安倍首相よこの際官房機密費、予備費、政党助成金を使ってよいから拉致された方々

 北朝鮮は過去にも拉致被害者の安否に関する「再調査結果」を日本に示した経緯があるが、拉致被害者の「死亡」などを裏付ける客観的証拠を示さず、かえって信用を失墜させる結果に終わった。2004年に「横田めぐみさんの遺骨」とされた骨が日本側の鑑定で別人のものと判明すると、国内世論の北朝鮮への反発は頂点に達した。  今も不信感は渦巻いたままだ。
 問題の発端は、当時の金正日総書記(故人)が小泉純一郎首相との首脳会談でI8人死亡」を伝えた2002年にさかのぽる。北朝鮮が死因について「交通事故」一ガス中毒一などの不自然死ばかりを挙げたため、日本側は[全く信用できない]として真相解明を要求した。
 北朝鮮が示した「死亡確認書」には改ざんされたような不審点が見つかったほか、北朝鮮関係者が一死亡」したとされる被害者の生存を証言するなど、北朝鮮の説明が「うそにまみれている」(政府筋)実態が次々と明らかになった。
 さらに「めぐみさんの遺骨」が虚偽と鑑定されたのを受けて、日本政府が抗議すると、北朝鮮は「鑑定結果は握造だ」と反論し、日朝関係は最悪の状態に陥った。
 不信感が拭えていない中、今回の新たな再調査合意が事態打開の突破口になる保証はない。北朝鮮側か「8人死亡、4人未入国との従来の立場に沿う「証拠」を出してきても、日本側が容易には受け入れられないのは明らかだ。だが一切信用しない姿勢で臨めば、再調査自体を否定することになるとのジレンマも抱えており、政府は局面ごとに難しい判断を迫られる。
 日朝両政府が29日発表した合意内容には、終戦前後に北朝鮮地域で死亡した日本人遺骨の調査も含まれており、遺族や関係者は慰霊のための訪朝や日本政府による遺骨収集の進展に期待を寄せる。
 終戦後に弟=当時(4)=が北朝鮮北西部の亀城(クメン)市で病死し、埋葬して日本に引き揚げた東京都多摩市の林田稔子さん(77)は「衰弱し骸骨のように痩せ細った弟の姿を今でも思い出す。今回の合意を機に政府が遺骨を持ち帰ってくれると信じている」と語った。
 埋葬場所の詳しい記録はなく、弟の骨の特定は難しいと考えているが「70年近くたち、ほとんど諦めていた問題が動いている。多くの遺族も(遺骨が戻り)気持ちが整理できることを望んでいるのでは」と話した。
 2012年秋に慰霊の訪朝を実現させた川崎市の佐藤知也さん(82)は「北朝鮮側の『特別調査委員会』設置や日本側の人道支援(検討)など両者が大きく譲歩した内容で、一歩前進として喜びたい」と歓迎した。
 佐藤さんは、父親が引き揚げ時に持ち帰った平壌郊外の 「竜山(リョンサン)墓地」の埋葬者名簿を基に遺族を探し出した。遺族ら数人と共に2度目の訪朝を自指しており「遺族の思いを考えると、目の前が明るくなった」と語った。北朝鮮は日本人遺骨について人道問題」と位置付け、12年以降約10回にわたり遺族らの訪朝を受け入れた。埋葬場所が都市開発の計画区域にかかっているなどとして、早急に遺骨収集を実施してほしいと日本側に対応を求めている。

 北朝鮮による日本人拉致問題に鑑み、北朝鮮金正日総書記(2011年12月死去)が、07年7月に「日本との関係改善を図れ」との指示を出したと、北朝鮮政府の対日外交を担当する高官が12年に当時の民主党政権の有力者に伝えていたことが30日分かった。外交消息筋が明らかにした。
 同高官は、8年8月に北朝鮮福田康夫政権(当時)と日本人拉致問題の再調査実施で合意したのも金総書記の指示に基づく措置だったと説明。民主党政権に対しても関係改善への意思を表明していたという。
 北朝鮮は、02年9月の第1回目朝首脳会談で金総書記が拉致を認め謝罪したことを受け「拉致は解決済み」との主張を公式には続けてきたが、表面上の主張とは別に水面下で関係改善を模索してきたことになる。
 金総書記は対日関係改善を指示した後、これを変更する命令を出さないまま死去。このため北朝鮮高官は、この指示が“遺訓”として金正恩第1書記の体制に引き継がれていると説明したという。
 日朝は28日までのスウェーデンストックホルムでの協議で、日本人拉致問題に関する再調査で合意。同消息筋は、北朝鮮側の柔軟姿勢は金総書記の遺訓を引き継ぐ姿勢の表れだと分析し、北朝鮮が日本との関係改善に向け、再調査で「成果」を得るために努力する可能性があると指摘した。
 07年7月は北朝鮮国営メディアによる金総書記の動静報道が約3週間途絶えた時期だつた。その後の08年8月、金総書記は福田政権との合意と前後して健康状態が悪化。回復後に正恩氏の後継体制づくりを本格化させたとみられる。
 福田政権との再調査に関する合意は、直後の同年9月の福田首相退陣などを理由に履行されなかった。
 消息筋によると、金総書記死後の12年に民主党政権有力者と接触した北朝鮮高官は、対日関係改善の意思を強調するため、自身は金総書記から直接の指示を聞いたと表明したという。
 しかし民主党政権は同年12月の総選挙で大敗して下野。北朝鮮側はその後、自民党の安倍音三政権に同様のアプローチをしたとみられる。

