首相の「育休3年」要請 企業に「アメとムチ」か 国は大企業しか見てない

 3年間抱っこし放題――。安倍晋三首相がこんな支援策を打ち出した。働き続けたい女性のためになるのか。
 「経済団体の皆さんに、自主的に『3年育休』を推進するようお願いした」
 安倍首相が19日に表明した「育休3年」要請のポイントは二つ。一つは、いまの法制度を改正するつもりはなく、あくまでも企業に独自制度の充実を求めたにすぎないこと。二つ目は、正確には「育休を3年とれる制度」の導入すら求めていないことだ。
 要請内容が書かれた資料には、「子どもが3歳になるまで、育休や短時間勤務を取得したい男女が取得しやすいように職場環境を整備」とある。森雅子少子化担当相も25日、国会答弁で「まるまる3年育休ではない」と述べ、短時間勤務などを合わせて3年という趣旨と説明した。
 いまでも、3歳までの「短時間勤務制度」をつくるのは企業の義務だ。子どもが3歳になるまで育休を取れる独自制度の企業もある。要請は、その広がりをうながす「かけ声」の域を出ていない。
 一方、「3年間、抱っこし放題」(安倍首相)と、「育休3年」を女性支援の旗印にしたことそのものへの疑問の声もある。
 父親の育児参加を支援するNPO「ファザーリング・ジャパン」の安藤哲也副代表は、「(男性の育児参加が進まない)現状では女性の取得期間が延びるだけ」と話す。病児保育のNPO「フローレンス」の駒崎弘樹代表は「3年という背景に、(3歳まで母親が育てるべきだという)封建的な『3歳児神話』があるなら問題だ」。いずれも批判的だ。
 実際、女性が飛びつく制度にはなっていない。いまも3歳まで休める企業に尋ねると、オリックスは2012年度に65人が育休から復帰したが、2年半以上取得したのは2人だけ。高島屋では今年4月までの約3年間で、2年半以上が9%だった。資生堂の場合、女性の平均取得期間は約1年3カ月だ。
 やめた企業もある。ベネッセコーポレーションは、「3年休むと復帰のハードルが上がり」(広報)復帰率が下がったため、いまは1歳になった直後の4月か9月までに縮めた。キリンビールも利用者が少なく、06年に短時間勤務制度を充実して2歳までに縮めた。
 大阪府の食品卸売り会社員の中桐尚美さん(30)は小学生から2歳の娘3人がいるが、取った育休は計2年10カ月。「3年休んで戻れる場所はあるだろうか。制度ができても不安で使えないと思う」と話す。(長富由希子、畑山敦子)
■中小・非正規でも取得大事 男性の育児参加あってこそ
 6歳と2歳の男児がいる神奈川県の主婦、坂元理恵さん(33)は子育てと仕事の両立が難しく、大手保険会社を退職した。「子どもが病気の時に休める制度や短時間勤務制度など、子育てしながら働きやすい環境を整えて」。熊本県の薬剤師、内村博子さん(30)は「経済的に働かざるをえない人もいる。病児保育などの充実を」と提案する。
 保育所、勤務制度、そして育休――。子育てしながら働きやすい社会にするには、支援策をそれぞれ改善していくことが不可欠だ。育休については、どんな課題があるのか。 「そもそも育休を取れるのは、大手企業のごく一部の女性だけ」。女性の労働相談に応じる「働く女性の全国センター」の伊藤みどり代表は話す。「取れる人の期間を延ばすより、中小企業や非正規の社員も取れるようにすることが大事」
 復職後の社員と企業を支援する育休後コンサルタントの山口理栄さんは「復職した社員の受け入れ方」が問題とみる。意欲ある人に仕事をまかせなかったり、逆に多すぎる仕事を回したりする場合があるからだ。「企業が社員と密にコミュニケーションを取り、それぞれの希望に合わせた働き方にすることが重要だ」
 商社に勤める東京都の織田奈美さん(30)は、昨年末に長女を出産して育休中。しかし、少しでも早く復帰したい。「共働きの育児で、母親の負担だけ増やさず男性も子育てをしやすくなるよう、社会全体で働き方を変える必要がある」
 ノルウェースウェーデンでは、父親だけがとれる育休期間(パパ・クオータ制)などで男性の育児参加をうながしている。人事コンサルタント会社「ワーク・ライフバランス」の小室淑恵社長は、「日ごろから長時間労働を見直し『男性を家庭に返す』ことで、男女とも育児も仕事も出来るようになる」と話す。(岡林佐和、高橋末菜)
■「育休3年」を巡る首相発言要旨(日本記者クラブで)
 ある程度の期間は子育てに専念したい方がいるのも理解できる。女性が働き続けられる社会を目指すならニーズに応えねばならない。3歳までは男女共に子育てに専念でき、職場復帰できるよう保証することだ。そこで経済団体に自主的な「3年育休」推進をお願いした。助成金を創り、復帰前の学び直しプログラムも用意して「3年間抱っこし放題での職場復帰」を支援する。
◇〈短時間勤務制度〉 企業などの事業主は、3歳未満の子どもを育てる従業員が希望すれば、1日の勤務を6時間にできる制度を設けることが育児・介護休業法で義務になっている。
■首相が経済界トップに要請した主な内容
・2016年卒(現在の2年生)から、就職活動の解禁時期を3年生の12月から3月に後ろ倒し。面接など選考活動も4年生の4月から8月に後ろ倒しする。
・働く女性の育児支援のため、現在は法律で最長1年6カ月認められている育児休業期間を3年に延ばす。
・女性の社会進出を後押しするため役員・管理職に女性を積極登用し、上場企業は役員のうち1人は女性を登用する。
 

これは朝日新聞デジタルの報道である。
 

 法や条例等、整備をする時に、良く外国の例が比較されるが、()私は国民性や文化の違い等で、必ずしも同列に扱う必要ないと言う考え方だ。今回の場合ノルウェースウェーデンと比較してるが、他の国は他の国として捉え、わが国はわが国の方法でと言いたい。戦前の外国かぶれがとれない民族なのか。
 思うに安倍首相が提唱してるが、今回の「アベノミクス」で随分と大企業に便宜を図り、まだ足りず今度は『3年育休』か。何か私にはgiveの後のtakeに見える。これだけ便宜を払ったのだから、これぐらいはやれと言う無言の圧力に見える。これほどまでに言ってもベースを上げない企業に対しての圧力に見える。
 そもそもこう言う社会保証的法や通達・規則は常に中小企業や零細企業は蚊帳の外と言える。常に政府の基準は大企業である。一番最初の、労基法の1週2休しかり、公務員の給料しかりである。時々の9割を占める中小企業や零細企業は話題にもしてもらえぬ。これらの企業は、常に経済の谷間で苦しんで来た。こう言う中での『3年育休』等、何の意味も無い。これらの企業から見れば、雲の上の話と思える。政治家の目線は常に大企業である。これらに相対される公務員は幸せである。
 こんな『3年育休』等何が議論か。どうせ国民の希望や望み等聞く由も無い。それを法制化しなければいけないことなのか。私には理解できないのである。
 見方を変えれば何の事無い、政治の企業への「アメとムチ」に過ぎない。そんな馬鹿な事に中小企業や零細企業を巻き込んでもらいたくない。
 
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