2016年度予算案は1日の衆院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決され、参院に送られた。憲法の規定により、予算案の年度内成立が確定。今後は改憲勢力による「3分の2」確保の目標が取りざたされる夏の参院選に向け、安倍晋三首相が衆参同日選も視野に入れ、新たな経済対策や来年4月の消費増税をめぐる判断に踏み込むかどうかが焦点となる。
予算案は一般会計の総額が96兆7218億円で、4年連続で過去最大を更新した。衆院採決では自民、公明などの賛成に対し、野党共闘を掲げる民主、共産、維新、社民、生活の5党のほか、おおさか維新、改革結集も反対した。憲法60条の「衆院の優越」規定で、参院で採決されない場合でも30日で自然成立する。
首相は1日の衆院予算委員会で、憲法改正の発議に必要な衆参各院での議席について、「3分の2の確保は与党だけでは無理。おおさか維新の会も憲法改正の考え方を一部示している」と指摘。その上で「3分の2が可能となったもの(項目)から憲法改正に取り組んでいきたい」と語り、夏の参院選では改憲勢力による「3分の2」確保を目指した上で、憲法改正に取り組む意欲を示した。
ログイン前の続きまた、首相は1日夕、記者団に「5月の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)で世界経済の情勢が最大のテーマとなる。議長国として責任を果たすためにも、『国際金融経済分析会合』を開催する」と述べ、サミットに向けて世界経済を分析する有識者会議の立ち上げを表明した。
会議には首相のほか、菅義偉官房長官、麻生太郎財務相、日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁らが参加し、新興国経済や原油安などテーマごとに内外の専門家から意見を聞く。5月のサミットで世界経済の立て直しを主要議題として打ち出す狙いがあるが、首相に近い与党議員は「消費増税の先送りはあり得る」と指摘する。会議の設置は、世界経済の先行き不安を理由に来年4月の消費増税先送りを判断する布石だ、との見立てだ。
夏の参院選や衆参同日選の可能性をにらみ、自民党内では予算成立前から新年度の追加の経済対策を求める声が出ている。今後は3月末の新年度予算の成立のほか、4月24日に投開票される衆院北海道5区、京都3区の補欠選挙の結果などをにらみながら、首相がどのような判断を下すのかが注目される。(山岸一生)
■今後の主な政治日程
3月30日まで 2016年度予算成立
31日~4月1日 安倍晋三首相が米国での核保安サミットに出席
4月24日 衆院北海道5区、京都3区補選投開票
大型連休中 首相が欧州、ロシアを歴訪
5月26、27日 伊勢志摩サミット
6月1日 通常国会会期末
7月中 参院選投開票
山岸一生
これ「新年度予算案、年度内に成立へ 首相、衆参同日選も視野」と題した朝日デジタル
3月1日21時04分の報道記事である。