「今日から日本とインドの新時代が始まる」
日本の新幹線をインドへ売り込むことに成功した安倍首相は、記者会見の席上で大いに成果を誇った。成功の切り札となったのは法外とも言える円借款である。総事業費1兆8000億円のうち、81%を円借款で支援するというのだ。
さらに、今回のインドへの売り込みについては、本来の円借款の趣旨を逸脱している。
日本の経済協力に長年携わってきた、元レバノン全権大使・天木直人氏によれば、低金利・長期で貸し付ける円借款は政府開発援助(ODA)の一環であり、発展途上国の経済成長を支援し、生活向上を目指すことを主たる目的としている。
ところが、安倍首相が推進する今回の新幹線売り込みに見られるように、ODAが日本の産業への利益誘導と、日本の輸出を促進することに目的が転化されてしまっている。これは端的に言えば、ODA(つまり我々の血税)をアベノミクスに利用するための、安倍首相による「富国強兵」政策なのである。
2. キャノン 4000万円 1.6倍
10. ホンダ 2500万円 1.4倍
トヨタ自動車が6440万で1位にランキングされているが、これはあくまで表帳簿の話であって、実際の献金は×10ないし×100、あるいはそれ以上と見るのが常識だ。ただ、ここで言いたいのは金額の多寡ではなく、日本の中核を為す企業群が前年と比べて軒並み政治献金を増額しているという事実である。このことは政権政党である自民党にもより多くの献金が為されていることを意味している。
そして、今回取り上げた東芝も、日本のトップ10にランクインしているということは、法外な金が自民党に還流していることを想像させるに十分であるということだ。皆が東芝は安泰だろうと踏んでいるのもこの辺に理由がある。政治献金の額と政府による保護の度合いは正比例するからだ。
原発と核兵器がセットであることは国際的にも常識である。しかも、核不拡散条約(NPT)に加盟していない核保有国であるインドに、原発を売り込むなどというのは論外も甚だしい。インドは隣国の、これも核保有国であるパキスタンと核開発ではライバル関係にあり、かつては相国で核実験が繰り返され世界を震撼させた経緯がある。
11月末の発表によると、東芝による原発販売の先行きは十分に儲けが見込まれるというのだ。ただし、これには前提がある。それは、今後15年の間に東芝系列の原発企業が64基もの原発の受注を獲得すればの話である。
原発事故が収束していない日本の企業である東芝は、世界に原発を拡散することで生き長らえ、そして、その不条理な現実こそがアベノミクスの正体なのである。東芝の粉飾決済事件は、政治問題であるとする所以もここにある。
これ『東芝と小沢一郎~「日本の基幹企業」が潰れない政治的カラクリ=不破利晴』と題したMONEYVOICE(マネーボイス)12月22日の記事である。