舛添要一前東京都知事の出張費、石原元都知事の前例を踏襲したとも言え、それを考えたのも都役人である。要は前例の踏襲のみに傾斜し、決して前例を作らない役人堅気が起こした当然の仕業でもある

 舛添要一氏が東京都知事を辞職した。問題とされた政治資金や都知事として行なった大名行列のような海外出張について、経営コンサルタント大前研一氏が、議員や首長のカネについて解説する。
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 米紙『ニューヨーク・タイムズ』にまで「sekoi」(セコい)と報じられた舛添要一・前東京都知事の辞職から1週間が経過し、新たな首都の顔を選ぶ都知事選挙の告示まで2週間余りとなった。私も舛添前都知事は「ケチの極み」だと呆れたが、彼を非難・糾弾していた与野党都議会議員をはじめ、他の地方自治体の首長、国会議員、地方議員の多くは内心、忸怩(じくじ)たる思いがあったのではないかと思う。
「違法ではないが一部不適切」な税金の使用や利権を持つ議員は少なくないと思われるからだ。
 まず、国会議員には給料にあたる歳費と期末手当、文書通信交通滞在費(文通費)など年に合計4000万円以上が支給されている。このうち、月々100万円の文通費は、「公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため」に支給されるが、使途の公開が義務付けられていないため、「第二の給与」とも言われる(おおさか維新の会など一部議員は自主的に公開している)。
 さらに公設秘書も公費で3人(政策担当秘書、第一公設秘書、第二公設秘書)雇うことができる(ちなみに、配偶者の起用は禁じられているが、子弟や兄弟姉妹など配偶者以外の親族は制限がない)。その給与は合計2500万~3000万円で、それ以外に住居手当や通勤手当、期末手当なども支給される。
 さらに政党交付金もあるので、国会議員1人あたりにかかっているコスト、すなわち国会議員が使っている税金は1人あたり年間1億円を優に超える。議員会館議員宿舎の運営費、議員宿舎と国会を往復する送迎車、東京と地元選挙区を往復するための「JR無料パス」「航空機クーポン券」なども税金で賄われている。
 首長にしても、前々任の石原慎太郎・元都知事は都庁に出勤するのは週の半分もなかったと言われているが、それでも年間約2500万円の給料を受け取り、海外出張も舛添前都知事と同じような“大名行列”だった。ファーストクラスや高級ホテルのスイートルームの利用は、たぶん石原元都知事時代からの慣例を引き継いだのだろう。
 ただし、国会議員や首長は意外と裏の利権は少ない。たとえば、甘利明・前経済再生担当相は大臣室で業者から現金を受け取り“口利きワイロ”疑惑(斡旋利得処罰法違反の疑い)で告発されたが(嫌疑不十分で不起訴処分)、TPP交渉を一手に引き受けていた重要閣僚でさえ、その程度の利権をリスク覚悟で漁っていたことになる。
 
 
これ「舛添前都知事の海外出張 石原元都知事時代の慣例引き継いだ」と題した週刊ポスト201678日号の記事である。
 
 
私はかねてより、役人と言う生き物の正体を「公務員とは与えられた仕事は忠実にこなし、決して前例を作らず、前例を踏襲し、責任と言う言葉に異常に反応し、その回避には天文学的才能を発揮する人種である。」と定義して来た。それが正にいつも不祥事を代弁する証しとなっている事に恐ろしさを覚えている。舛添さんだってバカじゃなかった筈であり、常に、全ての行いを都の幹部や秘書課の職員に確認し、指示してた筈である。が今回それが不正と断定されたのは、都職員への、心遣いと、それへの裏待遇だったのではと思える。特に石原元都知事は先の著書「天才」と題した田中角栄元首相のような、どちらかと言えば表向き批判しながら、裏ではコッソリと田中角栄式気配りを、都職員にしてたのではと思わせるような、心配りをしてた差が今回のセコイ舛添前都知事との差ではなかったのかと私は思えてならない。要は大きな偉い事言ってた石原元都知事の方が一枚も二枚も上手だったと言う事ではなかったか。裏を返せば、石原元都知事の方が都官僚操縦術が上手かった。と言うのが私の見解である。どっちにしても、やはり官僚・役人は侮れないし、私の一番嫌いな人種だ。わたしは役人のあの手揉みのしたり顔見る度にヘドが出る。