原子力規制委員会が、東京電力福島第１原発事故を分析した調査報告書をまとめ、早ければ月内にも国際原子力機関（ＩＡＥＡ）に提出することが８日、分かった。規制委の報告書は「津波が主因で全電源を喪失」となる見込みで、国会の事故調査報告書が指摘した地震による損傷の可能性を否定する記述になることも判明。ＩＡＥＡは規制委の報告書を受け今年中に包括的な報告書を作成する。（原子力取材班）
ＩＡＥＡは現在、５つの作業部会を設置し、事故の経緯や影響、復旧状況について調査している。専門家がたびたび来日しているほか、日本からも規制委の更（ふけ）田（た）豊志委員がＩＡＥＡの議論に加わるなどして、事故報告書の作成に当たっている。規制委の報告書は、「日本の公式見解」として活用される見込みだ。
事故分析の焦点の一つは、１号機４階にあった非常用復水器（ＩＣ）が地震か津波のいずれで破損したかだった。ＩＣは原子炉内の蒸気を冷やし水に戻す重要な装置で、震災後から機能せず炉心溶融（メルトダウン）を招いたとされる。
すでに公表されている政府や東電など３つの事故調査報告書は地震による破損に否定的な見方だったが、国会事故調は、地震直後に作業員が１号機の原子炉建屋内で出水を目撃したことから、「地震による損傷の可能性は否定できない」と判断。耐震設計の見直しにつながる重大な要因とみられた。しかし、規制委は現地調査やコンピューターによる再現解析などから、地震による損壊を否定し、出水は「５階の燃料貯蔵プールの水があふれた」との記述にする。
これとの関連で、国会事故調は施設に大きな損害を与えた津波の到達時刻は平成２３年３月１１日午後３時３７分とし、１号機の発電機は津波到達前の３時３５～３６分ごろに停止と指摘。規制委は津波の到達時刻は３時３６分で、電源設備が停止した時刻と矛盾はなく、津波が原因で全電源喪失に至ったと結論付ける。
さらに４号機では、定期検査のため炉心に燃料はなかったため、水素爆発した原因が問題となった。規制委は「３号機から発生した水素がダクトなどを通じて４号機に流れ込んだ」とみなした。建屋に蓄積した水素量は少なくとも約４００キロになると初めて試算している。
私はこの記事を見て咄嗟に思った。これは政府側を擁護したアリバイ作りだと。この記事が国際原子力機関（ＩＡＥＡ）に提出されると言う事は、これが最終報告となり、今後の日本の原発行政にかなりの影響を及ぼす事は間違いないからである。昨年より盛んに報道されている南海トラフ上の原発の是非論が根底から覆るからである。この記事によれば津波の到達時刻は平成２３年３月１１日午後３時３７分としてた国会事故調の報告に対し、規制委は津波の到達時刻は３時３６分とした。僅かその差１分だが、電源設備が停止した時刻に微妙に影響を及ぼす。私から見れば、殺人事件の凶悪犯のアリバイを崩し無罪に持っていく様に見えた。勿論悪い方にである。これが何を意味するかと言えば、今盛んに議論されている、静岡県・浜岡原発（想定津波高１０～３０ｍ）への影響の是非論に発展するからである。地震の揺れで直接被災したとするなら、当然に浜岡原発は非になり、津波だったら当然に是になってしまう。この如何によって今後の原発行政は根底から覆るからである。私はそこまで疑いたくないが、２０２０年東京オリンピックの誘致プレゼンで約束した安倍総理の演説を肯定するためにも、安全を担保するためにもそう考えたとしても、今の自民党政権はやりかねないと考えた次第である。が、しかし、これは全くの私の意見であって、確固たる証拠があっての話ではない事をお断りしておきたい。
