安倍晋三の投資減税を柱にした「日本再興戦略」は余りにも国民を馬鹿にしている

[東京 12日 ロイター] 政府は12日夕、産業競争力会議を開き、14日に閣議決定する成長戦略の最終案を提示した。
 前週にまとめた素案の通り、成長戦略を含む三本の矢の実施で、今後10年間の平均で名目成長率3%程度、実質成長率2%程度の成長を実現することを目指すと明記。10年後には1人当たり名目国民総所得(GNI)が150万円以上拡大することが期待されるとした。
 素案発表の後に安倍晋三首相が明言した投資減税については、「生産設備や事業の新陳代謝促す枠組みを構築し、思い切った投資減税で法人負担を軽減する」と明記した。さらに、成長の果実を国民の暮らしに反映させるため、政・労・使の三者が協議する場を設け、議論を開始するとしている。
<「日本再興戦略」と命名
 会議後に会見した甘利明経済再生担当相は、今回の成長戦略について「日本再興戦略」と命名することを明らかにした。
 今回の成長戦略は大胆な金融政策、機動的な財政政策という安倍政権の第1、第2の矢に次ぐ3本目の矢。民間の力を引き出して日本再生につなげるため、「日本産業再興」、「戦略市場創造」、「国際展開戦略」の3つのアクションプランを打ち出した。
 「日本産業再興プラン」では今後5年間を緊急構造改革期間と位置づけ、民間投資拡大や過剰規制改革をめざし、「産業競争力強化法」を秋の臨時国会に提出する方針。今後3年間を「集中投資促進期間」とし、税制・予算などあらゆる施策を総動員。3年間でリーマン・ショック前の年間70兆円の設備投資に回復させる。個人保証制度見直しなどで投資を促進、開業率が廃業率を上回る状態とし、米国・英国レベルの開・廃業率10%台(現状約5%)を目指すとした。また、公的資金について、運用、リスク管理体制などのガバナンス、株式への長期投資におけるリターン向上のための方策などについて有識者会議で検討し、秋までに結論を得るとした。
 「戦略市場創造プラン」では、健康長寿産業を創るとし、健康予防・生活支援関連産業の市場規模を2020年に10兆円(現状4兆円)に拡大するほか、医療品、医薬機器、再生医療の医療関連産業の市場規模を2020年に16兆円(現状12兆円)に拡大する。日本版NIH(国立衛生研究所)を創設し、インターネットによる一般医薬品の販売も原則解禁することを盛り込んだ。エネルギー産業では、2020年に約26兆円(現状8兆円)の内外のエネルギー関連市場を獲得する。農林水産業に関しては、2020年に6次産業の市場規模を10兆円(現状1兆円)とし、農林水産物・食品の輸出額を1兆円にする。また今後10年で農業・農村全体の所得を倍増させるとした。
 「国際展開戦略」では、 経済連携を推進。2018年までに貿易のFTA(自由貿易協定)比率70%(現状19%)を目指すとし、2020年までに中堅・中小企業の輸出額の2010年比2倍を目指す。 さらに2020年に30兆円(現状10兆円)のインフラシステム受注を実現するとしたほか、海外の医療技術・サービス市場の1.5兆円を獲得する。
 今回の成長戦略は、成長戦略によって何を目指すのかを明示し、必要なステップ(法改正や予算・税制措置など)をいつまでに終わらせるかを工程表という形で可能な限り明らかにした点で、従来の成長戦略と違うと指摘。早期に実現するものについては8月末までに詳細を明らかにし、準備が整い次第、実行に移す。さらに「国家戦略特区」を創設し、大胆な規制改革の突破口とする。また、大きな政策群ごとに達成すべき「成果目標」(KPI)を示し、成果目標レビューを行う。
<投資減税を強調、秋は「成長戦略実行国会」に>
 ただ、成長戦略の素案を発表した5日には安倍首相の講演後に日経平均が急落。成長戦略が期待ほどではなかったとの受け止めから、前日比で500円を超える下げとなった。民間議員の中からも「労働流動化や混合診療などで十分な成果が出ていない」、「農業、医療、労働などの岩盤規制に十分対応できなかった」との指摘も出ていた。こうした動きを受けて、安倍首相は秋の臨時国会で投資減税を実現すると明言。秋の国会を成長戦略の第2弾を実現する「成長戦略実行国会」にする考えを示していた。
 安倍首相はこの日の会議で「通常は年末にまとめている税制改正議論を秋に前倒す。秋の臨時国会を成長戦略実行国会と位置付け、産業競争力強化法など成長戦略を実行に移すための関連法案の制定を目指す」と述べた。また「(安倍政権の)第1の矢、第2の矢で消費が動き始めているなか、次は投資を引き出していきたい。企業経営者が決断できる環境を整え、設備投資や事業再編などを促すための税制・法制措置に速やかに取り組む」考えも示した。
 会議終了後会見した甘利明経済再生相は「残された課題を常に進化させていく」と述べ、切れ目ない成長戦略で景気てこ入れを図る決意を強調。当面は「戦略に盛り込んだ施策を実行に移すことが肝になる」として実施・検証体制を整えることをあげた。さらに、秋以降、今回、提案されながら本格的に着手できなかった「金融・資本市場の活性化」について検討を行う方針を示した。証券市場活性化や資産運用マーケットの強化が課題となる。(石田仁志、基太村真司、吉川裕子;編集 田中志保)
 

 
 これ『思い切った投資減税を明記、成長戦略は「日本再興戦略」』と題したロイターの報道である。
 

 
 ここまで来ても未だ企業を信じているのだろう、安倍首相は。円を下げ、株価を上げ、金融緩和を施し、物価を上げてまで、ひたすら給料の上がるのを待ったのである。が、日本経済はその期待に応えてくれなかった。逆にとんでもなく、長期金利が上昇してしまった。それでも尚安倍首相は企業を信用し、追い銭の如く今度は投資減税でダメを押すみたいであるが、一方企業は含み笑いを抑えて、ひたすら従順の意を表わしている。何故なら、デフレ不況の解消には、企業の投資を促進させ、雇用を拡大するのがベストと再三再四政府に要請して来たからである。しかし、企業は、シャープを見るまでも無く、大企業は、見通しを誤れば、一瞬の内に一夜にして崩壊するその現実を見て、そのリスク回避のため尚一層の自己防衛には、内部の留保を出来る時に出来るだけ積み増すと言うのが既に合言葉になっているのである。ならばいくら一国の総理の頼みでも、企業あっての自己であり、企業あっての企業なのである。少なくても従業員へのベースアップには向かないのである。それを見抜けなかった安倍首相は、ある意味愚かであり、国民を愚弄した事にもなるのである。彼はとんでもない間違いを犯してしまった。つまりマーケットに政治を介入してしまった事にある。(自然の原理に強制ベクトルを掛けてしまった事)