温泉洗浄便座の想い出

 私の専門は建築学だが家業は土木工事業者だったので、嫌いだったがしょうがなく後を継いだ。昭和46年の春大卒時建設業者の息子と言う事でゼネコン数社の入社試験全てに落ち、どこにも行けず帰郷して継いだのだが、建築の夢が忘れられず、建築の工事にもその後進出した。大卒後すぐだったので県の建築士会の住宅のコンペに応募したら運よく優秀賞で表彰を受けた。それからと言うもの土木より建築に主力を置いたのだが、当時の住居地は田舎と言う地域柄住宅の建築はあるにはあったが、会社の業とするには少し需要が少なく、我が国の経済発展の最中土木の公共事業真っ盛りであったために自然と土木事業に傾斜せざるを得なかった。でも建築が忘れられず、親父に無断で住宅の設計は続けていた。その後我が国の経済発展は目覚ましく、それにつれて住宅事業も自然と需要が増して来ていた。そんなある日たまたま東京で最新の住宅事情のフェアがあり、学生時代の旧友との再会も兼ね、出席したらTOTO(旧東洋陶器)のエリアでウォッシュレット(今で言うトイレ洗浄便座)の紹介をしてた。今では当たり前になって居るトイレ洗浄便座、本当に当時は画期的だった。私の新し物好きが首をもたげ早速新築してふた昔も経った我家に取り付けてみた。2006(平成18年)の6月頃の事だった。当時はどこにもそんなに取り付けていなかった珍しい物だった。だが笑い話のようだがそのトイレ洗浄便座に慣れてしまうと、それ無しには正直生活できなくなってしまうようだった。15、6km離れた場所に用足しに行って便をもようしたくなると、当然どこにも未だトイレ洗浄便座無いから、急いで自宅まで帰り、用を足した事数限りなかった。(笑い) だがその後ホテルや公共建物に順次トイレ洗浄便座が普及し、今やその設備の無いところが無いくらいまで普及し正直ホッとした気持ちで充実した毎日送っている。