投資減税を成長戦略の柱にとは安倍内閣狂ったか

 政府は6月12日、産業競争力会議において成長戦略の最終案を取りまとめた。成長戦略の具体的な内容については、安倍首相が産業競争力会議の進捗に合わせて段階的に発表してきており、最終案もそれに沿った内容となっている。
 ただ12日の会合では、投資減税に関する項目が付け加えられ、これを成長戦略の大きな柱とする形に内容が修正された。段階的に発表してきた成長戦略が市場からまったく評価されず、株価の下落に歯止めがかからないことを受けた措置と考えられる。
 これまで消極的といわれていた減税の分野に踏み込むことで、市場からの評価を取り戻したい意向だが、減税がもたらす効果については疑問視する声が上がっている。
 また減税について言及してしまったことで、かえって成長戦略の本丸ともいえる規制緩和に消極的であることが浮き彫りになってしまったようにも見える。投資減税を柱とした成長戦略は市場の評価を取り戻すことができるのだろうか?
法人税の減税で設備投資を活性化?
減税の柱となるのは、企業の設備投資を促すための措置である。成長戦略の最終案では「生産設備や事業の新陳代謝を促す枠組みを構築し、思い切った投資減税を行うことで企業を支援していく」との記述が盛り込まれた。また「実際に物事を動かすのは民間であり、企業経営者には、世界と戦う覚悟を持ってもらわなければならない」という奇妙な一文も付け加えられている。
 これまで財界は減税を強く政府に求めてきたが、財政再建を優先したい政府がこれを拒んできたという経緯がある。今回、財界が要求する減税を盛り込む代わりに、企業側も成果を出す覚悟をして欲しいとのニュアンスが滲んでいる。
 減税を成長戦略の柱とするのは、日本における法人税負担が国際的に見て重く、これが企業の活力を削いでいるという仮説が前提となっている。減税措置を講じれば設備投資などが活発になり、成長に寄与するというわけである。
 日本の名目上の法人税率は50%近くあるが、各種の控除があるため実際の税率はもう少し低い。法人税の負担が重いのかどうかは、実効税率で比較する必要がある。
税率と経済成長は必ずしも関連するわけではない
財務省の調査によると、日本の法人税の実行負担率は約35.64%となっている。これに対してフランスは33.33%、ドイツは29.55%、中国は25%、イギリスは24%、シンガポールは17%となっている。意外に思うかもしれないが米国は日本よりも高く40.75%となっている。
確かに日本はフランスやドイツに比べて実効税率が高い。だが好調なドイツと低迷しているフランスに大きな差はなく、日本の税率についても企業の競争力を著しく低下させるほどの水準ではないことをうかがわせる。また中国やイギリス、シンガポールは非常に税率が低いが、これは国内企業の活性化というよりも、むしろ海外企業の進出を強く意識した税制といえる。日本は海外資本の国内進出を基本的に望んでいないことを考えると、これらの国との比較はあまり意味をなさないだろう。
 むしろ注目すべきは米国の実効税率の高さである。米国は世界でも税負担が突出して高い国のひとつだが、世界から多くの資本や企業を国内に呼び込んでいる。しかも米国企業は日本企業に比べて圧倒的に収益力が高い。企業は税率よりも、その国の市場の魅力の方を重視しているということであり、税率は絶対的要件とはいえない。あくまで低い税率は支援材料でしかないのだ。
日本の大企業は税金をあまり払っていない
 さらに日本の法人税負担についてはウラがある。経済成長のエンジンとしての役割が期待される大企業の税負担は、実際にはもっと少ないのである。
 法人が負担する税金は公平な仕組みにはなっていない。日本には租税特別措置法という法律が存在しており、一定の要件を満たせば法人が負担する税金を軽減できる。この適用を受けている法人は、2012年3月末現在で約92万社あり、4兆4000億円もの税金が免除されている。
 これらの適用を受ける法人は圧倒的な政治力を持つ大企業に偏っており(金額ベース)、大企業の税負担はかなり少ない。例えば研究開発税制については、2012年度は総額で2450億円の減税措置が実施されたが、この金額のうち89%は資本金10億円以上の会社に適用されていた。また従業員が50人未満の会社における2011年度の実効税率は50%近くに達しており、名目上の法人税をほぼ満額課されている状態となっている。
 政治力のない中小企業やベンチャー企業の多くは特別措置の恩恵を受けられず多額の税金を支払っているのだ。特別措置には創設後50年以上経過しているものや、完全な政治利権になっているものも存在する。
日本の大企業は完全に甘やかされており、米国などと比較すると十分すぎるほど税制による恩恵を受けている。それにもかかわらず設備投資が活発にならない状況を考えれば、重い税金が原因でないことは明らかだ。
市場が求めているのは産業構造の転換
 多くの専門家が指摘しているように、日本のデフレは構造的問題に起因しており、単なる景気循環ではない。多くの規制と多額の減税で救済されている大企業ばかりでは、国際競争力が維持できないのはむしろ当然である。
 現在の日本は70年代後半の米国と極めて似た状況にある。80年代における米国の劇的な復活のきっかけとなったのは、言うまでもなく大胆な規制緩和による競争の促進であった。
 誰が言い出したのかは不明だが「競争力を付けるには競争するしか方法はない」という名言がある。アベノミクスに求められているのは、特定産業の支援でも減税でもない。競争を促進させ、産業構造を転換させるための大きな枠組みである。この方向性さえはっきりすれば、市場からの評価は簡単に取り戻すことができるはずだ。
(The Capital Tribune Japan)

