建設不況大手ゼネコンだけが焼け太り?

除染、大手ゼネコンが本格参入 地元業者は危機感
 
 福島県での放射性物質の除染事業に、大手ゼネコンが本格的に乗り出している。国が発注する大がかりなものに加え、規模の小さい自治体の事業も受注している。「将来性」を見込んでいるためだ。地元業者は「仕事を奪われる」と危機感を募らせる。
 27日、雪が降り積もる福島市郊外の民家の庭や小学校のグラウンドで、ヘルメットにマスク姿の作業員が土をスコップで削りとっていた。それを袋に詰め、トラックで運び出す。
 福島県による除染モデル事業だ。県内業者を含む18社が案を出したが、昨年11月に受注したのは大手ゼネコンの大成建設。県除染対策課は「低コストで技術力もある」と評価した。
 除染を発注するのは、放射線量の高い一部地域では国で、残りの地域は市町村だ。県はモデル事業で有効な手法や採算性を研究し、結果を市町村に伝える。
 国のモデル事業を受注しているのは、いずれも大手ゼネコン中心の企業連合。今のところ手作業が中心で、大手の技術力を生かせるケースは少ない。地元では「大手は規模の小さな自治体発注の除染事業まで手を出さない」(建設業者)とみられていた。
 だが、県のモデル事業も大成が受注し、福島市による今月中旬の3地区の事業の一般競争入札でも、大手・準大手が受注した。
 大手幹部は「もうけは少ないが、早めに実績を作り、今後の受注競争で優位に立ちたい」。県内59市町村のうち40市町村が除染を検討中で、これから発注が本格化する。大手は、経験を積めばコストを下げられ、収益を生む事業に改善できるとみているのだ。
 「土壌改良や汚染水浄化などの関連事業が除染から生まれる」(準大手関係者)との期待もある。除染に強いイメージを築いておけば、こうした事業の受注でも有利になるとみる。
 これに対し、福島市の業者は26日、「除染支援事業組合」を立ち上げた。建設業者や塗装業者、造園業者などが入る。
 自治体が大手を重視するのは「民家から山林まで幅広く対応できるから」(福島市の担当者)だ。そこで組合を作って受注し、加入業者に得意な地域を割り振ることで、ゼネコンの総合力に対抗する。県内では、伊達市南相馬市川内村でも同様の組合ができている。(内藤尚志)

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 私は昨年2月10日このブログで「大震災で息を吹き返した土木大手ゼネコン」と題し、指摘した通りとなった記事である。

 全国どこの建設企業も、バブル以後の小泉政権にての「小泉構造改革」における公共事業削減により、倒産企業数知れず、ご多分に漏れずそのあおりは強固な大手ゼネコンまで及び、もう2~3年もこう言う状態が続けば、その大手ゼネコンまでが倒産の憂き目を見るは確実だった。がしかし、2011年(平成23年)の東日本大震災の復興予算にて、大手ゼネコンはかろうじて生き延びたのである。
 彼らの資本力により被災地元建設業者は、日本が核を米国の傘で生き延びたように、その業者も共に生き延びようとしたが、ゼネコンの資本と経済力に知らずのうちに蝕まれていたのに未だ気付いていないのである。
 私の所でも受注工事が薄く、出稼ぎよろしく被災地に張り付き頑張ってる業者が殆どである。一般の方々は「仕事があって良いですね」と本心から言ってくれてるみたいだが、内容は180゜違うのである。これを理解してもらうのには、それなりに建設工事の元請負と下請負のシステムを理解してもらわないといけないのかも知れない。
 一般の皆さんは物の値段はどうなって決まるのかお解りだろうか。お店に行けば物に値段票がついているのが普通である。その物の値段はいくらで仕入れたからお店の経費をそれに加えて値段が決まるのであるが、つまり売値は仕入れ値にお店の一定の経費を加えて売るから、絶対売値は仕入れ値より低くはならない筈である。何故なら損して売るバカいないからである。しかし、建設工事はどう言う訳か売値が先に決まり、仕入れ値は後にくっついてくるのである。しかも天候に左右されやすい外の仕事である。一歩間違えば、極端だが売値の倍くらいの仕入れ値になる可能性も否定出来ないのである。それだけ外の仕事である建設工事は怖いのである。それではその仕入れ値をどうして決めるのかと言う事になるが、これが曲者である。要領と腕の良い建設業者は工事の種類毎に長年の実績データがありそれに基づいて仕入れ値を決め、売値を決めるのである。被災地でのゼネコンは当然に、作業員を抱えていないから、いきおい地元の建設業者を頼る事となる。この形が元請け下請けの関係になる。じゃあどうすればその建設代金が決まるのかと言えば、例えばゼネコンが被災地の自治体から1億円の工事を請け負ったとすると、ゼネコンは本社の営業経費と称し、2千万は何もしないうちに取られてしまう。そうすれば下請け業者は1億円の工事を実質8千万で請け負わなければいけないが、もっとゼネコンに取られる時もある。この8千万の中から現場事務所に張り付けるゼネコンの職員の給料もひねり出さなければならないのであるから、地元の下請け業者は大変である。こんな事言うとゼネコンの連中は、対役所折衝と現場の施工の管理をやってると良く言う。しかし、何の事は無い、これはゼネコン本社のピンハネ外注に他ならないのである。自分とこの経費と称しやってる事は、現場で使う金を本社で貸してるに過ぎないのである。簡単に言えば自分とこの建設現場への金貸しなのである。だから建設現場でどんなに天候が悪くても一切本社には影響がないのである。もし運悪く、現場で大赤字出したとしても、その現場の担当職員たちはボーナスはおろか昇給さえストップし、社内の出世争いからも脱落するのみであるから、かえって彼らの方が必死になるのかも知れない。
 いずれにしても、それを下請けした地元業者は、頑張っても頑張っても良くて雀の涙、悪くすれば大幅赤字を続ければ、ボディブローの様に打たれ続け、挙句の果ては倒産である。これが現実であり、また今後の復興予算を考えれば、ここ10年以上ゼネコンは安泰であり、ここのとこの建設不況から脱却したと言って良い。何故ならマーケットは正直である。3.11の大震災が起きた瞬間からゼネコンの建設株が上がっているのが証である。