委員会制度改革や集団的自衛権の問題でも、公明党には努力してほしい。(記者会見で)
 ▽本物の野党
 世耕弘成官房副長官 安倍昭恵首相夫人はよく「家庭内野党」と呼ばれているが、私は(妻が民主党の林久美子参院議員なので)本物の野党が家庭にいる。(参院予算委員会で)
 ▽批判は当然
 志位和夫共産党委員長 河野談話をほごにする動きに外国から批判が出るのは当然だ。日本として歴史の歪曲(わいきょく)を許さない姿勢が大事だ。(従軍慰安婦問題をめぐる河野洋平官房長官談話の見直しについて記者会見で)
 ▽便利も大事
 高市早苗自民党政調会長 晩ご飯は夫(の山本拓衆院議員)が作ってくれる。若いころは見た目(が大事)と言っていたが、便利であることも大事だ。(自民党のインターネット番組で)
 ▽1回でも多く
 榛葉賀津也民主党参院国対委員長 (予算が自然成立するまで)30日という十字架をわれわれは背負っている。1回でも多く、テレビ中継される集中審議をやることが日程闘争以上に重要だ。(記者会見で)
 

これ『国益そっちのけ! 「安倍たたき」で終わらせようとする人々』と題した産経新聞3月9日7:00の報道記事である。
 

 私はこの記事を載せた産経新聞に言いたい。安倍首相の擁護は自由だが、「国益」とは国民の幸せな生活の上でこそ成り立つものである事を、まず理解して欲しいと思う。
 現在の日本国民生活はどん底である。1昔以上続いたデフレ不況により、最悪な状況を抜け出せないで居るからである。それを現在の見せ掛けの経済大国の一員的思考により、国民の代議員である国会議員連中は、さも日本国を広義の思惑を振りかざし、現実の国民生活を知ってか知らずに、対外的な改憲思考に走っている。国民生活をないがしろにしてである。折しも時の宰相安倍首相は、その経済を打開すべき「アベノミクス」なる政策を掲げ、さもこの政策が我日本国の現状打破の最高のカンフルと位置づけ、颯爽と円安誘導を掲げ登場した。結果現状は輸出企業のみへの恩恵に終わり、そのあおりを受け、輸入企業関連の小・零細企業は持ちこたえられず大半は倒産の憂き目と相なってしまった。しかも3.11大震災による東電福島原発事故により火力発電へのシフトも円安のあおりを受け、電気料金の値上げも必然となる。今冬は東北や北海道の厳寒地域での必需品の灯油の値上がりによる生活への打撃は半端じゃ無い。このような状況を政府安倍政権は何と考えているのか。これが国民の幸せと言えようか。このような状況下でいくら国民の代議員として広義な使命感持ってしても、説得力は無いと言うべきである。そんな折、何が「集団的自衛権の行使」の是非論だ。国民不在と言わねばならない。もっとやるべき優先順位があるのではないのかと私は言いたい。