小沢一郎負けるが勝ち

 民主党代表選からの小沢元幹事長の行動を見ていると、少なからず今までの小沢一郎と言う男の鼻っ柱の強い傲慢さは影を潜め、すっかり普通の物分りのいいおじさんと言う風になってしまった。これは何を意味し、性格まで変わってしまったのであろうか。
 私の知ってる小沢一郎とは似ても似つかない別人になってしまったように見える。私が一番驚いたのは代表選の立候補演説だった。菅首相との一騎打ちになり、立候補演説の順番が届け出順で小沢一郎からであった。最初の一声で気持ちが高ぶっていたのか、声が上ずり小沢一郎らしくなく上がっているように見えた。小沢一郎には考えられない事であった。その後は落ち着きを取り戻し代表としての決意を見せた大変良い演説だったと思う。が私はあれっと思ったのは最後の締めくくりの言葉だった。彼はこのような決意の演説は恐らく最後だと言った事である。正直に彼の演説を紐解けば、この戦い負けると思っていたのだろう。だとすれば負ける戦はやらない小沢一郎伝説がここで自分から崩してしまった。案の定代表選で敗れた。しかし、その後の菅政権の迷走振りを見れば、この小沢一郎の代表選以後の行動がどうも今後を予期して、いずれ自分の出番がと考えていたように思えてならない。でないと代表戦で負けてスッキリしたような笑顔の説明がつかないと思っている。もしかしたら、菅直人仙谷由人、それに前原誠司のトライアングルの結末を予測したとしか思えない行動だった。だとすれば小沢一郎と言う男先も見える恐ろしい男と言えるのではと私は思う。今こそ小沢一郎の出番だ。