参議院選各党の訴えは現実的か

 きょう21日は参院選の投票日。参院は議員の任期が6年と長く、衆院と異なり解散がない。242人の定数の半分にあたる121人ずつを3年ずらして入れ替えていく半数改選の仕組み、中小政党に有利な比例代表や複数区の比重の大きさなどもあり、勢力図の変化にも時間がかかる。有権者の1票は向こう6年間にわたって国政に影響を与えていく。
 衆院で多数派を構成する政権与党と参院の多数派とが異なる「ねじれ国会」。今回の参院選の選挙戦を通じて、安倍晋三首相(自民党総裁)は重ねて「ねじれ解消」を訴え、野党は与党の過半数獲得阻止に全力を挙げてきた。
 
■「ねじれ」生む
 このねじれの原因をつくったのは、第1次安倍内閣のもとで実施された2007年の参院選だ。選挙前に相次いだ「政治とカネ」などを巡る閣僚の辞任や自殺、年金記録漏れ問題などが響き、自民党の獲得議席は37議席と低迷。非改選をあわせても83議席と結党以来初めて参院第1党の座を失う惨敗を喫し、安倍内閣はほどなく退陣した。
 自民党は10年の参院選で、当時の菅直人首相の消費増税発言などにより、51議席獲得(非改選と合計で84議席)の勝利を収めた。だが、公明党と合わせても103議席過半数を下回り、07年の大敗の穴は埋めきれなかった。
 その結果、自民党は12年の衆院選で政権を奪還しても、13年の通常国会で引き続き「ねじれ国会」に苦しんだ。黒田東彦日銀総裁を選んだ国会同意人事などを巡って民主党など野党の意向に配慮。電力システム改革を盛った電気事業法改正案も成立しなかった。07年参院選で示された「民意」は、第1次安倍内閣から数えて7つ目となる第2次安倍内閣になっても強い影響を及ぼしている。
 「良識の府」の理想を掲げる参院の現実は、ときの内閣の命運をも握る「政局の府」といえる。代表的な野党の切り札が首相問責決議案だ。07年の参院選以降、08年に当時の福田康夫首相、09年に麻生太郎首相、12年に野田佳彦首相、13年に安倍晋三首相と4人の首相に対する問責決議が可決された。
 首相問責決議は衆院内閣不信任決議と異なり法的拘束力を持たない。それでも、今回の安倍首相を除く3内閣はいずれも数カ月以内に退陣か衆院解散を選択した。
 法案の議決でも参院の権限は強い。予算や条約は参院で否決されても憲法の規定により衆院の議決を優先するが、法案が参院で否決された場合は、衆院の3分の2以上で再可決しなければ成立しない。自公は現在、衆院で3分の2を握っているが、長期にわたって安定的に衆院で3分の2以上の勢力を確保するのは難しいとみられる。
 
■権限見直し機運
 07年以降のねじれ国会では、野党が予算の執行に不可欠な赤字国債を発行するための法案を参院で人質にとって抵抗した。与党も予算を執行できないと国民生活に悪影響を及ぼすとして、野党の要求に応じてきた。
 もっとも、政局の主戦場となってきた「強すぎる参院」の役割や権限を見直すべきだとの機運も盛り上がってきている。参院貴族院にルーツを持つ。立候補するための被選挙権が衆院の25歳以上に対して参院は30歳以上と高いのも、学識経験など「良識の府」としての役割を期待されているためと解釈できる。
 1947年の第1回参院選では元貴族院議員や学者出身の無所属議員が党議拘束のない「緑風会」を結成、最大会派となるなど政党色は薄かった。55年の保守合同以降、参院も政党化が進んだが、それでも委員長ポストを野党にも振り分けるなど与野党間には一定の協力関係があり「ねじれ」が生じるまで衆院での対決法案が参院ですんなり可決・成立する例も目立った。
 先の通常国会で開いた参院憲法審査会では「法案などに関する参院の権限を弱めるべきだ」「両院協議会の仕組みを変えるべきだ」との声が相次いだ。「良識の府」として役割を発揮しなければ「参院不要論につながりかねない」との危機感が働いている。
 21日の参院選の結果は、首相が意欲を示す憲法改正にも重要な意味を持つ。憲法改正を国民に発議するには96条により衆参のそれぞれの院で総議員の3分の2以上の賛成が必要になる。有権者の1票は参院の勢力図を変えることによって、国のあり方にも影響を与える重い1票となる。(重田俊介)
 

 これ「解散ない参院、6年間の重み きょう投開票勢力変化に時間、憲法改正にも影響 」と題した今朝の日本経済新聞の記事である。
 

  この記事から解かるように、政治の混迷(要するにねじれと言う事)は現首相の安倍晋三総理自身が数年前に作ったものである。そう言う意味に於いては、自民党自身まずそれを理解しなければならないと言う事にもなる。「政治の混迷」と言う言葉自体私自身は決して嫌いでは無い。これはマスコミ的に言う言葉であって、我々国民にとっては、決して悪い言葉では無い。何故なら半世紀もの間国民不在の、官僚・役人との二人三脚だった政治・行政を、少なくとも3年と言う短い期間でも、それを自分の手に取り戻せたと言う現実は言葉に表わしがたいほど国民は感じ取ったからだ。民主は完全に国民の代議員とはなり得なかったが、「やれば出来る」の感覚を知った事は大変なる収穫でもあった。
 この参議院選ともすればまたもや国民不在が頭をもたげた。思うに我日本この期に及んでも、グローバルな日本を優先するのだろうか。今日本は戦後の厳しい経済不況に晒されている。国民皆形を変えた「飢え」に苦しんでいる。このデフレ不況である。構造的なものとは言え、現代の半数以上の国民は戸惑っている。そう言う時に、第一順位は「憲法改正」なのであろうか。私は違うと思っている。
 今国民にとっての第一順位は不況を好況に変える事であると私は思っている。それを克服してからの「憲法改正」でも遅くは無いと思っている。そう考えているのは私だけなのであろうか。何か私には、不況を好況に変える事の出来無い輩が、声高に「憲法改正」を叫んでいるように思えてならないのである。いわゆる目先のごまかしに思えてならないのである。
 今回の参議院選、各党の訴えを簡潔にまとめれば以下になると思う。それに対する私の考えも併記した。
 
 民主党・海江田代表----------------国民の暮らしを守る----------今まで出来なかったからおかしい
 自民党・安倍総裁------------------世界で輝く日本に------------滑舌のため殆んど何を言ってるか1回聞いただけでは解からない
 公明党・山口代表-------------------バランス役を担う------------消極的選択に過ぎない
 みんなの党・渡辺代表--------------「闘う改革」進める-----------当然に野党の主張と思う
 生活の党・小沢代表----------------国民無視を変える------------当然に野党の主張と思う
 共産党志位委員長-----------------消費増税を中止に-----------当然に野党の主張と思う
 社民党・福島党首------------------9条変えさせない-------------これだけの主張だけとするなら政党の価値は無い
 みどりの党・谷岡代表-------------憲法改正許せない-------------この主張は理解する
 日本維新の会・橋下共同代表------新しい野党作る----------------この主張は当然だ