アベノミクスが失敗したほうが日本にとって好都合

 日銀の黒田総裁が国債の大量購入を公式発表した翌日の4月5日から、利益を追求する海外の投資家たちは売りに転じた。結果、長期国債金利は高騰。それは国と地方自治体が抱える借金の利払い費がふくれ上がることを意味し、日本は財政破綻へと突き進むという声も出始めている。
  しかし、同時に経済成長を達成できれば、長期金利が上昇しても税収が増える分、それほど財政の負担になることはないのではないだろうか。元財務省のキャリア官僚で、現在は法政大学経済学部准教授の小黒(おぐろ)一正氏が解説する。
  「昨年の国の税収入は約35兆円です。バブルの絶頂期でさえ、約60兆円ほどでした。それに対し、国と地方が抱える借金の合計額は1000兆円以上です(国の公債残高に地方自治体の借金額を加えると、1000兆円を軽く超える)。物価と金利は基本的に連動するので、アベノミクスが目指す2%のインフレ率に合わせて金利も2%になると、単純計算で日本の利払い費は数年で20兆円にもなる。ここに国債の償還費も10兆円以上加わります」
  もし経済成長が頓挫すれば、日本は借金の利払い費と国債の償還費だけで、30兆円以上もの歳出が必要となる。しかも、必要なお金はこれだけではない。
  「さらに、社会保障費の公費負担額は約40兆円で、これは毎年約1兆円ずつ増加していく。つまり借金の返済費と社会保障費だけで70兆円を超え、バブル期の税収入を大きく上回ってしまうのです。このギャップを経済成長で埋めて財政赤字を解消できる可能性は、極めて低いと言わざるを得ません」(小黒准教授)
  長期国債金利は国の信用度が大きく影響する。このまま財政赤字が悪化すれば、長期国債金利が暴騰するリスクが高まるのだ。借金を1000兆円とすると、金利がたった0.1%上昇しただけで利払い費が1兆円も増えるのだ。もし金利が3%を超えたら……、想像しただけで背筋が凍る。
 結局のところ、アベノミクスが成功すると、財政赤字が埋まらない程度の微妙な経済成長を得る代わりに、財政にトドメを刺すような金利上昇がついてくるのだ。逆に失敗すると、経済成長も物価上昇も起こらないが、金利も上がらないで済む。差し引きすると、アベノミクスが失敗したほうが日本にとって被害が少ないという計算が成り立つのだ。
 どちらにせよ、アベノミクスはもう始まってしまった。今はまだ入り口付近にいるが、金融緩和は出口こそが難しいのだと前出の小黒准教授は警告する。
 「金融緩和の際に日銀は大量の国債を買いますが、引き締めのときは国債を売るわけではありません。大量の国債を売れば国債の価格が下落し、金利が上昇してしまうからです。急に国債の購入をストップする場合も、国債の需給が急変し、長期金利は上昇してしまうので、ソフトランディングさせるためには出口のプロセスになっても国債の購入量を徐々に減らしながら買い続けなければならないのです」
 黒田日銀と安倍政権にそんな繊細なコントロールが可能なのか。日本経済の先行きに不安は尽きない。(取材・文/菅沼 慶 取材協力/渡辺奨子
 

 これ「アベノミクスが失敗したほうが日本にとって被害は少ない」とした題での週プレニュースの記事である。
 

 私はこの記事読んでなるほどとポンと膝を打った。それほどその通りと思われる記事である。とても拙な私が批評するまでも無い素晴らしい記事と思えた。この記事を自公の先生方読んだら何て言うか聞いてみたい衝動に駆られた。
 昨日の黒田日銀総裁の「金利抑制追加策」見送りを発表したその顔が、この記事が真実である事を物語っているのではとも思った。