安倍晋三首相「アベノミクス」への成果を求め今度は経団連に賃上げ要請、そうではないのではないのか

 安倍晋三首相が12日、経済3団体トップに業績が改善している企業の賃上げを求めたのは、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の成否が、雇用や所得の増加にかかっていると見ているためだ。経済界も「業績が改善してくれば自然に賞与は上がる」(経済同友会の長谷川閑史代表幹事)と前向きだが、ローソンのように実際に引き上げを発表する例はまだ少ない。政権からの異例の要請を企業がどう受け止めるのか。13日にメーカー大手の要求提出で本格化する春闘でまず問われそうだ。【宮島寛、久田宏、大久保陽一】
 
 「がんばって働く人の所得増大によって、本格的なデフレ脱却に向かっていく」。首相は3団体との会合で、賃上げ要求の意義を強調した。
 
 アベノミクスは、積極的な財政政策で需要を増やし、それが波及して民間の生産活動を拡大、結果として雇用や所得の増加につなげようとする。雇用や所得が増えれば、個人の使えるお金が多くなるのでさらに需要が大きくなるという好循環に入る。そのためには民間企業の経営者が、もうけを内部留保としてため込むのではなく、従業員の給料や数を増やす判断をしていかなくてはならない。
 
 だが、バブル崩壊リーマン・ショック新興国との激しい価格競争の影響で、日本企業はもうけを雇用や給料に回すよりも、ため込む傾向が強いと指摘されてきた。麻生太郎財務相も12日の記者会見で「(企業は利益を)配当に回さず、設備投資に回さず、従業員の給料に配らず、内部留保をため続けてきた」との認識を示した。
 
 財務省の法人企業統計調査によると、企業の毎年度の最終利益から配当金を差し引いた内部留保(金融業、保険業を除く)の総額は、リーマン・ショック前後の08、09年度はマイナス3兆~4兆円で企業の蓄えは取り崩されていた。しかし、10、11年度は7兆~8兆円ずつ積み増された。一方、厚生労働省の統計によると、勤労者の平均年収は1990年代後半から下落傾向にある。非正規雇用の比率が高まっていることが響いている。
 
 安倍政権は先月、日銀と共同声明を結び、2%の物価上昇目標を定め、日銀が強力な金融緩和を進めるレールを敷いた。もし、給料が増えないまま、物価だけ上昇すれば、アベノミクス下の国民生活はかえって苦しくなってしまう。
 
 ◇人件費増大には警戒
 
 経済界も「停滞する雇用、報酬の改善は我々も本当に必要」(経団連米倉弘昌会長)と首相の要請に応じる姿勢を見せた。円高是正で業績が持ち直す企業が出ている上、規制緩和や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)推進といった要望を通すには「政権の要望に配慮する必要がある」(経団連関係者)ためだ。
 
 経済3団体はいずれも、業績改善の範囲内でボーナスなどの一時金を引き上げる方針。同時に米倉氏は「(景気に)明るさは見えたが、まだ確実でない」とも強調し、賃金体系全体を引き上げる「ベースアップ」や勤続年数に応じて給料が自動的に上がる「定期昇給」には慎重な姿勢を崩していない。いつでも下げられる一時金と違って、本給を上げると長期間にわたり人件費が膨らむことを懸念しているとみられる。
 
 また、政府が「(子育て世代などへの給与増を打ち出したローソンに)続く反応を期待している」(甘利明経済再生担当相)にもかかわらず、賃上げ表明ラッシュは起きていない。麻生氏らが活用を求める内部留保についても「国際競争力の維持には、海外投資や企業買収にお金が必要で、賃金に回すにも限度がある」(大手メーカー幹部)。
 
 焦点は春闘トヨタ自動車など自動車5社は円安などを理由に13年3月期の業績予想を上方修正した。大手メーカーの多くは来年度の一時金を今期業績見通しに連動させる仕組みとしており、増額回答も視野に入ってきた。
 
 しかし円安・株高で潤う企業は限られ、地方や中小企業は依然厳しい。日本商工会議所の岡村正会頭は「業績が悪い会社も良い会社も一律何%アップと言える時代でない」と賃上げムードの拡大をけん制する。さらに、非正規雇用の割合が高まる中、賃上げが正社員にとどまれば、経済全体への波及効果も限定的になる。

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これ毎日新聞の記事である。
 
 

 驚くより他は無い。
 日銀に打ち出の小槌を要求し、また今回経団連に賃上げの要請、小泉政権以来の新自由主義者として考えればこの要請は、マーケット原理に逆行する大罪と言えよう。これではまるっきり主義主張とは異なり、ある意味危険な賭けと言っても良い。
 
 思うに安倍さん、これが失敗すればどのような責任を取ろうとしてるのか。ただ辞めれば済む問題ではない。またもや今回も絡んでる竹中平蔵の責任は重大と言えよう。
 
 私は今回のデフレ不況は政府やマスコミが考えてる不況とは違うような気がする。確かに給料が上がれば、何か買おうかと言う気持ちになり、消費が上向く気はするが、私はどうも違うような気持ちだ。何故なら給料の上がって無い現在でも、土日祭日ともなれば、往年とは違うまでも、未だに家族連れが行楽地やショッピングセンターに連れだって盛況なのである。一部じゃないかと言われるかも知れないが、事実なのである。と言う事は少なくても給料アップと言うよりも、世間、世の中が滅入ってしまっているのでは無いのか。つまり国民の気持ちがデフレデフレと言われて滅入ってしまっているのである。ならば国民の気持ちを変える、何かのカンフル剤が必要ではと思う。それが賃上げでも良いが、要は雇用だと思う。折しも現在日本を代表する企業、パナソニックソニー、シャープ等が韓国勢に敗退し、その余波が下請け企業を通し、活気を失っているのが原因と私は思う。だからさし当りの賃上げも結構だが、韓国のように民間企業に国が肩入れし、メイドインジャパンの復活を後押しする事こそ必要ではないのかと思う。さすればマーケットは本当の意味の円の価値となるのではと私は思う。