財務省による学校法人「森友学園」関連の決裁文書の改ざん問題で、野党は12日の財務省の説明に納得していない。特に、安倍晋三首相の妻昭恵氏に関する記述が削除されていたことを重視。佐川宣寿前国税庁長官に加え、昭恵氏と、当時同氏付だった内閣府職員(当時)の証人喚問を求め、首相の政治責任を追及する構えだ。
民進党の増子輝彦幹事長は12日の記者会見で「昭恵氏に関する記述が削除された点が重大な問題だ。誰の指示で書き換えられたか、核心部分を明らかにしなければならない」と強調した。
麻生太郎副総理兼財務相は12日、「ほかの政治家の名前が挙がっている資料だった。その中に(昭恵氏が)一緒に書かれていたので、抜き出た(削除された)のではないか」と記者団に説明している。
しかし野党は、首相が昨年2月17日に国会で「私や妻が関係していたとすれば、私は間違いなく首相も国会議員も辞める」と答弁したからこそ削除せざるを得なかったとにらんでいる。共産党の辰巳孝太郎参院議員は「改ざんは首相答弁との整合性を図るためだったという疑惑が一層深まった」と指摘。佐川氏の国会答弁との食い違いを解消するためだったという麻生氏の説明に異議を唱えた。
希望の党の玉木雄一郎代表も「(昨年2月の首相)答弁に合わせて事実をねじまげた」と辰巳氏と同様の見解を示し、「財務省理財局の一部の職員に責任をなすりつけて終わらせようとする麻生氏、安倍内閣の姿勢を許すわけにはいかない」と批判した。
立憲民主、希望、民進、共産、自由、社民の野党6党の幹事長・書記局長は12日、国会内で会談し、このままでは国会審議には応じられないとの見解で一致した。佐川氏や昭恵氏らの証人喚問を審議復帰の条件にして、与党への揺さぶりを強めている。
立憲民主党の辻元清美国対委員長は12日、自民党の森山裕国対委員長と国会内で会談し、「与党側が、混乱している国会の収拾に向けて努力すべきだ」と迫った。