東京電力福島第1原発事故による避難に伴う賠償金を巡り、東電が昨春以降、社員に対し既に支払った1人当たり数百万円から千数百万円の賠償金を、事実上返還するよう求めていることが関係者の証言で分かった。確認されただけで、総額は1億円を超えるとみられる。中には、東電が尊重すると公表している政府の「原子力損害賠償紛争解決センター」(原発ADR)による和解案を、自ら拒否したケースもある。返還請求により、20歳代の若手社員らが次々と退社しており、原発の復旧作業に影響が出かねない対応に批判の声が上がっている。
国の指針は、避難者に(1)精神的損害(月10万円)(2)交通費など自宅への一時立ち入り費用(3)避難先で購入した家電製品--などを賠償すると定める。東電社員も他の被災者と同様、賠償金の支払いを受けてきた。
国の指針は、避難者に(1)精神的損害(月10万円)(2)交通費など自宅への一時立ち入り費用(3)避難先で購入した家電製品--などを賠償すると定める。東電社員も他の被災者と同様、賠償金の支払いを受けてきた。
しかし、ある男性社員は、2012年秋に賠償を打ち切られた。「立ち入り制限のない区域の賃貸住宅に転居した11年夏の時点で避難は終了したとみなす」というのが理由だ。転居前も賃貸住宅に住んでいたのだから、別の賃貸住宅に引っ越した段階で避難は終了した、という。しかし、社員以外なら引っ越しを伴う以上、賠償は打ち切られない。
男性社員を驚かせたのは昨春、賠償実務を担う東電の「福島原子力補償相談室」(東京都千代田区)から届いた文書。「控除させていただく調整額について」との表題に続き「(既に)お支払いした金額と、正しく算出した金額が異なっていることが確認された」として、差額が数百万円に達すると記載されていた。東電側は、引っ越し(11年夏)以降に受領した数百万円の差額を「もらい過ぎ」と判断したとみられる。
男性社員が相談室に電話し「控除」の意味を聞くと「今後の支払いから相殺する」と答えた。賠償を打ち切られ、今後の支払いのない社員にとっては事実上の返還請求だ。男性が「今すぐ返せというのか」と重ねて聞くと「返還方法は決まっていない」と答えた。
男性社員は13年に原発ADRに申し立て。原発ADRは東電の主張を退け「避難は現在も続いている」とし、賠償金の返還義務を否定したうえで、逆に数百万円の支払いを東電に命じる和解案を示したが、東電は拒否した。
複数の証言を総合すると、返還請求を受けている社員は少なくとも15人おり、総額は1億円を超す。ある社員は取材に対し「賠償を打ち切られた社員は約100人。その多くが返還請求を受けている」と話した。
東電は10月、福島県内で執行役ら幹部と社員との意見交換会を開いた。毎日新聞が入手した、その際のやり取りを記録した音声データによると、社員らは「振り込まれた金まで返せということで、皆の怒りが爆発している」と憤った。幹部は「よく調べてみます」と述べたが、その後も対応は変わらないという。【高島博之、小林直】
いくら民間がシビアでもここまではしない。ここからはもう人間としての広義の矜持の問題である。出来るか、やるかと言う問題をそこまでやるかと言う事にもなる訳である。この発想は不祥事の埋合わせと言うものであり、役人特有の解決法である。同じやるなら全てやる、民間の発想にはほど遠い。何故なら全ては要求せずパフォーマンス的に、それの一部で良く、やった、保障させたと言う実績でよいからである。見せしめと言う防波堤を築くだけで良いからである。これが正しく役人の法律ルールなのである。東電の役員やそれに近い管理職は全て天下りである。だからこう言う発想しか出来無いのである。何故なら本気で賠償させられる金額かどうかを考えれば解かるからである。本気で賠償させる気ならこんな事しない。そんな非現実的な処置、誰も信じない。これは頭からホンの少しでも役人特有の制裁の域を出ないやり方である。私なら本当に賠償させる気なら、当然ながら、東電の役員全員と原発行政に携わった霞ヶ関の全役人と55年体制以後の自民党議員全てと現自民党議員らにこの不始末の全ての費用を負担してもらう。それが口先でない本当の国民への謝罪と考える。それを偉そうに、東電社員に賠償させるなんざ、本末転倒である。だったら明日からでも直ぐに賠償させろと言いたい。