小沢無罪、有罪を予想した私は全く持って穴に入りたい

 東京地裁、法廷は、この日も地裁最大規模の104号。裁判長を挟み、指定弁護士側と弁護士側は、左右に分かれて着席している。
 
 《いつもは、指定弁護士側から入廷する小沢被告だが、この日は弁護士側の扉から姿を現した。小沢被告は入廷する際に一礼、さらに大善裁判長の前でも深々と頭を下げ、弁護側の席に着いた》
 
 大善裁判長は「それでは開廷します」「ただいまから判決の宣告を行います」
 
 大善裁判長「被告人前へ」
 
 大善裁判長「それでは被告人に対する政治資金規正法の罪について、当裁判所の判断を示します」
 
 「主文、被告人は無罪」
 
 大善裁判長「もう一度、いいます」
 
 「主文、被告人は無罪。分かりましたね」
 
 小沢被告「はい」
 
これ判決時の様子である。
 
そして判決の骨子をまとめると以下のようになる。
小沢一郎元代表は無罪
●元秘書らは収支報告書に虚偽記入した
●4億円の簿外処理の報告を受け、了承していたが、元秘書らとの共謀は成立しない
●強制起訴は適法で有効
●事実と反する捜査報告書を作成し、検察審査会に送る事はあってはならない
 
 私はこれを見て耳を疑った。何故なら証拠不採用はされたが、石川被告の隠し録音によれば、石川被告がその中で小沢被告に4億円等の報告・了承の発言をしていたからである。もし裁判所がこれを採用すれば少なくとも小沢被告は知っていた事になり、秘書に任せていたとの証言が不確かとなるからである。つまりは、報告・了承はあったが共謀は無かったからと裁判所が判断したからの無罪であろうと思う。グレーと見たが黒では無かったと言う事だ。要するに疑わしきは罰せずの精神を地で行った訳である。
 私は、今までの小沢と官僚機構の破壊を恐れる官僚との闘いは、「数としたたかさ」で官僚に分があると踏んだので小沢有罪と予想した。
 こう言っちゃぁ何だが、私は2年半前の政権交代までの選挙予想や永田町の動向等殆んど予想した通りでそんなに狂わなかったがこんなに外れたの始めてである。本当に恥ずかしい限りである。
 今日の判決以後の号外やニュースを見てみると、殆んどが同じ内容であったが、唯一今後も見通し等、的確に報道してたのが日本経済新聞社だったので、皆さんに紹介したい。
 私はここ最近ネットオンリーになってしまっているので新聞はあまり読まないが、以前より、政治欄については、大手紙よりも、経済に特化してる日本経済新聞社が、経済に強い経済新聞の政治担当記者がそのコネ利用の政治家生情報として一風違った記事が多くて結構面白かったので、時たま見て面白いと思ったからである。その記事を下記に紹介する。

日本経済新聞社記事
 自らの「政治とカネ」問題の裁判で無罪判決が出た民主党小沢一郎元代表は、まず党内での影響力回復に照準を絞る。野田佳彦首相が「政治生命をかける」と明言した消費増税関連法案の今国会採決を阻止し、資金や選挙の公認権を握る党執行部ポストを得るか、9月の代表選での候補擁立を模索。場合によっては野党と手を組み、政権を揺さぶる――。20年前、自民党内の闘争で功を奏した成功体験が、今回も再現される保証はない。
 判決が近づくにつれ、小沢元代表は「衆院任期はまだ1年半ある。民主党本来の姿を取り戻すべきだ」「消費増税法案を採決する状況までたどりつけない」と、野田内閣との対決姿勢を一段と強めてきた。無罪判決を得た元代表の周辺では党員資格停止の解除、次に資金と公認権にかかわる幹事長や選挙対策の責任者などの役職を狙う。
 小選挙区選挙が始まった1996年以降、小沢元代表は与党の時は幹事長、野党の時は党首と、常に政党助成金を差配するポストに就いてきた。民主党幹事長を退いたのが10年6月。自らの裁判対策も抱え、2年近くも党の要職から遠ざかったことは、これまでなかった。
 要職に就くには、党内の反対を首相と輿石東幹事長が抑えなければならない。消費増税に真っ向から反対する元代表を処遇するのは、相当な理屈がいる。かつて大蔵省と組んで消費税率引き上げを検討したこともあり、元代表が変幻自在な対応をする可能性も否定できない。
 重要ポストに返り咲いたとしても、消費増税法案成立のカギを握る自民党の「小沢アレルギー」は、あまりに強い。新進党時代には深くつながった公明党創価学会も「反小沢」が大勢だ。党内融和はできても、国会対策の展望は開けない
 重要ポストが駄目なら、狙うのは倒閣だ。今国会での法案採決をさせず、今国会中に野党から内閣不信任決議案が出れば、同調する構えをみせて退陣に追い込むことも選択肢になる。その後は代表選を左右する存在になろうとするだろう、と与野党幹部はみる。
 党内で奪権闘争し、野党と連携するのは93年、小沢元代表自民党を飛び出し、非自民政権をつくった前例に基づく。だが、多くの点で今回、元代表を取り巻く政治状況は大きく異なる。
 まずグループの結束だ。93年は派閥全員が一糸乱れず新党まで行動をともにしたが、いまは130人とされるグループは一枚岩とはいえない。それどころか、すでに元代表の制止を振り切って離党した議員も出ている。
 野党との連携もおぼつかない。自民党公明党も「小沢グループとは組みたくない」との声ばかりが聞こえる。不信任案の採決では結果として共闘できても、その後の協調は難しい。自民党内では「小沢抜きなら、民主党と組める」との意見まである。野田首相元代表と決別すれば、民・自の連携もあり得る。
 社会党民社党を支援した連合の山岸章会長、公明党市川雄一書記長らと強固な関係を築いていた往時の勢いはない。元代表自身、連携の相手として盛んに名前をあげるのは、いまだに候補の1人も決まっていない大阪維新の会を率いる橋下徹大阪市長だ。若手の期待も、橋下氏らが志向する「第三極」新党との衆院選での連携にある。
 自民党を離党して新党を立ち上げた当時、51歳だった小沢元代表には「仲間は全員、国会に戻す」と漏らすだけの見通しも戦略も、資金面の手当てもあった。いまは「この状況で選挙なら、全員討ち死にかもしれない」とグループの会合で語り、若手は衆院解散・総選挙への不安を募らせる。
 来月、70歳になる小沢元代表は無罪判決を得て「最後のご奉公」と意気込む。身内のグループ、野党の壁、資金面での不安……。何度も復権し、今回は無罪判決を得た元代表には、政治的な剣が峰が待っている。
 (電子報道部次長 丸谷 浩史)
 
以上日本経済新聞社記事より。