夏の参院選に合わせ衆院を解散する「衆参同日選」について、政府・与党で慎重論が広がっている。熊本地震の被害が拡大するなか、大半の国会議員がいなくなる同日選は被災地の反発や国民の批判を浴びかねないとの判断からだ。環太平洋経済連携協定(TPP)関連法案の成立断念で、国会もすっかり店じまいモードになっている。
菅義偉官房長官は20日の記者会見で「解散は首相の専権事項。首相が解散の『か』の字もないということは、解散しないということだ」と述べた。熊本地震が起きる前の今月13日に出演した自民党ネット番組では「総理大臣がやると言えばやるということ」と話していたが、この日は否定のトーンが上がった。
憲法改正を悲願とする安倍晋三首相は、今夏の参院選で、改正の発議に必要な3分の2以上の議席確保をめざしている。熊本地震が起きる前は、自民党の組織がフル回転し、参院での議席積み増しにつながるとの計算から、党内にも同日選を求める声や選挙準備を始める動きが出ていた。
ところが、開票事務を行う市役所が被災したほか、住民の被害も拡大。政府は当面、災害対策に集中しなければならない状況になった。仮に選挙戦術上有利とみて同日選に踏み切っても、解散そのものが批判を浴びかねない。中堅議員は「解散なんてしたら国民の大ひんしゅくだ」。同日選を望んでいた議員も「ダブルはもうなくなった」と語った。
このため、当初は首相が同日選に踏み切るかどうかの判断材料になると見られた与野党対決型の衆院北海道5区補選の意味合いも変わりつつある。24日の投開票が迫っているが、党関係者は「地震が現在進行形で動いていて、災害の全容が見えない。首相が同日選の最終的な判断をするのは、地震が落ち着き、世論の動向が見えてきてからだろう」と指摘する。
これ「衆参同日選、広がる慎重論 与党、熊本地震被災地に配慮」と題した朝日新聞デジタル4月21日(木)8時43分の配信記事である。
おおさか維新の会の片山虎之助共同代表は19日の両院議員懇談会で、熊本地震について「大変タイミングのいい地震」と述べた。片山氏はその後、「言葉の使い方が不適切だったと反省している」と発言を撤回した。 出席者によると、片山氏は環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐる国会審議や24日投開票の衆院北海道5区などの補選、衆参同日選や消費増税の判断などを取り上げ、「(地震が)政局の動向に影響を加えることは確か」と指摘。その上で、「全部絡んでくるような大変タイミングのいい地震」と続けた。
片山氏は19日、朝日新聞の取材に「節目になる判断をすべきタイミングだったという意味で使ってしまった」と釈明した。