与党は22日、今月30日までの今国会の会期の延長について検討を本格化させた。年金制度改革関連法案の今国会成立を目指す与党にとって会期の延長は不可避な情勢だ。ただ、民進党などの野党が同法案に徹底抗戦する中、具体的な会期幅は絞りきれておらず、野党の出方をうかがいながらの調整が続く。(田中一世、豊田真由美)
自民党の二階俊博、公明党の井上義久両幹事長は22日、都内のホテルで会談し、会期の延長幅について協議したが、結論は出なかった。二階氏は記者会見で、「議論は頭のトレーニング程度だ」と述べるにとどめたが、難しい判断となる。
最大の焦点は年金支給額抑制の強化策などを盛り込んだ年金制度改革法案の扱いだ。二階氏らは会談で今国会中の成立を目指す方針を重ねて確認。25日の衆院厚生労働委員会に安倍晋三首相が出席して質疑を行い、同日中に採決、29日にも衆院通過との段取りを描く。その場合、30日までの成立は不可能で、少なくとも12月上旬までの会期延長は避けられない。
民進党が「年金カット法案」と呼んで廃案を目指す中、さらなる会期幅が必要との見方もある。法案の衆院厚労委での審議時間は15時間半に達した。25日に審議すれば20時間を超える見通しで、「同じ審議時間を参院厚労委でも確保しようとすれば、会期は12月下旬まで必要になる」(自民党国対幹部)というわけだ。
さらに自民党などが成立を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備推進法案は審議入りすらしていない。民進党が難色を示しているためだが、二階氏は22日の記者会見で「機が熟しつつある。審議に入っていくと理解している」と強調した。今国会での成立を期す場合は、やはり12月下旬までの延長が欠かせない。
一方、野党は早期の衆院解散を誘引するような「大幅延長」につながる事態を避けたいのが本音だ。民進党の小川勝也参院幹事長は22日の記者会見で「(今月末までの)会期で国会は閉じるのが基本原則だ」と述べ、社民党の又市征治幹事長も大幅延長に「断固反対」とくぎを刺した。
野党は、首相が12月15日の日露首脳会談の結果を踏まえ衆院を解散することをなお警戒する。次期衆院選の候補者擁立や野党共闘に進展が見られない中、解散の可能性を高めかねない大幅延長の阻止と徹底審議のはざまで揺れている。