滋賀県知事選の勝利を胸に野党の協調を願う

 13日の滋賀県知事選で、与党が手痛い敗北を喫した。集団的自衛権行使を容
認する閣議決定が拙速との批判を浴びたことに加え、「巨大与党のおごり」と
指摘されたセクハラやじ問題が直撃。い11  月の沖縄県知事選などにも影響を与え
かねず、安倍晋三首相は政権運営に不安を抱えた。民主党側は与党ヘー矢報い
たことに意を強くするが、「政党隠し」の選挙戦術に終始し、党勢回復への道はなお遠い。
 「一体、何をやっているんだ」。厳しい選挙情勢を伝え聞いた安倍晋三首相は1日、周囲にいら立ちを隠さなかった。6月26日の告示前の自民党調査では与党系候補が優勢だったため、首相の焦りは増した。
  「負ければ集団的自衛権のせいにされる。それは嫌だ」と周囲に語っていた自民党石破茂幹事長は7月9、‥1111  両日に現地入りし、企業・団体回りで引き締めを図った。県内の市議らにも「相手の背中を見て戦っている。後押しをよろしく」と個別に電話をかけたが、不安は的中した。
 石破氏は13日夜、集団的自衛権などを念頭に「国政のことで知事選に影響があったとすれば、党本部が責任を負うべきだ」と記者団に述べた。
 官邸サイドは7月上旬、公明党側に一層の選挙協力を要請。公明党は終盤、支持者らへのてこ入れを強めたが、実らなかった。首相周辺からは「スイッチが入るのが遅かった。真剣さが足りなかった」と政権の「慢心」を認める声も上がった。
 自民党沖縄県知事選に向け、滋賀と10月の福島県知事選を「ホップ、ステップ」(幹部)と位置付け重視していたが、初戦のつまずきで暗雲も漂う。公明党幹部は「集団的自衛権に関し首相の考えが浸透していない。敗戦は政権運営に影響するだろう」と懸念した。
 民主党は選挙戦中、「国会論議がないまま閣議決定した。あまりにも傲慢」 (松原仁国対委員長)と主張。支援候補の当選が決まった13日夜、高木義明代表代行は取材に「安倍政権の暴走に県民が歯止めをかけた。野党が攻勢を強めるきっかけになる」と意気込んだ。
 だが、胸を張れる選挙戦ではなかった。国会議員らが応援に入っても「黒子に徹した」 (幹部)のが実態だ。支持率が回復しない党を表に出したくない候補陣営と、交代論もある海江田万里代表の進退に選挙結果を直結させたくない執行部の思惑が一致した形だった。
 それでも終盤、接戦に持ち込んだことを聞いた党執行部の一人は「応援に行く」と現地に打診。しかし「わざわざ来てもらわなくてもいい」と断られたという。
 民主党は昨年夏の参院選惨敗後もことし2月の東京都知事選、4月の衆院鹿児島2区補欠選挙で連敗。参院選から1年の成果を「総括」する7月31日の両院議員懇談会は海江田氏の正念場となる。
 
