菅首相VS小沢前幹事長は官僚VS小沢前幹事長の戦い?

 55年体制自民党が、今日までの長きに渡り政権を維持できたのは、ひとえに官僚と言われる霞ヶ関の役人のお蔭と言っていいのであった。自民党の議員たちが、議員としてやるべき事をほぼ役人に丸投げし、自分たちは心置きなく地元に帰り選挙に没頭できた事、これすべて役人のお蔭であった。議員本来の仕事である国政の政策等の立案や、それにかかる全ての付帯を役人にお願いして来た結果、見返りの無かった役人達は、天下りと言う実益を黙認してもらう事で、お互い持ちつ持たれつの関係を維持してきたのが自民党政権の実態であった。
 それが昨年に劇的に政権の交代になったため自民党が下野したが、もう一方の権力者であった官僚は、突然はしごを下ろされた感じで行き場を失い、当初の民主党政権においてはキバを抜かれたライオンの如く四面楚歌的対応に面くらい、閑職を余儀なくされた。それでなくとも日本国の実質下支えは自分達と思ってやまない高プライドの彼らは当然反発した。証とて無いが大マスコミや司法権検察を操り小鳩体制を葬り、簡単に操れる菅体制に導く事に成功したのは間違いなく彼らのキャリア・ノンキャリアを問わずの共同体制であった。そして彼らは菅直人と言う、どちらかといえば権力欲旺盛で、経済や行政に疎い人間にターゲットを絞り成功した。
 しかし、今回予期してなかった、よもやの小沢である。恐らくそのショックは計り知れないであろう事は容易に気付く。特に昨年物議をかもし賑わした事務次官をも勤めた羽毛田宮内庁長官を一喝した事等は官僚にとってみれば、今までと違い上下関係の厳しさを再確認した、させられた?出来事と言ってよかった。これで官僚は小沢怖し、政治主導はこの時本気と悟った。菅政権になり、その第一声がファーストレディとなるべき菅首相の伸子夫人の「官僚とは上手くやって」の一言だったと聞いている。菅首相はこの1歳上の姉さん女房に頭の上がらない恐妻家だ。この好機とチャンスをあの頭脳集団の官僚が見逃す筈は無い。その結果がマニュフェスト違反の政治主導破りとなって表れたのは皆さんご存知の通りである。これでは自民党以下になってしまう。当然小鳩体制には呑めない事案であり許される度合いを逸していた。だからこそ鳩山前首相は、「小沢外し」をリセットしようとしたのだろう。
 ただここで菅首相が「政治とカネ」の問題を大儀として、つまり錦の御旗として世論等にどれだけ浸透させる事ができるのか、今の段階では未知数である。
 私個人的には田中角栄よろしい現代の闇将軍小沢一郎に、「日本改造論」張りの政策と、余りある豪腕的バイタリティの小沢一郎に最後に日本の舵取りを託して見たいし、この日本を変えてくれるならと願う。そうすれば世に言う「政治とカネ」の問題は暴論と言われても些細な事と私は思う。
 それより、菅首相に対する経済・銀行・証券の金融界の不信は最高潮に達っしている。このままでは日本沈没である。このことを世論はどう判断するのかも焦点である。
 いづれにしても今回の戦いは菅首相VS小沢前幹事長で無く形を変えた官僚VS小沢前幹事長の戦いと私は見ている。