「投資減税が有効な成長戦略にならない理由」と題したTHE PAGE 6月18日の記事である。

 この記事読んでもらえばどんな経済の素人でも理解してもらえると思う。唯一理解出来ないと思われるのが、国会議員の先生方であろう。いや、解かってて利権を知られたくないから知らないふりをしているのかも知れない。だとするなら国会議員は亡国の奴等と言う事になる。
 私は何度も指摘して来た。大企業を信用するなと。
 投資減税等してもらわなくても十分大企業は体力はあるのだ。現状を見れば為替差益を将来のリスクに温存するため、内部に留保する事しか考えていないのである。
 「アベノミクス」はデフレ不況の解消政策の目玉として安倍自民党総裁の政権交代後の柱であった。それで無くとも、大企業として数々の特典を受けて来た。にも拘らず、追い銭の如くの円安株高の政策である。その名の下にデフレ不況の解消政策として、金融緩和策を目論見、物価を上げ給料を上げると、さもバラ色になるような、誇大広告と私は言いたいが、結果現在はどう推移しているかお解りか。国内においては為替差損的に、円安のお陰により輸入物価の高騰、一番痛いのは油の高騰である。全ての製品は必ずや油が介在をしている。今後夏から冬にかけてこれがボディブローのように効いてくるのは必定である。頼みの綱の家計の給料上がらず、雀の涙のボーナスでお茶を濁されるのがオチである。ベースは上がらないのである。何故ならしたたかな大企業、政府要請のベースアップ等馬耳東風この上無い。それが大企業だって事私は口を酸っぱくして言って来たつもりである。経団連の言う事を信じた結果といって良いのである。
 円を安くし、金融緩和を施し、そして今度来年よりの消費税増税である。輸出企業は消費還付税をもらいウハウハで祝杯を上げたと言う事を聞くに、日本共産党ではないが、これ以上大企業を儲けさせて何が得なのか。少なくとも、官僚・役人と国会議員の利権が増えただけでは無いのかと言いたい。
 安倍晋三よ、安倍内閣よ狂ったのか。

※消費還付税の詳細は下記ページにて
 
http://hb8.seikyou.ne.jp/home/o-shoudanren/hayasi.pdf.pdf