 滋賀県知事選を制した三日月大造氏(43)は、嘉田由紀子知事の政策を継承し、選挙戦を通じて「卒原発」を訴えた。隣接する福井県若狭湾には、関西電力の高浜原発大飯原発が立地。選挙結果を受け、滋賀でも反原発の声が高まる可能性があり、関電が描く原発再稼働のシナリオにも影響を与えそうだ。
  「われわれの取り組みを歓迎してくれるはずがない」。選挙戦終盤に三日月氏の優勢が相次いで伝わり、関電幹部は肩を落とした。当選確実が報じられると、関電は「三日月氏の政治活動の実績などが総合的に評価された結果と受けとめている。滋賀県の発展に、できる限り協力したい」とするコメントを出した。
 関電は表向き「特定の候補を応援することはない」としてきたが、再稼働に比較的前向きとされる元経済産業省官僚の小鑓隆史氏の当選に期待を寄せていた。
 全国的に原発の周辺自治体が、再稼働に際しては立地自治体と同様に扱うよう求める動きが目立つ。滋賀県でも、関電の原発から30♂圏内に一部含まれる高島市長浜市は、県とともに住民への十分な説明や安全協定の締結を関電に要望してきた。三日月氏の勝利はこうした動きを後押しするものといえる。
 関電の別の幹部は「粘り強く真摯に原発の安全性について説明を尽くしていく」と話すノー方で「再稼働が知事選の争点になったという認識はない」と強調、反原発のうねりが広がった結果という見方を強く否定した。
 滋賀県知事選で自民、公明両党が推薦した小鑓隆史氏が、元民主党衆院議員三日月大造氏に敗れた。集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈変更の閣議決定後、内閣支痔率が下落し、逆風となった。来年春の統一地方選などをにらみ、安倍政権は民意の離反に危機感を強めている。
 国政選挙は当面予定されておらず、大型地方選である知事選が「直近の民意一を間う側面を持っている。丁寧な議論を求める声を振り切って集団的自衛権問題を決着させた安倍晋E首相の手法に批判が集中したことや、自民党議員によるセクハラやじ問題は選挙戦に影を落とした。
 自民党は当初、選挙情勢を楽観視。接戦が伝えられた終盤になって石破茂幹事長ら幹部を国政選挙並みに投入し、てこ入れを図った。しかし、無党派層を中心とする政権批判票は予想を上回り、候補者の知名度不足も響いた。推薦候補が敗北した昨年の川崎、福島両市長選などに続く地方選の取りこぼしとなった。
 政権は秋にも、知事選で争点の一つとなった原発再稼働問題に向き合う。重要政策の運びを誤れば国民の反発を招くことは、昨年成立を強行した特定秘密保護法で「実証」済みだ。今回の敗北を踏まえ、首相は細心の政権運営を余儀なくされる。
 
 13日の滋賀県知事選で自民、公明両党の推薦候補が元民主党衆院議員に敗れたことについて、与党は集団的自衛権の行使容認やセクハラやじ問題など「複合的な要因」酋
民党幹部)と分析し、国政への影響を最小限に食い止めたい意向だ。民主党は「潮目が変わった」 (幹部)として、安倍晋三首相との対決姿勢を鮮明にする。
 自民党幹部は「知名度で劣っている上に、集団的自衛権で強引な印象を与え、やじ問題で幻滅させた」と敗因を説明した。
 公明党の斉藤鉄夫選対委員長は「県の経済に活力を取り戻す政策力を訴えたが、十分な理解をいただけなかった」との談話を発表。別の幹部は 「集団的自衛権の結論を急ぎすぎたのかもしれない」と指摘した。
 地元組織が与党推薦候補を支援した日本維新の会は、松野頼久国会議員団幹事長が取材に「東京都議会や国会でのセクハラやじ問題が影響したのではないか」と述べた。
 一方、元民主党衆院議員を支援した社民党吉田忠智党首は取材に「首相は謙虚に受け止めなければならない」と主張した。
 独自の推薦候補を擁立した共産党は「安倍政権の暴走にストップをかけ、県民の声で動く県政をつくるため、引き続き全力を尽くす」とのコメントを出した。

この記事はそれぞれ『滋賀県知事選 与党派敗北 政権の「慢心指摘」』と題したあるローカル紙の記事である。

 これは滋賀県民の良識の勝利であり、世論の勝利でもある。
 現在の1.5(公明)強7弱体制の政治、何をやっても許されると勘違いしてる自公政権への鉄槌である。国政選挙が当分無い中での世論のうっぷんが如実にでた結果でもある。確かに民主主義は多数決の論理ではあるが。それが行き過ぎればこう言う結果になると言う証でもある。
 それにつけてもだらしないのが民主である。自公と対戦する絶好の機会だったのに、主導権も握れなかった。確かに維新が向こう側についた劣勢は否めなかったが、何か自信を無くしてしまったように見受ける。いつもそうだが地方選の場合は、どうもその元凶は維新と共産党にある。維新は野党ながら考え方はどちらかと言えば自民に近い、共産は自己主義に凝り固まっている。政治を変えようとする場合、自分本位だけでなく、やはり他野党との協調を考えるべきである。もし今回、当選した三日月大造氏と協定してれば、国政の1.5(公明)強7弱体制にヒビを入れられるくらいの大差でモノに出来た筈であり、自公に与えるショックは計り知れなかった筈でもあるのだ。非常に残念である。
 いづれにしても自公への脅しは効いた。後はいかに土俵際まで追い詰めるかにかかっている。そのためにもこれからの野党が自我を捨て、国の繁栄のために、国の進路は自分たちが負うんだと言う強い心で協調する事を願うのみである。