農業委員会の改革その前に事務局等の役人連中を理解させる方が先である

 政府は農地の売買や貸し借りの許可をする市町村の農業委員会について、農業委員を地元農家から選ぶ制度を2016年度にもやめる方向で検討する。首長に任免権を与える案などが浮上している。農業委員会に地元農家以外の声も取り入れ、農地の流動化を進め大規模化を促す。新規参入の壁となっていた農業委員会の改革で、企業や農業生産法人は広域で農業を展開しやすくなる。
 政府は農業委員会の改革案を規制改革会議などで議論したうえ、6月にまとめる農政改革の柱のひとつにする。来年の通常国会に農業委員会法改正案などを提出したい考えだ。
 農業委は市町村単位で全国に1710あり、農地の貸し借りや売買を許可する権限を持つ。現在は兼業農家や農協関係者が委員の大半を占めている。企業や農業生産法人が大規模農業を手がけるため広域で参入する際は各市町村の農業委と調整する必要がある。その調整に手間がかかり過ぎるため参入を断念する場合も多い。
 農林水産省が12年に実施したアンケート調査によると、農業委について「農地の集積について兼業農家の意見を優先し、担い手農家の声を聞かない」(農業者)との声が多かった。農地を集約して生産効率を上げないと、日本の農業の競争力は高まらない。
 こうした実態を踏まえて、政府は農業委員会の改革に踏み出す。現在は農業委員の約4分の3は地元農家が3年に1度の選挙で、農家代表を選んでいる。残る4分の1は農協や農業共済組合、土地改良区の各団体と市町村議会が推薦する選任委員だ。
 政府はまず農業委員会の委員の公選制をやめて、農家に限らず市町村長が任命する方式などに切り替えたい考えだ。市町村長の権限を強めることで責任の所在もはっきりさせる。大規模生産者が広域で参入する場合に自治体間の連携が進みやすくなるとみている。
 政府関係者は「自民党がまとめた教育委員会制度の改革案も参考にしている」という。改革案はトップの任免権を首長が持つことや、首長が教育行政のおおまかな方針を決める案などを盛り込んでいる。
 政府は農業委に農家以外のメンバーが多数入れば、農地の縮小にも歯止めがかかると期待している。農業委には都道府県知事が農地転用を許可する際に意見を述べる権限がある。現在は農地を将来、転売することを期待して耕作しないまま持ち続ける小規模農家も多いとされる。農業委はほぼ全委員が農家で占められているため「身内に甘い」との批判もある。
 政府は選任委員のあり方も見直す。農業団体や市町村議会の推薦枠をなくしたり縮小したりすることで、市町村長が外部の人材を登用しやすくする。選挙委員と選任委員の統合も検討する。

 これ「農地集約へ農業委改革 農家互選廃止、参入しやすく政府、自治体の関与検討 」と題した3月2日14:04日本経済新聞電子版 の記事である。

▽…第2次安倍政権が経済の成長戦略の柱として位置づける改革。農家の高齢化と耕作放棄地の拡大に歯止めをかけるために、大規模生産者の参入を促し、小さな農地の集約を目指す。農業の生産効率性を高めて、農林水産物の輸出額を2020年に1兆円に倍増する目標を掲げている。農地の賃貸や売買を許可する農業委員会は農業に新規参入しようとする起業家などの足かせになっていたとの指摘があり、見直す。
▽…農政改革は大きく3つに分かれる。ひとつはコメの生産量を国主導で減らして米価を維持する生産調整(減反)の見直しだ。国が都道府県ごとに割りふるコメの生産目標を18年度から廃止する。政府はコメ農家が自由に生産しやすくなるとみている。もう一つは農地の大規模化。都道府県ごとに国主導で農地中間管理機構を設けて、点在する農地をまとめて借り上げ、大規模生産者に貸し出す。農業委は機構が農地をまとめる際の実務を担うことになる。
▽…3つ目が規制改革だ。企業が農業生産法人を設置しやすくして、農業参入を促す。農業協同組合であるJAグループの組織のあり方や優遇措置の見直しも検討課題に上がっている。政府・与党は14年を「農政改革元年」と位置づけ、6月に結論を出す予定。

こちらも「農政改革、成長戦略の柱 大規模生産者参入狙う」と題した同日同時刻の 日本経済新聞電子版 の報道記事である。

 どちらの記事を読んでも農業委員会の実態を把握してなくて、机上の役人の作文でしか無いと感じた。今の農業委員会は委員が兼業農家だから阻害されてるように書かれているが、内実は全く逆である。事実は農業委員会の委員の権限で成されているように見えるが、それはまるっきり反対である。私は不動産業者としては役所側から結構目を付けられていた方(つまりは農地の転用である宅地化にあたり、法すれすれのところでやっていたから、度々申請物件で農業委員会のその会議に参考人として出席数有)だから良く解かる。会議を見るに、確かに委員会委員はそれなりの発言はするが、それは当然かも知れないが農業しか知らない無知な委員が多く、農地の転用である宅地化にあたる都市計画法や宅地造成法等にも無知なため、殆んどが、事務局側の役人の言いなりと言うのが実状である。裏を返せば表向きは委員会の決定にはなっているが、本質的には事務局である役人が主導していると言っても過言では無い。このような状況を解かってての農業委員会改革は、何の事は無い、中身を替えないで表紙だけを替えて茶を濁していると言ってよく、丁度裁判員制度そのものと同じであり良く似ている。結果的には農家で無い第三者を入れても、それはそれなりだが、事務局の役人側の意見が重みを増し、結果的に役人主導の権限が増すだけであり、改悪の方が強いと言わざるを得ない。
 私ら商売柄、農地の宅地化に当たり、婿(買主)と嫁(売主)が一緒になりたいと言っていても仲人(農業委員会)が嫁(農家)を守るために絶対反対と言うような時代錯誤になってるのが現状であり、「農業委員会の農政改革」と位置づける前に、まず現状の農業を理解して、少子高冷社会の歪で後継者が居なくて農地が維持出来無くなり、断腸の思いで離農地しか選択出来無くなった農家の実情を理解する方が急務と考える。とにかく役人は農家の悲壮感を全然理解してない。他人事なのだろう。