これ『「04年のめぐみさん遺骨」別人 再調査不信感拭えず』と題した共同通信31日の報道記事である。

 安倍晋三首相が、自ら公約とする日本人拉致問題の解決へ政権の命運を懸けた正面突破に出た。被害者再調査に関する北朝鮮との合意に多くの懸念を残しながらも決断した背景には、北朝鮮が水面下で提供した複数の日本人の「生存」情報があった。被害家族の高齢化が進む中、「最後のチャンス」(関係筋)との思いも首相の背中を押した。合意文書はことし1月からの秘密交渉で練り上げられた。決断までの舞台裏に迫った。
  日本政府認定の拉致被害者を含む複数の日本人が平壌の一角で暮らしている」。北朝鮮関係者から2013年春ごろ、日本政府にこうした情報がもたらされた。
 この数年間、日本は官邸の拉致問題対策本部や外務省、警察組織を中心に情報収集や分析の能力を強化し、「必死な思い」 (政府関係者)で日本人の生存情報を追っていた。人手した平壌市内の電話番号に片っ端から連絡を入れる「電話作戦」 (同)も展開した。
 電話に日本語なまり
 ある女性拉致被害者が移動させられたとの情報がある事業所に電話をかけると、日本語なまりの女性が応対に出た。【日本人ですか】と話し掛けると無言が続き、しぱらくして電話が切れた。
 北朝鮮で複数の日本人が生存しているのは間違いない ―.こうした分析は安倍首相に直接報告され「一人でも取り戻したい一と思い詰める首相の心を強く動かしたことは想像に難くない。
 安否情報の分析と同時並行で行われていたのが両国間の秘密交渉だった。北朝鮮が対話路線に転じたのは、中国との関係が深かった張成沢(チャンソンテク)元国防副委員長が処刑された昨年12月ごろだ。日本外交筋は、北朝鮮が経済依存している中国との関係が悪化し「対日関係の打開で活路を見いだそうとした」と指摘する。
 野田前政権下の12年に拉致再調査に向けて行われたやりとりをベースに協議が続いた。金正恩第1書記に直結する秘密警察組織、国家安全保衛部の幹部を窓口に、昨年12月の中国・瀋陽での会談以降、ことし4月まで極秘に少なくとも4回会談。拉致の可能性を否定できない「特定失踪者」を含む複数の日本人の安否情報ももたらされた。
 日朝関係筋によると、日本側は拉致被害者の再調査を日本人の包括的な調査の一環として求めるなど相手側に配慮。北朝鮮側も応じる姿勢を見せ、今回の合意文書の内
容を固めていった。4月の秘密交渉では文書の骨格ができあがり、あとは 「公式協議を待つだけ」 (関係者)となった。
 協議内容「極秘扱い」
 5月26日からのストックホルムでの公式協議では最後の詰めが行われ、要点は官邸ヘー随時報告」 (日本政府筋)された。北朝鮮側の発言には日本人の安否に関するものも含まれており、首相執務室には緊張感が漂った。協議内容は首相以下、菅義偉宣房長官ら政権内の一部だけが知る「極秘扱い」 (同)とされた。菅氏らは交渉中の伊原純一外務省アジア大洋州局長に対し、結果を持ち帰るよう指示。首相が直接文書を見て最終判断する方針だった。
 文書には、本来ならさらに詰めるべき点が残っていた。北朝鮮は協議で、認定拉致被害者12人の安否を一死亡か未入国」とする主張を変える気配はなかったという。
 だが、首相は29日夕、官邸で菅氏らとの関係閣僚会議に臨み、合意に懸けると決定した。首相周辺は日本人の安否情報を踏まえ「首相の頭に高齢化した被害者家族の顔がよぎったはずだ」と強調。与党関係者は「虚偽の再調査で幕引きに利用されないかとの懸念をのみ込んで前進すると決めた」と解説する。
  「自分で記者団に発表する」。決断した首相の声が執務室に響いた。

こっちも『遺訓として対日関係改善を指示』と題した共同通信31日の報道記事である。

 2002(平成14)年の小泉劇的訪朝から一昔以上過ぎた。共に訪朝した、時の内閣官房副長官安倍晋三は今やトップのその内閣総理大臣である。公約でもあった拉致問題の解決に向かって、特別な思いであるだろうと察する。しかも今の絶頂期(ある一部の見方でしか無いが)に解決したいと思うのも理解出来、しかもこの支持をフォローする最大の懸案事項だとも思っているからこそ、今動いたのだと理解する。約束した当事者の金正日は今や居ない。その息子金正恩キム・ジョンウン)はその後を継いだにしても、途上の身でもある。その北情勢は今や奈落に向かっていると言って良い。対米国、対中国、対韓国ともよろしく無い関係に陥っている。それも金正恩の疑心暗鬼のせいでもある。北は今や日本を必要としている。金のなる木、打出の小槌日本を必要としている。それが現実であり真実でもある。今がチャンスだ。そう安倍首相が考えても不思議は無い。安倍首相の頭の中には、拉致被害者の方々との長い付き合いの中でいたずらに時を経過させた負い目も潜んでいる。以前に私は提案した事があった。もう良いではないか。官房機密費でも、予備費でも良い、そして政党助成金を数年棚上げしても良い。即訪朝し、持参金を持って行ってでも拉致された方々を連れて来て欲しい。