自民党権力の現在 それへの献金の大小が企業の趨勢を左右する 東芝が良い例だ

東芝原発を拡散することで生き長らえる。
 
「今日から日本とインドの新時代が始まる」
 
日本の新幹線をインドへ売り込むことに成功した安倍首相は、記者会見の席上で大いに成果を誇った。成功の切り札となったのは法外とも言える円借款である。総事業費18000億円のうち、81%を円借款で支援するというのだ。
 
この桁外れな円借款は、先般のインドネシアの新幹線売り込みの挫折が大きな原因となっている。ここでも新幹線を売り込もうとした日本が、更なる破格の条件を提示した中国に競り負けたという苦い経験があるからだ。
 
さらに、今回のインドへの売り込みについては、本来の円借款の趣旨を逸脱している。
 
日本の経済協力に長年携わってきた、元レバノン全権大使・天木直人氏によれば、低金利・長期で貸し付ける円借款は政府開発援助(ODA)の一環であり、発展途上国の経済成長を支援し、生活向上を目指すことを主たる目的としている。
 
ところが、安倍首相が推進する今回の新幹線売り込みに見られるように、ODAが日本の産業への利益誘導と、日本の輸出を促進することに目的が転化されてしまっている。これは端的に言えば、ODA(つまり我々の血税)をアベノミクスに利用するための、安倍首相による「富国強兵」政策なのである。
 
ここで再び「東芝」の登場である。20141129日の毎日新聞に「国民政治協会への企業献金トップ10」なる記事が掲載されている。その内容は次なるものである(倍率は前年比)。
 
1. トヨタ自動車 6440万円 1.25
2. キャノン 4000万円 1.6
3. 住友化学 3600万円 1.4
4. 新日鉄住金 3500万円 1.1
5. 三菱重工業 3000万円 3.0
6. 日産自動車 2900万円 1.4
7. 東芝 2850万円 2.0
7. 日立製作所 2850万円 2.0
9. 野村ホールディングス 2800万円 5.6
10. ホンダ 2500万円 1.4
10. 大和証券グループ本社 2500万円 3.6
 
トヨタ自動車6440万で1位にランキングされているが、これはあくまで表帳簿の話であって、実際の献金は×10ないし×100、あるいはそれ以上と見るのが常識だ。ただ、ここで言いたいのは金額の多寡ではなく、日本の中核を為す企業群が前年と比べて軒並み政治献金を増額しているという事実である。このことは政権政党である自民党にもより多くの献金が為されていることを意味している。
そして、今回取り上げた東芝も、日本のトップ10にランクインしているということは、法外な金が自民党に還流していることを想像させるに十分であるということだ。皆が東芝は安泰だろうと踏んでいるのもこの辺に理由がある。政治献金の額と政府による保護の度合いは正比例するからだ。
さらにインドの新幹線売り込みに際して忘れてならないのは、原発の存在である。安倍首相はニューデリーでインドのモディ首相と会談し、日本の原発輸出を可能にする原子力協定について「原則合意」したというのだ。
原発核兵器がセットであることは国際的にも常識である。しかも、核不拡散条約(NPT)に加盟していない核保有国であるインドに、原発を売り込むなどというのは論外も甚だしい。インドは隣国の、これも核保有国であるパキスタンと核開発ではライバル関係にあり、かつては相国で核実験が繰り返され世界を震撼させた経緯がある。
さらに驚くべきは、原発東芝の存続がセットになっていることだ。
東芝上場廃止になることもないし、ましてや潰れることなどあり得ないと誰もがそう思っている。それは、政府与党と利害で結びつき守られているからだ。その具体例の1つが、東芝で言えば「原発」なのである。
11月末の発表によると、東芝による原発販売の先行きは十分に儲けが見込まれるというのだ。ただし、これには前提がある。それは、今後15年の間に東芝系列の原発企業が64基もの原発の受注を獲得すればの話である。
これを、世界へ64基もの原発を売らなければ東芝の存続は危ういと見てはならない。このことが意味することは、東芝は安倍政権の走狗となって世界に64基もの原発を売りまくる予定であるということだ。
原発事故が収束していない日本の企業である東芝は、世界に原発を拡散することで生き長らえ、そして、その不条理な現実こそがアベノミクスの正体なのである。東芝の粉飾決済事件は、政治問題であるとする所以もここにある。
 
 

これ『東芝小沢一郎~「日本の基幹企業」が潰れない政治的カラクリ=不破利晴』と題したMONEYVOICE(マネーボイス)1222日の記事である。 

 
 東芝と言う大企業を潰さないと言う政権党自民党。これは国民向けの言葉であり、真実は「景気回復」と言う錦の御旗の下に、「アベノミクス」と言う政策に絡めた、あからさまな企業献金の復活増額である。