官公庁及び企業の不正・事件が起こるたび喜ぶ役所・公務員

 戦後の日本の行政機構は、国民と民間に対して、受益と負担を対等にするため、それらを全て行政において享受させて来た。
 
 それがいつからか忘れたが、ごくごく最近と思われるが、その役所の仕事を、国の機構から切り離し、民間で出来得る事は民間にと称して、規制を緩和し、独立行政法人特殊法人を数多く造ったのである。つまりは役所で出来る事をわざわざ、小さな政府と称し、さもそれが市場の原理みたいに錯覚させ、乱立させたのである。要するに官僚にまかせっきりだった政治を、官僚が逆手に取り、第二の官庁よろしい行政法人を造り、自分らの金のなる木を造ったのである。これを称して天下りと言う。これは官僚・役人にとって、表は実際の退職金であり、裏では「ここまで良く頑張りました」と言う破格のボーナスなのである。
 
 私はこの40年余り商売を通し、その裏表をハッキリ見て来た。私の商売上で言えば、建設工事の指名権を得るために、そのためのルールと言う規制に縛られて来た。その指名の基準が、企業の不正・事件が起こるたびに規制が厳しくなり、常駐させる現場技術者が多くなり、またそれを維持するために、国家試験や講習会が頻繁になり、必然に会社の維持経費が嵩み、利益が出来にくくなる、その繰り返しが異常に多くなって来た。
 例えば、工事現場において、作業員を事故で亡くしたりしたら、目も当てられなくなる。事故の当事者である建設会社は当然指名の停止を受け、それが2~3ヶ月から1年に及ぶ事しばしばである。が困るのは、その当事会社は当然であるが、ここからはつくづく役人であり役所だと思う。大手を振って、この事故を調査し、労働基準法や労働安全衛生規則違反とし、工事管理現場技術者が少ないからの事故との結論により、国土交通省の通達として全国に現場管理者の増員を義務付けるのである。時にはそれに呼応した自治体等は独自にそれ以上の条例や規則を作るのである。これは何を意味するのか読者はお解かりか?。
 
 とりもなおさずこれは全てその管轄である独立行政法人の収入増となり、その独立行政法人も職員増しなければ追いつかなくなるのである。そうする事によって、退職の役人の天下りの人員増ともなり、結果的に自分らの行き先の確保が易しくなると言うカラクリなのである。
 もっと具体的に解かりやすく説明すれば、その事故を防ぐために増員された工事管理現場技術者の資格試験や、年に何回と言う講習会もその独立行政法人の管轄になり、新しく作られた資格試験の問題用紙やその受験料が全てその独立行政法人の収益となるのであり、講習会も全く同じであり、その動く金はとてつもなく大きい。建設に限らず、今はそれが少子高齢社会になり、介護行政に代わって来ているのである。我々団塊の世代がその年齢になってきたために、介護行政は官僚・役人に狙い撃ちにされてるみたいである。この高齢社会が続く限り、介護関係資格を増やし、それを義務付ける事によって、資格試験の受験料や講習会費用等でこの先、青天井となるは必定であり、官僚・役人は笑いが止まらない筈である。
 
 とにかくこのような事は、各省庁合わせれば、消費増税金額の比では無い。とにかく学問的頭脳の優秀な官僚の事、私たちが考える以上に凄い事を考えているのかも知れない。このような官僚・役人にしてしまった責任は当然我々国民にあるのであるが、大方はその代議員たる国会議員がだらしなく、その責は免れないと言えよう。