小沢一郎の政権への2度目の匕首

 小沢一郎に「自民党との協議を進めさせていただく」と最後通告し、消費税アップに突っ走っている野田首相首相官邸は、小沢と対立すれば、内閣支持率が上がると計算していたらしい。
 大手メディアも「小沢を切って、消費税アップに突き進め」と首相のケツを叩いていた。ところが、内閣支持率は上がらず、逆に「小沢支持」の世論が拡大している。ドジョウ首相は真っ青だ。
 朝日新聞内閣改造の直後に実施した「世論調査」に、首相周辺が焦りまくっている。
 ドジョウ首相は「今国会の成立に政治生命をかける」と消費増税法案の成立にシャカリキになっているが、「今国会で成立させるべきだ」は、たったの17%だけ、「成立にこだわるべきではない」が72%に達したのだ。
 法案への賛否も、「賛成」は32%、「反対」が56%に膨らんでいる。「賛成」は過去6回の調査で最低だった。支持率も「支持」27%、「不支持」51%だった。
 それ以上に、ドジョウ首相を慌てさせているのが、「小沢支持」が予想以上に多かったことだ。
「消費税をアップする前に徹底的に行革を進めるべきだ」という小沢一郎の姿勢を支持するか聞いたところ、「支持する」41%、「支持しない」44%と拮抗。無党派層に限ると「支持する」が47%、「支持しない」は35%と、小沢支持が多数だった。
 消費税アップ推進派は、消費増税を「政策」ではなく、〈小沢VS.反小沢〉の「政局」にスリ替えれば、国民は「小沢嫌い」が圧倒的だから、「反対」は広がらないと皮算用していた。ところが、「消費税アップの前にやることがある」という小沢の主張に賛同する国民がジワジワと増え、計算が狂いはじめている。
「ただでさえ首相官邸は、党内の中間派が“増税反対”に傾きはじめていることに危機感を持っていました。鹿野グループや、長妻昭たちが、社会保障を置き去りにして、増税だけを進める首相に不満を強めているのです。国民の多くが『消費税アップ反対』を貫く小沢を支持しているとなると、小沢グループが勢いづくだけでなく、中間派が安心して反対に回りかねない。首相周辺は『こんなに小沢支持があるのか』と困惑しています」(事情通)
<消費増税「今国会の成立に反対」は72%>
 それにしても、おかしいのは朝日新聞だ。自分たちがやった世論調査で、国民の72%が「今国会の成立にこだわるべきではない」と答えているのに、先頭に立って社説などで「消費税10%」を推し進めている。民意はどうでもいいのか。
「いったい朝日新聞は、なんのために世論調査をしているのでしょうか。本来、ジャーナリズムは、国民に寄り添うのがスタンスのはず。なのに、権力に寄り添っている。朝日新聞小沢一郎の主張を頭から否定しているが、誰が聞いたって、小沢の主張は正論ですよ。国民が支持するのも当然です。この先、小沢が表で主張すればするほど、賛同者が増えていくでしょう。いまからでも遅くない。朝日新聞は国民に謝罪し、消費税反対にカジを切るべきです」(政治評論家・山口朝雄氏)
 朝日新聞は国民の味方なのか。ハッキリさせるべきだ。
 
 この記事日刊ゲンダイ6月7日掲載の記事である。
 

 私は普段日刊ゲンダイは偏りすぎてて、あまり好まないのだが、今回は違う。
 小沢一郎が政権に匕首を突きつけたのはこれで2度目である。1度目は政権交代した2009年(平成21年)8月30日の衆議院総選挙の時の「マニフェスト」を掲げた闘いと、今回の消費増税を柱とする「税の一体改革関連法案」に反対を唱えた事である。
 少なくとも、「嫌われ者」小沢一郎に国民の半数が賛同を示した事は、とりもなおさず「民意」がその通りを示した事に他ならない。これで野田総理は、絶体絶命の窮地と相なった。それでも民自公が談合と馴れ合いによって協議し、この法案を通す事にでもなった場合、それこそ国民は民自公に愛想を尽かし、既成の政党に対する不信感はとてつもなく増大する。その時にこそ、好むと好まざるとに拘わらず、橋下大阪市長率いる、「大阪維新の会」や、河村たかし名古屋市長の「減税日本」、それに大村秀章愛知県知事の「日本一愛知の会」それに地域政党いわて、そして「京都党」等の無垢な政党に国民が明日の日本を託す事になりかねない。そうなった場合に、日本政治は戦後100年の垢を落とし、良い意味の新しい政治スタイルを確立する絶好の機会となるのかも知れない。善し悪し別に私はその潮流に乗ってみたい気持ちに駆られている。