野田小沢会談民意はどちらに?

 野田佳彦首相が乾坤一擲(けんこんいってき)で臨んだ説得は空振りに終わった。消費税増税に反対する民主党小沢一郎元代表は一歩も譲らず、両者は激突を経て、「欠別」へ最終章を迎えた。党分裂へのカウントダウンも聞こえ、政局は衆院解散含みで流動化が避けられない。
 30日午前10時50分すぎ、首相は口を真一文字に結び、記者団の問い掛けに無言を貫き官邸を後にした。約10分後、党本部8階の代表応接室。テーブルの奥に首相、両脇に小沢氏と輿石東幹事長が向き合うようにそれぞれソファに腰を下ろし、会談がスタートした。
 首相は「消費税増税は待ったなしだ。行政改革もやる、社会保障もやる、経済再生もやる。そうでないと『決められない政治』として日本の政治が漂流する」と訴えた。
 これに対し小沢氏は「いや総理、国民はそう見ていませんよ。このままでは理解は得られない」と真っ向から反論した。テーブルに出されたのはお茶のみ。正午に差しかかり、時間を気にする輿石氏に首相は。「もう少ししっかり議論したい」と粘つたが、双方の主張は堂々巡りに。1時間半の直接対決は最後までかみ合わなかった。
ひそかに作戦を変更
 首相は会談後、再び小沢氏と話し合うかどうか明言を避けた。周辺は「何度も会うと、そのたびに小沢氏側に主張の機会を与えることになる」と懸念する。百戦錬磨の小沢氏のペースにはまりかねないというわけだ。
 情報戦で優位に立とうと、首相は会談直後に応じる予定だった「ぶら下取材」を、小沢氏より後になるようひそかに作戦変更。小沢氏の発言を中継するテレビを見ながら、党本部でカレーライスを平らげ、約30分間待機して官邸に戻った。
 首相に近い政務三役は「予想通りの結果だ。いくら小沢氏の顔を立てても、自民党の協力がなければ法案は成立しない。おのずと答えは出てくる」として、首相の「小沢切り」の決断は近いと強調する。
 小沢氏が会談に応じる考えを輿石氏に伝えた22日、首相は小沢氏をよく知る自民党の閣僚経験者から電話を受けた。一対一の会談に無類の強みを発揮する小沢氏を警戒し 「会談では、絶対に2人きりにならないように」との忠告だった。
 2000年4月1日、自由党党首だった小沢氏と自自公連立政権の存続をめぐり会談し決裂。数時間後に小渕氏が脳梗塞で倒れた。
 当時も小沢氏との会談が引き金になったとの臆測が飛んだが、この閣僚経験者は「それで小渕さんは倒れたんだ」と決めつけた。
 会談を終えた小沢氏はタ刻から議員会館の自室で、支持議員らとの面会を次々とこなした。
世論を気にするそぶり
 愛知県の大村秀章知事に「現状では消費増税関連法案に賛成できないとはっきり言ってやった」と会談を振り返った。民主党の若手議員には上機嫌で「テレビの中継車も来ていたなと世論の反応を気にするそぶりも見せた。
 小沢氏サイドとしては、首相が一方的に決裂を「宣言」し、党分裂につながる展開を回避するのが基本戦略だ。周辺では、増税法案の採決阻止に向けた「連判状」へ署名を募る計画も浮上。支持グループ以外の増税慎重派議員も巻き込んで挙党一致を求める党内世論を形成し、首相に圧力をかける狙いだ。
 会談後、小沢氏に近い党幹部は「そもそも1回で手を握れるような簡単な話じゃないんだ」と延長戦を予告したが、首相の増税法案成立への決意は固く、決裂回避へ残された時間は少ない。
 
 この記事は共同通信の記事である。
 
 

 一昨日野田首相と小沢氏が会談したが「決別」と言っていい結果に終わった。私は今回ほど政治が解からなくなった事は無かった。常に政治は民意を後ろ盾にして行われて来たからである。古くは庶民宰相田中角栄ロッキード疑惑にて失脚した後、バルカン政治家三木武夫が椎名裁定にて後を継いだ後、永田町の常識に負けて「三木降ろし」に合ったが、民意の後押しで剣が峰にこらえ、結果的に彼は破れはしたが、保守主導の古い政治の中にあって、それこそ永田町の常識を覆して、粘りに粘って民意を後ろ盾に大政翼賛的相手にひるむことなく一矢を報いたその手法が思い出されたからである。現在の状況はそれとは若干違うが、今回は小沢さんに「民意は我にあり」と言われてもその通りと思われる。このたび小沢さんが居なかったら、当に消費増税は成立し10%になり、我日本国は消費が落ち込み暗黒の世界に足を踏み入れ、少なくとも今後10年世界不況の足を引っ張る事になっていたろうにと思う。何とか首の皮一枚つながったように感じた。
 不思議な事は、民意の後押しが無くて、政権党の党首である首相が、同じ党の人間を説得すると言う行動である。何の根拠があって、何を説得なのか、これは国民の理解は得られる筈もない。何故なら首相は、「“増税は待ったなし”、すべき事は(並行して)やる」と言ってるが、政権交代時のマニフェストさえも反故にして来た連中であり、小沢さんの、「“増税の前”に、すべき事をやれ」つまり、だったら社会保障や税の一体改革やらをやってからやったらと言う方が説得力があるのは間違いない。今回は小沢嫌いの国民さえも、小沢の主張に同意する筈である。何はさておき今旧来の歪である、天下りや、公務員制度改革それに宗教法人に対する課税、国会議員定数削減、そして最近の生活保護問題、どれ1つ何も手を付けずに狂ったように、「錦の御旗」面(づら)した消費増税に走り出している。これではとてもではないが、首相が「政治生命をかけて、命をかける消費増税」こんなに軽い政策未だかって見た事が無い。笑止千万である。