森友文書改竄問題で、安倍官邸は佐川宣寿・前国税庁長官にすべての責任をなすりつけるつもりだが、果たして「偽証答弁」を重ねてきたのは本当に佐川氏だけなのか。
安倍晋三・首相は3月14日の参院予算委員会で、文書の書き換えの事実をいつ知ったのかと問われ、「11日に報告を受けた」と答弁した。財務省が書き換えの事実を認め、世間に公表されたのは12日のこと。安倍首相は前日まで知らされていなかったということになる。
しかし皮肉なことに、それが嘘だと明らかにしたのは“女房役”の菅義偉・官房長官だった。15日の会見で、改竄前文書の存在は5日の段階で国交省から首相官邸に報告があり、翌6日には安倍首相と菅氏にも伝えられていたことを発表したのである。
新設計画を知った時期について、「申請が正式に認められた国家戦略特区の諮問会議、2017年1月20日に初めて知った」(2017年7月24日・衆院予算委員会)と述べていたが、その約1か月前には、「(加計学園が)今治市とともに申請した段階で承知した」(2017年6月5日・参院決算委員会)と答弁していたのだ。
加計学園をめぐっては、危機管理能力に長けているとされる菅氏も“ミス”を犯した。
内部文書の存在が取り沙汰された際、「怪文書みたいな文書じゃないか。出所も明確になっていない」(2017年5月17日)と会見の場で言い放った。その後すぐ、元文科省事務次官・前川喜平氏が会見を開き、「文科省の中で作成され、幹部の間で共有された文書で間違いない」(2017年5月25日)と断言した。
麻生太郎・副総理兼財務相もさすがの貫禄。逮捕された籠池泰典・前理事長との交流を指摘されると、「その種の珍しい名前なら覚えは良い方だから結構覚えているんですけど、まったく記憶にない」(2017年3月15日・参院予算委員会)と完全に否定。しかし、籠池氏は麻生氏に2回は面会していると言い、実際に長女・町浪(ちなみ)氏と籠池氏に挟まれた麻生氏が満面の笑みを浮かべているスリーショット写真も存在する。答弁が嘘でないなら、記憶力に問題があるのか。いずれにしても大臣としての能力に疑問が呈される。
そもそも文書改竄は、安倍首相が国会で、「私や妻がかかわっていれば首相も国会議員も辞める」(2017年2月17日・衆院予算委員会)と答弁した直後に行なわれている。ところが麻生氏は、「佐川の答弁に合わせて書き換えられた」(3月12日・囲み取材)と、佐川氏に責任をなすりつけるばかり。
いまや安倍首相自ら、「私の国会答弁は財務省による文書の書き換えに影響していない」(3月19日・参院予算委員会)と堂々と言い放つのだから、この国のトップは“問題のすり替え”には全く抵抗感がないようだ。彼らの矛盾だらけの「偽証答弁」は議事録に残されている。ゆめゆめ改竄、書き換えなどなさらぬよう。※週刊ポスト2018年4月6日号
とにかくウソのつき通しでどれが真実なのかわからなくなっているのであろう。本人たちはどうせ官僚の書いた通りに答弁するだろうが、かわいそうなのは、その答弁書を作る職員たちである。時系列的にも間違ってはいけないそのプレッシャーは並大抵ではないだろうと思う。願わくは職員から先日の自殺した近畿財務局の職員赤木俊夫さんのような人が出ない事を祈りたいものである。
こうやってみると、いつも政治はズルイと思う。