大阪で起きた生活保護費の使い込み 要は自腹が痛まない他人の金だからか

 「支給額は10円単位なのに『0』が四つ並び、どの筆跡も似ている……」。大阪府河内長野市で発覚した生活保護費の不正支出事件。偽造された受給者の領収書は不自然さに満ちていたが、その束をめくった上司や同僚はおらず、市幹部らはずさんなチェック体制を悔やんだ。逮捕された市職員が金を使い込まず、約2億6600万円の大半を弁済できる見通しなのが唯一の救いだ。【津久井達、遠藤浩二、近藤諭】
  生活保護費を着服したとして、大阪府警が21日に業務上横領の疑いで逮捕した市まちづくり推進室主査、宮本昌浩容疑者(43)。2011年3月まで約10年間、生活福祉課で生活保護の担当だった。
  市によると、不正に手を染めたとみられるのは09年1月。現金を扱う経理担当者が産休に入り、電算システム担当の宮本容疑者が兼務を始めた時期だ。
  市の場合、まず受給者の申請をケースワーカーが審査し、支給の可否や支給額を決める。次に電算システム担当者がその決定内容を端末に入力。最後に経理担当者が受給者に現金を振り込んだり、ケースワーカーを通じて窓口で渡す仕組みだ。
  宮本容疑者はこのうち、窓口の手渡し支給を装い、不正を繰り返したとされている。
  まず、申請自体がない架空の支給決定の内容を端末に入力したという。支給が終わった受給者や死亡した受給者の名義だった。そして、市役所1階の現金自動受払機(ATM)で市の専用口座から現金を引き出し、窓口で支払ったように装っていたとみられる。
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 「書き損じた際に備え、予備の領収書を集めておいてほしい」
  宮本容疑者は不正がばれないよう、受給者が窓口で現金を受け取ったことを示す領収書を1300件以上、偽造したとされる。受給者の印鑑が必要だが、同僚に頼み、受給者に押印させた白紙の領収書を提出させていた。
  こうして集めた領収書に、宮本容疑者は架空の支給額を記入していたという。しかし、その数字の多くは切りが良い万単位で、下4桁に0が並ぶことが多かった。実際の生活保護費の支給額は大半が10円単位で、不自然な数字が並んでいた。
  また、支給額はケースワーカーが記入することが多い。ケースワーカーは複数いるのに、筆跡はどれも似ており、宮本容疑者のものとみられるという。
  宮本容疑者は市役所内で、生活保護行政に精通したエキスパートとされていた。上司や同僚は宮本容疑者に実務を任せきりだった。市幹部は「誰かが領収書の束をめくれば不正に気付いたはず。恥ずかしい話だ」。
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  「いくら着服したのか、自分でも整理しないとよく分からない」
  宮本容疑者は11年4月に今の部署に異動するまでの約2年で、計約2億6600万円を不正に引き出したとされている。捜査関係者によると、現金の大半を残しており、遊興費などに使い込んだ形跡は確認できていない。
  府警捜査2課は、宮本容疑者の自宅からビニール袋などに小分けされた現金数千万円を押収している。残りは複数の口座に預け、株にも投資したというが、大きな損などは出ていないとみられる。
  宮本容疑者は大阪府富田林市の2DKの賃貸の集合住宅で、共働きの妻と2人の子供と暮らしていた。ずっと同じ軽乗用車を乗り続けるなど、周りには地味で堅実な家庭と映っていたようだ。
  捜査員の一人はこう言って首をかしげる。「不正で得た金をため込むのは珍しいケースだ。着服した金を弁済していると、刑事裁判では刑が減軽されることが多い。そのことを知っていて、万が一に備えたのだろうか」
大阪で多い生活保護費不祥事、これ公務員意識の欠如か
 

 これ「<生活保護費不正支出>偽造ミエミエ書類 任せきりの管理」と題した毎日新聞 10月28日(月)7時0分配信記事である。
 

 大阪府河内長野市の40代の男性職員が多額の生活保護費を不正に支出して着服した疑いがあるとして、大阪府警は20日、この職員から事情聴取し、市役所など関係先を家宅捜索した。市関係者によると、被害額は約2億6000万円に上る可能性があり、市は今月、このうち約400万円を不正支出した業務上横領の疑いでこの職員を告訴していた。
 関係者によると、男性職員は2010年5?11月、引っ越し代など生活保護費の加算分の申請書類を偽造するなどして、市の口座から約400万円を不正に引き出した疑いがあるという。男性職員は01年10月?11年3月、生活保護費の支出事務を担う生活福祉課に在籍し、ケースワーカーや支出事務を担当していた。不正支出は09年1月ごろに始まったとみられる。
 加算分の申請書類の偽造のほか、保護費の支出手続きが済んだ受給者の資料を改ざんするなどの手口で不正支出を繰り返していた疑いも浮上している。
 男性職員が別部署に異動した後の11年度、市の生活保護費が前年度から2億円以上も減った上、生活保護費の支出書類に多数の不備が見つかったことなどから、不正支出の疑いが表面化した。
 男性職員は生活保護費の申請受理・審査から支出の経理処理まで担当していたという。市は今後、審査や経理を別々の職員に担当させたり、会計課など他の部署によるチェックも強化する方針。
 

 こちらは「河内長野市職員:生活保護費着服か 2億円超の可能性も」と題した毎日新聞 10月21日 07時00分配信の記事である。
 

 どうしてこうもこのような幼稚な事件が起きるのか。それもこの手の不祥事殆どが大阪に多い。何か大阪の生活保護費の突出が解りそうである。これも自腹が痛まない税金だからなのであろうか。余りにも公務員と言う職業、緊張感が無さ過ぎる。もっとも全国で何10万と居る公務員の数である。確率的に言って不思議では無いのは承知しているが、民間の国民一般人を含めるとその頻度は多過ぎる。そしていつも不思議に思っている事がある。この手の不祥事、いつも全て全額弁済されている事である。結果論だが、だったら・・・・・・・・・・と思っちゃう。でもだから犯罪かとも思う。